No Life,No Musicの皆さま、こんにちは。音楽というものがなくなると、みなさんの命も終わってしまうのでしょうか・・実際、音楽好きにはそんなことになったらきついよね。
先日のことですが、新聞はどうして売れなくなったかをキャズム理論で説くとすぐわかる
というエントリーを書きましたが、音楽業界はそれどころじゃないらしいです。
iTunesの消費は2年で半分になっているのか。RT@dmm_matsue うーん、ここまで落ちていたとは! http://t.co/r2pUi7K1uK
— 柳澤安慶(二丁目ではヤナティ) (@ankeiy) 2014, 7月 14
というのを見まして、仰天しました。
もはや音楽を売るビジネスモデルは古い? iTunesの音楽でさえ売れなくなってきている
モルガン・スタンレーリサーチが出した統計データによると、iTunesでお金を使うユーザーはどんどん減っていっているとのこと。2012年初頭には四半期(3カ月)で4.3ドル(430円くらい)使っていたのが、いまや1.9ドル(190円くらい)の半分にまで減ってしまっている。いっぽうで、それと真逆にApp Storeでユーザーがお金を使う額が増えていっている。
No Life,No Musicの人たち、絶滅寸前!!
「いや、これはアメリカの話だろ」と言う方。日本はどうかと言いますと、2013年度はとんでもないことになっていた。
日本の音楽市場、前年比16.7%減 Spotify上陸予想で「今年は変化」も
日本レコード協会によると、2013年の日本の音楽売り上げは約2940億円と、パッケージの減少などで前年比16.7%減の大幅な落ち込みとなった。
毎年16.5%落ちますと、10年後にはいまのマーケットの16%まで縮小します。そういえばスガシカオさんでさえ
「DLだと制作費全部赤字。CD買ってほしい」 スガシカオが明かすミュージシャンの厳しい現状
とTwitterで苦しい胸の内をあかしてニュースになっておりました。そのDLも2年で半分になっていたら、もう手の打ちようがないじゃないですか。
なぜ音楽がだめになったのか、勝手に推測する
ずっと以前、似たようなエントリー書きました。
音楽CDの販売部数は世界的に1998年をピークに大きく減少。1998年というのはですね、日本での個人向けインターネットサービスが始まった年から4年後! その年がピークでネットの普及とともにマーケットが収縮し始めた。関連性がないわけがない。CDアルバムは1999年から2010年の11年間で45%のマーケットが吹き飛んでしまいました。その2012年のみ8cmCDが馬鹿売れして少し戻しましたが(AKB総選挙効果?)、そのあとはまた減っています。昔からやっていてライブの大箱を満席にできるアーチストは食えているが、そうでないとめちゃくちゃきついわけ。バンドのみなさんはグッズ販売とかで食いつないでいらっしゃるそうです。
1 YouTubeにやられた説
音楽業界の友人は「やはりYouTubeの影響が大きい」と申しておりました。
現在ではYouTube無しではプロモーションもできないので、業界は仕方なく積極的にYouTubeを使用します。しかし大半の音楽ファンは、実は素晴らしい音質は求めていなかったらしい。市場の大半を占めるポップスやダンスミュージックなどのファンはそこまでのクオリティを必要としていなかったので、YouTubeの動画で満足してしまうという説が大方の見方ということらしいです。ダウンロードもアプリでできるからiPodやスマホに落として聞いたり見たりできる。だったら買わなくていいやになる。
2 ダンスや振り付け必須になり、ジャンル全体がかなり減った
加えて、現在の音楽は「ダンス+音楽」でひとつのセット商品になっていて、昔の演歌みたいにじっと立って歌うなんていうのは商品として認められなくなっているわけです。振り付けでぎくしゃくする時点でプロモーション不可。逆に歌はたいしたことなくても、大人数で振り付けで踊るのが日本では主流に・・・。
3 若者がクルマに乗らなくなった
自分の主観ですが、日本の場合はこれがでかいと思う。
田舎とかマイルドヤンキーの友人が多い方は「?」かもしれないが、確実に若者はクルマ離れしている。トヨタもドラえもんCMでなんとか免許くらいは取らせようと痛々しい。都会の若者は免許さえ取らないんだもん。若者の車離れには、
20代未婚男性の40.7%が交際経験なし -「恋人がいる」はわずか22.1%
も大きな相関関係にあるでしょう。クルマが無いから彼女ができないのか、彼女ができないからクルマが不必要なのかはわからないが、マイルドヤンキーの結婚年齢が早いのはクルマの所有率が高いからというのを私は主張してます。クルマは密室だからデートでドライブにいくと恋愛のKPIが跳ね上がるのです。また「海に行こう」「ドライブに行こう」は女子を誘うのにとっても有効な手段です。
で、ここに音楽も相関関係で割を食ってしまったというのが永江理論。若いときにクルマでデートするときにはムード盛り上げのためにCDけっこう買いましたよ。カセット時代はみんな自分で編集して盛り上げ用リミックステープ(笑)を作っていたではないか。経験が無いとは言わせんぞ!!オラオラ。自分の好みの押しつけではなく、相手の女の子の好みのを用意しておくとか、ムード盛り上げのためとか相当に投資していたはずだ。
若者が車に乗らなくなった
↓
クルマで音楽をかけない
↓
音楽マーケットの縮小
どうですか、この決めつけ。ユーミンとかサザンとか山下達郎にはじまりワムに至るまで、デート用音楽というジャンルは確かに存在した。AKB48を初めてのドライブで掛けまくったらかなり引かれると思うけど、いまはOKなのか???だれか教えてくれ。
クルマ離れはアメリカでは無いと思うので、これが原因なのは日本の場合だけのようだと推測します。つまり
80年代に存在していた「他人に聞かせる」音楽マーケットの消失
という説ですね。いまの音楽は自分のために聞くだけ。バブル崩壊までナンパ意欲というのはそりゃ凄い物だったから、車や着る物にもお金を掛けた。音楽も小道具だったから惜しげも無く掛けた。そのマーケットが無くなってしまっていまは自分でヘッドホンで聴くだけです。であれば自分の好みのしか買わないので、マーケットが縮小したわけですな。
音楽マーケットの収縮とともに訪れるもの
明治時代は小説や画家になりたい人がたくさんいて、武者小路実篤の小説とか読むと、大学の文系に行くとみんなそんな感じだった。ところが昭和のおしまいあたりからはよほどヒットしないと食えなくなり、才能はマンガに流れたと思う。手塚治虫氏なんて画家でも小説家でもいけたでしょう?
「音楽では食えない」→「ミュージシャンになりたい人が減る」→ 音作りの才能がある人はいったいどのジャンルに??
ユーチューバーか、ゲーム音楽か、それがわかったら苦労はしませんが、いずれにせよスガシカオさんみたいにコストと手間をかけてじっくり音作りをする方達にはめちゃ厳しい時代のようです。お金の為じゃないとはいっても、全くお金にならないことになかなか人生は賭けられません。
スガシカオさんとかはファンに向けて「クラウドファンディング」とかやったらいいと思う。投資してくれた人たち(本当のファン)だけに向けて音楽を作るっていう手もあるよね、きっと。