奨学金滞納者はどうして生まれるかを推測してみた

2015年5月26日

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返還しなくてはならない奨学金の滞納者が増え、そもそも奨学金制度の土台が揺らいでいるとの報道をよく見ます。しかしそれは日本学生支援機構(旧日本育英会)の話で、大学側では返還しなくてよいタイプの奨学金を用意して「成績の良い学生」を集めるべく努力しているようです。世帯収入が少ない受験者の皆さんはこういう大学狙うと良いです!!

大学で導入進む返済不要の奨学金 注目は入試前の「予約型」

大学など学校独自の奨学金は2007年度には2582だったが、10年度では6363と約2.5倍に増えていた。しかも、「10年度の学校独自の奨学金の77.6%が、返済しなくていい『給付型』なのです」

特に早稲田が進んでいて、受験前に高校の成績や親の収入を申告すると合格発表前に返済のいらない奨学金の受給が決まる。あとは頑張って合格すればいいだけ。東大行くより早稲田行く方がいいんじゃないの??

早大の「めざせ!都の西北奨学金」は、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)以外の受験生を対象としたものだ。合格すると奨学生になれる採用候補者数は約1200人で、他大学と比べてケタ違いに多い。4年間継続で総額160万円の奨学金を受け取れる。

そもそも論であるが、日本には国費の返済不要の奨学金がない。
先進35ヵ国で形成されるOECD加盟国(イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエル。 )で国としての給付型奨学金制度がないのは、そもそも学費が無料のアイスランドと、日本だけ。

日本、恥ずかしすぎる!!!

ギリシァや韓国やメキシコや東欧各国でもあるのに、日本には国費の返還不要の奨学金がないのである。
政治家は生活保護や年金の話ばかりしているが、そもそも払った額の6.6倍も年金をもらっている70代と、2.2倍しかもらえない20代(関連記事)。本当に世代間格差がひどすぎる。高齢者対策はコストだが、優秀な若者のサポートは投資である。若者に投資をしない国に未来はないと思う。
返還不要の奨学金の制度を国会に提出してくれる衆議院候補者がいれば、党に関係なく一票いれますからよろしく!!!

んで、話は変わるが、本日驚いたのがこれ。ひと言でいうと、優秀な学生のための奨学金制度をそうでない学生が食いつぶしている構造が見える。

借りるのも返すのも親の仕事? 浮き彫りにされた奨学金返済延滞者の問題点とは

元データはこれです。日本学生支援機構の奨学金は利息のあるのとないのがあるが、返還しなくてはならない。が、滞納者が5.5%もいて、それが運営に大きく負担となっているわけだ。
ところがである。一番驚くのが自分が借りる奨学金は「返さなくてはいけないものだ」ということを奨学金手続き前に知っていたかどうかの調査結果。無延滞者は92.5%知っていたが、延滞者は56.1%と半数近くがそもそももらえるもんだと思ってたという・・アホかい。ローン借りて返さなくていいと思ってた的な・・。

借金するのに説明もまともに読んでない!!

日本学生支援機構のサイトを見ても、返済についてはくどいほど書いているし、パンフレットにも明確にきっちり書いている。もちろん滞納が増えてから対策したのかもしれないが、それにしても滞納者の半数が申し込む前に返済義務があるのを知らなかったというのは驚きだ。
上の記事では「親が代わりに申し込んだから」と推測しているが、自分で書類を作成したのは無延滞者51.4%に対して、延滞者は32.7%と多少の差はあるが、無延滞者でも半数は親が代理作成しているわけで、ここがそれほど大きな差には見えづらい。子供に自分の収入言いたくないから書く親も多いでしょ。

やはり、「契約内容をきちんと読めない、理解できない」層が延滞につながっていると見てかまわないと思う。

さらに延滞している人たちは、どうして延滞しているのかというと。。

「本人の年収」を見ると、無延滞者は「200万~300万円未満」が25.6%と最も多いのに対して、延滞者は「100万~200万円未満」が24.0%と最も多く、延滞者の58.4%が年収200万円未満となっています。

