マスコミが再三報じている「横浜ベビーシッター事件」。いろいろな場所で関連して炎上騒ぎも起きているが、大別すると
■自分で確認しないで適当に子供を預ける母親にも問題がある → 炎上
■母親を責めるより、そうせざるを得ない社会環境に問題がある
という2点の論議に集約されると思う。確かにテレビで母親のインタビュー見ていても、22歳で2歳児の母親でシングルマザーということは、18歳か19歳で妊娠・出産しているわけで、お母さんの話し方を見てもまだ子供という感じで非常に痛々しい。
おそらくスマホで検索してベビーシッターを探したと思うんだが、昨日テレビを見ていて愕然としたことがあった。横浜市は待機児童0を公約にしていたはずだが、
保護者の病気やお仕事などで、緊急にお子さんを預けなければならなくなった時、保育所で一時的にお預かりします。夜間・宿泊も含め、24時間365日対応します。
とあり、2つの施設でサービスを行っている。そしてなんと
1時間あたり利用料金(申し込み時にお支払い下さい)
年齢 | 7時~19時 | 19時~7時 | 24時間の上限 |
0~1歳 | 600円 | 700円 | 1万円 |
2~3歳 | 500円 | 600円 | |
4歳以上 | 400円 | 500円 |
※別途食事代1食につき300円
と、格安の利用料で3日以内の利用ができるのだ。例のベビーシッター事件の夜もひとつの施設では空きがあったという。「母親を責めるより、そうせざるを得ない社会環境に問題がある」という説はここで崩れる。社会環境は整っていたのだ(少なくともあの事件についてはということで日本全体の話じゃ無いですよ)。ではどうしてあのお母さんはこれを知らなかったのか!
スマホの検索では到達しない
横浜市のサービスは、「横浜 託児所 24時間」のキーワードで検索すれば1位である。しかし、これを見ると
ベビーシッター「マッチングサイト」の実情は? なぜ必要とされるのか
サイト管理人によると、同サイトにアクセスする検索キーワード上位は、「ベビーシッター」に合わせて、「個人」「マッチング」「募集」「登録」です。「保育」はないのです。イメージとしては、保育園に通わせること(通年保育)が「保育」であり、一時的なものは「ベビーシッター」なのかもしれません。
つまり、個人的ニーズで検索すると、横浜市のサービスは出てこないのである。また、横浜市のサービスはスマホに適正化されていない。iPhoneで見ると
こんな感じで字も小さくて読めない。テーブルタグとかもおかしくて、市の職員が自分でやってるのかもしれない。とにかく訪問者に優しくない。ベビーシッターサイトの多くもスマホ化はされていないが、デザインされているのでもう少しは見やすい。
仮に横浜市が顧客視点でページタイトルもしくはページ内に「知らない”個人”の”ベビーシッター”に”マッチングサイト”で預けるより、まずは市のサービスをご利用ください。”登録”はいりません」と書いていたら、検索で一発で引っかかったはずだ。せっかくのサービスを台無しにしたのは、横浜市のネットのリテラシーの低さと、顧客視点の無さである。「掲載しとけばよい」という考えが根底にあったのではないか。
また、緊急のこのページがスマホに適正化されていれば、スマホ化されていないベビーシッターマッチングサイトよりも見やすいわけで、利用率は上がる。せっかくのサービスを用意しても、ユーザーに情報が到達しなければ意味が無いのだ。
閉じられた集団の中では情報が入りにくい
最近、マイルドヤンキーという言葉がよく目に付くようになった。
きっかけはこれでしょう。
マイルドヤンキーの特徴は「ITリテラシーが低く仲間内のみの世界に留まる」ということ。地元指向が強く、態度はマイルド・内向的で、どちらかというと低学歴で低収入だが車やショッピングモールでは消費する。子供の時からの友人とのみ付き合い、交友関係は狭い。つまりFacebookやTwitterではなく、LINEをメインで使う人たちということになる。若い人たちの投票率が低いというのもマイルドヤンキー率が上がれば当たり前の事。自分の地元と周囲にしか興味が無いし政治なんて興味も無い。投票率が上がるわけも無い。
横浜のベビーシッター事件の家庭がマイルドヤンキーなのかどうなのかはわからないが、シングルマザー率や夜の仕事に就いている率は高いはずだ。こういう人たちは相談するにしても身内の友人になる。同年代でしかもその人達もリテラシーは低い。となると「ベビーシッターってあるらしいよ」「いいじゃん、それ」で終わってその背後とかリスクにまで頭が回らないのが普通。しかたないです。
サービスを利用者まで周知させてこその行政
はっきりいっていまの行政システムにはユーザー視点がまるで欠けている。パンフレットを山のように刷って市役所の窓口に置いたり、回覧板にいれたりしても、そもそも印刷物を読む習慣自体が消失している。たまに市役所に行っても手にとってパンフレット見るのは自分だけだ(活字中毒なんで・・)。であれば、現在なら
スマホからの検索 → 知りたい人に到達
というのが最も簡単で早い。市役所に行くと読まないままで捨てられていそうなチラシやパンフレットが山のようにあるのだが、今の時代あんなのをばっさばっさと削ってその分のコストで大至急サイトの作り直しとスマホ化をした方が良い。SEO対策も必要である。行政のためでは無い。利用者のためにSEO対策が必要なのだ。LINE@使って空き状況を流すとか、注意点を周知させるとか、いくらでも手法はある。要するに利用者について考える視点が行政には欠けているのだ。
なぜあんな無駄な印刷物が今どきあるのかいつも不思議。印刷業者と行政の担当者が癒着していないことを切に望みたい。