え〜。本日も、一応理科系出身と言うことで初歩的な発電に関することを、自分で調べた範囲で解説したいと思います。原発なんていらねー、というのは簡単ですが、風力発電ですべてをまかなえる的なオバカ宗教的なデマも出回ってますので、この際、整理した方がいいと思いまし て・・・
もしもっと詳しい方が違っている場所が分かったらぜひ指摘してください。
◆交流と直流◆
中学で習ったはずなのに知らない方が多いのですが、電気には交流と直流があります。家庭用の電気と電化製品は交流。電池は直流です。直流はプラス とマイナスがありますが、交流は周期によってプラスマイナス、つまり電圧が、家庭用電源なら+100Vから-100Vに変わります。1秒で50回変わるの が50ヘルツ、大阪は60ヘルツです。これが周波数ですね。図版はネットで拾ってきました。
パソコンなどは直流なので、家庭用コンセントから使用するときには、間に変換器(コンバーター)がはいってます。
変換するときには当然ロスが出ます。ブックパソコンの電源コードの間に四角い箱のコンバータが付いてますが、熱くなるでしょう? 熱になってるわけです。
それでは発電はどっちかというと、交流発電と直流発電がありますが、大規模発電は交流です。これをそのまま家庭に送ればいいじゃんと思うかもしれませんが、発電所では何十万ボルトという 超高圧ですからそのまま電線に通したら大変です。交流は電圧の変換ができるので、電圧を下げなから送電して いるのです。これが「変電所」です。実は遠距離を送電するのは直流のほうがロスが少ないので良いのですが、危険なわけですね。
電力は電圧×電流。つまり高い電圧のほうが電流をごく小さくして、たくさんの電力をなるべく減衰させずに遠距離にも送れるのです。
◆送電の減衰◆
なんで発電所を人里離れたところに作らないかというと、長距離を送電していると電線の抵抗でどんどん減衰してしまうからです。電線が熱くなるのは 熱としてロスしているから。ドイツでは原発反対運動が盛り上がっていますが、これはドイツが原発大国のフランスから電力を買ってるからできるということもあります(ドイツは太陽光とかにも力入れてますけど)。ドイツとフランスは地続きで隣ですけど、日本はこういう理由でほかから電力が買えません。
この電気の減衰をクリアできる夢の技術が「超伝導」です。この技術は特定の金属を超低温にしたときに、抵抗が0になるという現象です。超低温では なくても抵抗0に近い金属ができれば、電力が余ってる北海道から持ってくるとか、中国やロシアから電気を買えるようになります。まだ実用化は先です が・・・
◆発電の知識◆
日本はヨーロッパの国と比較してめちゃくちゃ暑い(亜熱帯に近い温帯)のため、電力消費のピークは夏の昼間に来ます。2007年のデータですと、各国の電力消費量は
日本 10828 億KW
フランス 4814
ドイツ 5910
イギリス 3734
カナダ 5604
と、人口比ではイギリスの2倍なのに、電力は3倍。ドイツと比較しても人口が1.5倍で電力使用は1.8倍です。日本は工業国ですので、工場で使う電力が多い上、電車、鉄道の普及が半端無いことが理由ではないかと推測。
ちなみに国民一人あたりの1時間単位の電力の使用量は
カナダ 16995 kwh/人
アメリカ 13616
日本 8475
フランス 7573
ドイツ 7185
※カナダの電力消費量が多いのは、川が多くて、水力発電が占める割合が半数を超えていて電力料金が極めて安価なため。
で、ここで良く出てくる、「ピークタイム以外に電気があまるなら貯めておけばいいじゃん」という発想。これですが、上記のように発電所からは高電圧の交流が来ます。これを直流に変換して蓄電し、さらにまた交流に戻して送電の時に配電するとすごいロスが出るわけですが、それ以上に蓄電のコストが莫大で、全くペイしないわけです。プリウスの電池1個で30万円。しかも数年で寿命切れ。電池はレアメタルもたくさん使われています。こんなのを何千万個も 設置するより新しい発電所を作った方がずっと安いのです。
ですが、近いことは水力発電ではやっています。
夜の内に余った電気で下流の水をダムにくみ上げ、ピークタイムに落として発電するのです。しかし猛暑の夏はダムの貯水量自体がヤバイ昨今。そして水力発電は発電量が非常に小さいのです。 詳細は以下
◆そして代替発電に話は進む◆