説明もまともに読まず、勉強も努力もしないから貧困層となって借りた奨学金が払えない

という人たちがいて、これが奨学金制度に大きな負担となっていることがわかるわけです。もちろん全てがそうだというわけではない。頑張って勉強して働いても体を壊してしまったり、会社が倒産してしまったり、親族が病気で看病しなくてはいけなかったりで収入が途絶え、延滞してしまう人ももちろんいるでしょう。ただしこうした人たちは「申し込むときに返すもんだと知らなかった44%」には含まれないはず。

返済不要の奨学金だけでは解決できない問題

奨学金返済滞納の話題になると必ず「国が返済不要の奨学金を設定すべき」ということを言う人がいる。もちろん「国が返済不要の奨学金を設定すべき」には100%賛成だが、それと奨学金の滞納は関係ないと思う。なぜなら、どこの国であろうが基本的には奨学金は成績の良い学生に支給されるものだからです。

ところが日本学生支援機構の基準では学力についてはこうなっています。

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無利息の奨学金でも学校の成績が平均3.5以上でOK。これ、かなり低いでしょ・・・標準レベルの高校でこの学力で推薦で入れる大学のレベルを考えたら・・ましてや専門学校だと3.2でかまわない。利息付きのほうは完全なる学費ローンなので、学力はなくても

学修に意欲だけあればOK

ということになってる。しかも一番ぶったまげたのが

申込みは、在学している学校を通して行います。学校へ必要書類を提出した後、インターネットで申込手続きを行います。

ということなんである。高校が窓口にならないと申請ができない。つまり誰が代筆しようと、申請する高校側で生徒にたいし、これは返済すべきものであること、そして返済計画について説明すべきなんである。それをやってない高校が多いわけだ。返済シミュレーションのページもきちんとある。

わたくし思うに、奨学金の返済滞納については、その出身校に大きな責任があると思うのです。調査データを見ますと

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これを見ると明らかに、滞納する場合は学校の先生や職員に勧められてるケースが多い。無延滞は12.8%なのに延滞者は35%なのである。高校の教師が職員が無責任に奨学金という名の学資ローンを勧め、そのとき「返済義務があることを説明していない」のではないだろうか。

ここで、高校側が、進学率が高いほうがいいから、その子の学習意欲や本当にお金が返せそうかとか全く見ずに「とにかく進学しろ、金がないなら奨学金で」と無責任に勧めているんじゃないか疑惑が持ち上がったわけです。おそらく進学校ではないです、そういうとこは。18歳やそこらの子に大きな借金をさせるわけで、高校はきちんと説明する義務があるんじゃないかと思いますが、間違ってますか?
高校教師におきましては「こいつに自分の金貸したら返すかな」くらいで判断して欲しい。

こういう記事を教えてもらいました
多額ローン、就職先はブラック…Fランク大学卒業生の厳しい現実〜なぜ入学者減らない?

ですので、日本学生支援機構におきましては、特定の出身高校に滞納者が集中していないかを調査すると共に、申し込みにあたっては「高校が奨学金の制度と返還シミュレーションについてきちんと説明しました」という一筆を取るべきだと思う。これで高校側に一定の責任を負わせる。滞納者の率が高い高校からの申請にはある程度の規制を行うという施策を取ればいいだけの話。

それより大事なのは「とりあえず大学出とけ、どこでもいいから」の風潮をなんとかすべきだということです。五流、六流の大学なんかいくより、手に職付けたほうがよほど稼げる。この間、仲の良いサーフィン仲間の32歳町工場勤務の友人の年収が、Yahoo!Japanの平均年収(平均年齢33.8歳で632万円)と同じと知って驚いた。いま、ビル建設などの現場の監督や専門職の給与も驚くほど高くなっています。大学行くならそこそこのレベルじゃないと単に四年間遊ぶだけになって将来低収入が待ってる可能性大。

大学であと四年間遊びたいから借金して(本人はもらえるもんだと思ってた)Fラン大学に行く。大学時代は遊んで過ごして、働く気もないし根性も無いので年収200万もなくて返せない、みたいなのは制度的に締め出して、その分を優秀でやる気のある学生に振り分けるべきだと思うんです。誰でも平等にまんべんにではなく、効率的に資金を運用すべきだと思うんですよね。

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