前にも書きましたけど、ネットを舞台にした詐欺的商法のひとつに「ホームページリース」というのがあります。「ホームページリース被害者連絡会」というサイトでは、オウム事件と統一教会とのバトルで有名な有田芳生議員も応援してました。
それはいいけど無料サーバの広告がウザイ。月500円くらい払って有料サーバ借りましょう。
社団法人リース事業協会のサイト見てもこういう問題がけっこうあることが分かります。2008年から業界に対して注意喚起を行っています。pdfファイルがたくさん上がってますがそれでも被害が止まらない。リース会社って経産省の管轄だと思うんですが、消費者庁と一緒に業界の規制にぜひあたって欲しいです。
簡単に説明するとこの商法は、「月々低コストで(3〜5万)でホームページを一切合切作って運営しますよ、というもの。ホームページ制作と運用の5年リース契約をさせるわけです。「絶対に売れる。間違いない」「SEO対策もやります」「更新作業も全て込み」という触れ込みでドメイン取得からホームページ制作まで勝手にやります。しかしサーバ上のホームページはリースの対象にならないから、不必要な訳のわからないソフトとか中古のパソコンをくれてこれでムリクリにリースを組むわけです。たとえば月3万円×5年契約で合計180万!!! ウァオ! 5万円なら合計300万。せいぜい7〜8ページで??!!
被害者は概ね、サロンとか美容院とか実店舗のような、IT系には疎いところ。くわえて病院・医院、士業が軒並みやられているとお知らせ頂きました。月々3〜5万円でサイトの運用までやってくれるからいいやと契約してしまいます。リース会社には「ソフトのリース」という具合に申請がされて、余計なことは言わないように口止め。しかし、もともと詐欺的な商売ですから夜逃げしてしまうとどうなるか。今回は実録としてその相談が来ましたので同じ目を見て路頭に迷っている全国の方に教えてあげてください。
ある日突然、管理画面がロックされた
今回、ご相談されてきたのは美容院さん。3年前にこのリース詐欺に引っかかってしまい、最初の会社は倒産、別の会社がその負債を引き継いだもののまたまた倒産。その管理を名乗る弁護士から「倒産したので新しい会社に引き継ぐ」との連絡が来たあとロックされてアクセスできなくなりました。サイト更新(といってもお知らせとブログ)ができなくなったわけです。わたしにサイトのリニューアル含めてコンサル依頼が来たのがこの時点です。
中身をチェックしてそのひどさに驚く
そもそも契約自体、変なソフトの契約ですのでサイトはなんの関係も無いわけです。それなのに倒産したからロックするのであれば明確な威力業務妨害。管理画面は入れないので外から見ると、WordPress2.9.2、php5.1.6で恐ろしく古い。WordPressは深刻な脆弱性がある2010年のバージョンで、いつでも攻撃して乗っ取ってください的なことになってました。全然メンテもしないで放りっぱなしです。
ちなみにリース会社に電話したところ、「うちは関係無い、文句があるなら出るところにでろ」と強硬ないい方。ちなみにパソコンも作っていた大手電機メーカー系のリース会社です。2008年からリース事業協会が警告出してるのに完全無視。企業コンプライアンスはどうなっているのか。
わたしのアドバイスで弁護士に相談に行き、相手の弁護士(サイトで見たら楽々倒産のお手伝い専門らしい)に内容証明で「サイトのロックは業務威力妨害である」旨を通知。数日後にロックが解除されたので管理画面から見てみました。こうしたリース詐欺ではリース終了後も再リースさせるために絶対足ヌケできないようにがんじがらめにしていると言われていましたが・・
足抜けさせないための様々な手口が判明
WordPressは投稿者権限のみで管理者権限はない。よってバックアップも取り出せないしアップデートもできない
ということになってました。アナリティックスも管理者権限でなくて見るだけ。サーバ会社に連絡したところ、サーバの契約は潰れた会社になっていて契約者が違うのでアクセス情報は出せないとのこと。1台月間1万数千円のサーバに物凄い数を押し込んでいるということまでは教えてくれた。サーバ会社にも「ロックされた」と怒鳴り込みの電話が絶えないらしい。これでは何もできないのでFTP情報とサーバの管理画面のIDとパスをまたまた弁護士さんに依頼して動いてもらい、なんとか出させることに成功。
WordPressの管理者のIDは例のごとく「admin」で、セキュリティはスーパー最低のレベル。どうも美容院、サロン用にWordPressのテーマの簡単なものを作り、それを使い回ししている感じ。カートも無料のがついてましたけど、セキュリティのめちゃくちゃ低い無料のもの、しかも3年前のバージョンです。
サーバも古くて使えないし、別のサーバ会社に移転して新しいサイトを構築することにしたのですが、最大の問題はドメインです。まずドメインを新サーバ会社に移そうと考えた。ドメイン管理(レジストラ)はアメリカのsrsplusなのですが、IDとパスがわからないので管理やネームサーバの向け先を移行できない。相手の弁護士にオースコードを出させたものの、これが全くのデタラメ。調べたら新しい会社に引き継ぐといっても会社代表は前と同じでどう見ても偽装倒産。むこうの弁護士もグルの疑い大。スーパー悪徳かい
レジストラの登録情報ではきちんとオーナーの名前と住所が美容院のオーナーになっているが、メルアドは潰れた会社のもの。電話はわざと末尾をデタラメにして本人確認ができないようにしてある。自分でドメインの所有権を主張しようにもできないようにがんじがらめ。ここは事情を説明したメールを出して本人確認をしてもらうしかない。英語の達者な人に依頼していま交渉しています。ただ可能かどうかはまだわからない。
もし最悪の場合はどうするか
オースコードが取得できない場合、ドメインは捨てるしか無い。新しいドメインを取得して新しいサイトを立てる。しかし検索すると前のが上位に出てしまうわけです。FTP権限があれば前のを消去してしまえるので徐々に前のは消えますし、リダイレクトするようにファイルを置く手もあります。しかしバックリンクはひとつずつ張り直しをしないといけないのでメールを出す必要がありますが、Webマスターツールの管理権限がないから限界はある。また、いまのお客さんたちにどうやって知らせるかということも考えないとダメです。みんなお気に入りにURL入れて予約したりしているでしょう?
めっちゃコストと手間がかかり、お客に迷惑をかけかねない
これってわざとやってるわけだから、立派な威力業務妨害だと思うんですよね。リース期間が5年で過ぎると「無料でリニューアルするからまた契約してください」ということになるらしいが、このようにがんじがらめで移転することさえできない。しかも中身を見ても全くのメンテもない(というかその能力がなさそう)わけで、リースの残りがあろうがなかろうが、早々に移転した方がいいと思います。被害者が集まってリース会社を集団訴訟してリース解約をするのが一番いいと思います。大人数なら弁護士だって喜んで引き受けます。サラ金の利息取り戻し訴訟と同じだ。
そんなわけで、「うちも助けてください」と言われても困る今日この頃ですが、こんな商法を放置している消費者庁さん、なんとかわかる人を入れてください。電話してもたらい回しでよくわからないそうです。
すでに判例が出てます。関西地区の方はこの弁護士さんへどうぞ
http://lawyerjunmurai.cocolog-nifty.com/murailo/2012/05/post-6a6a.html
↓Kindleだし、安いんでお布施のつもりでゲットしてみましたよ