黒部の太陽の黒四ダムは、作業員延べ人数は1,000万人超。殉職者は171人。1950年代当時の金で建設費513億だから、いまなら数兆円くらい? ですが、これで発電しているのはたったの年間約10億kWh・・・・日本の需要の0.09%です。
今回の福島第一原発は年間329億kWhだそうで、福島第一原発をすべて止めて代わりに水力発電しようと思うと31個も黒四ダムを造る必要があり、金も無いけどそんなに段差がある川が日本には無いです。そんなんつくったら自然もめちゃくちゃですがな・・
では風力発電は、というと、政府の助成金がでるというので各自治体が使えもしないのにめちゃくちゃに作りまくってるというのはよく聞く話ですが、早稲田大学が受託で設置した風力発電が全く発電しないで訴えられたりということもありました。 難関は、日本が台風災害によく見舞われるということでないでしょうか。去年の台風では多くの設備がなぎ倒されてしまいました。
そして環境問題。鹿島でもたくさん立ってますが、近くに行くとブーンという音が聞こえます。この音は高周波ですので人間にとってはよくなく、健康被害も多く発生するようです。
しかし風力の最大の難関は、水力、火力、原子力のように安定して発電ができないってことです。一番のピークタイムの真夏の日中はだいたい無風で風も吹いてません。このときに風力発電はみんなぴたっと止まってるわけですよ・・夏に鹿島で波乗りしていると、たくさんたってる風車はみんな静止してるのが見えます。風が強いのは日本では春と台風時・・一番電力使わない季節です・・・
で、手っ取り早いところでは太陽光発電となるわけですが、保守もいらない、廃棄物もない、いいとこづくめに見えますが、発電電力量当たりのコスト が他の発電方法に比べて2〜3倍と割高なのです。あと、夜は発電しないし蓄電もできないので、代替にはならない。そして設置面積当たりの発電電力量が既存の発電方式に比べて低いので広大な土地が必要ということもあります。
東京電力が儲けるために原子力発電云々という意見も当然たくさん出てますが、かばうわけじゃないのですけど企業であれば株主のために利益を出すのは当然。高いコストの風力やソーラーに投資することは株主から認められません。本来はこれは東京電力云々ではなくて、国全体、国民全体の問題なのです。
いますぐ原発をすべてなくせ、というヒステリックな意見もありますが、日本の電力供給力をいますぐ23%削減したら、死人がたくさん出ます。電車も止まってメーカーは倒産確実。餓死者続出でしょう。
それより23%分の使用量を減らしていって、徐々に原発を廃炉にしていくほうが現実的です。しかし23%減らすといってもいまは工場が停止しているところがたくさんあるのでいけてますが、夏になって、しかも工場がみんな稼働したら全然足らなくなります。
で、個人的な提言ですが・・・
各家のソーラー発電を増やし、家庭での電力会社からの買電を減らすのが一番じゃないでしょうか。一戸建ての場合、だいたい150〜300万円くらいで屋根にソーラーパネルを設置できます。蓄電はできないので夜はダメですが、夏の日中はガンガンに発電します。
いままではすぐにソーラーパネルと電気代の比較をして、300万円払っても年間に7万しか電気代が減らないのは意味ないと言ってましたけど(わたしも)、これからは各家庭で夏の日中の電力は自分でまかなうようにみんなが努力したらどうでしょう。バチンコ屋も、とやかく言われたくないなら屋根にソー ラーパネル。悪名高いナベツネも東京ドームにソーラーパネル設置すればヒーローです。ディズニーランドもソーラーパネル。
まあしかし、実際には昼のピークタイムに東京電力に停電されると、制御用のPCが止まって太陽光発電している家庭も一緒に停電するらしいですが。。。(-_-)
原発に反対するなら、まずは自分で使う電気は自分でまかなうくらいの勢いでやりましょう。どうでしょうか、わたしの提言?
実はわたしも見積もり取ってる最中です。自分は金は使いたくない、誰かやれ、ではもうどうしようも無い時期に来ているのでは?? 真夏の日中に冷房つけないで仕事できる自信があるならいいですが・・・
新車に買い換えるならソーラーパネル買え、みたいな。
「ソーラーパネルついてる家庭は意識の高い家 エ〜シ〜」
というCMたくさん流して認知ができてきたら、付ける家庭も増えてくるかも。