昨日飛び込んできた元AKBの「篠田麻里子」のブランドが飛んだ!というニュース。全店閉店。サイトはメンテ中になり、アメブロの公式ブログでは
の下に
という淡々とした文字。儲からないので撤退したのかなと思ったらそうではなく､帝国データバンクの大型倒産情報によると
2014/07/16（水） ファッションブランド「ｒｉｃｏｒｉ」の企画・製造・販売元・ＡＫＢ４８メンバーの篠田麻里子氏が監修・デザイン 株式会社リゴレ 営業停止、自己破産申請へ
TDB企業コード：072009047「東京」（株）リゴレ（資本金100万円、渋谷区猿楽町7-1、代表藤井公二氏）は、7月16日までに営業を停止し、事後処理を弁護士に一任した。今後、自己破産を申請するものとみられる。当社は2013年（平成25年）3月にファッションｅコマース事業会社から「ｒｉｃｏｒｉ」ブランドの営業権を譲り受けて設立。10～20代の女性をメインターゲットとしたファッションブランド「ｒｉｃｏｒｉ」の企画・製造・販売を手がけ、取り扱う婦人服、シューズ、アクセサリー類の監修・デザインは2013年7月にAKB４８を卒業したタレントの篠田麻里子氏が行い、製造は国内企業をはじめ中国、韓国などの海外企業へ委託していた。2013年2月の「ルミネエスト新宿店」を皮切りに、同年3月には「HEP FIVE店」(大阪市北区)および「心斎橋オーパ店」（大阪市中央区）、同年8月には「博多阪急店」（福岡市博多区）と立て続けに店舗をオープン。インターネット販売も行い、今年2月28日からは「ルミネエスト新宿店」オープン1周年を記念して期間限定で「マルイジャム渋谷店」をオープンさせ、第1期となる2014年3月期の年売上高は8億円内外を目標としていた。篠田氏の知名度を武器に、各店舗オープンの際はマスコミにも大きく取り上げられるなど話題を集めていたが、先行投資の負担のほか、高めの価格帯であることから思うように売り上げは伸びず、「心斎橋オーパ店」が昨年8月25日をもって閉店（「HEP FIVE店」と統合）される一方、今年3月21日に開催された「東京ランウェイ2014」には篠田氏が「ｒｉｃｏｒｉ」のモデルとして参加するなど、動向が注目されていた。負債は調査中。
１年で自己破産!!早っ!!
自分、AKBには興味が無いので今のメンバーで名前が言えるのは二人しかいないのだが、麻里子様は知ってるよ。あの、背が大きくてAKBのファッションリーダーの一人と言われてた、元はカフェのウェートレスから２階級特進した子でしょう? コマーシャルもたくさん出てるじゃん。それにしても１年で倒産は早い。よほどマーケティングに失敗したんだなと思い、ファッション界には疎い私ですがその点を素人目で分析してみます。
単なる名前貸しではなかった
芸能人のブランドの多くは「単に名前貸し」であり、某芸能人プロデュースということでオープンしたラーメン店について本人に聞いたら「知らないうちに事務所がやってた」ということでした。笑
しかし、この「ricori」というブランドについては違うようです。ググると証拠がたくさん出てくる。麻里子様が実際にデザインして必死にプロデュースされております。
しかし
「ricori」閉店に篠田麻里子「去年までお手伝いしていた」 春には積極的にPRしていたのに、なぜか冷たいコメント
というのを見ますと、冷たいと言われちゃってます。そりゃそうでしょ。破産する会社ならずっと前から報酬とかはなかったはず。ヤバイということは知っていたと思う。で、ググると実際にブログには服をたくさん投稿しているし、AKBグループのメンバーに積極的にプレゼントしたり、タレント仲間に着せたり、頑張ってました。
ではどうしてそんな人気の麻里子様の服が売れなかったのか
明確なターゲティングのミス
結論から言うと、「麻里子様が自分の着たい可愛い服をデザインした」時点で間違っていたと思う。おそらくブランドを立ち上げた時「これだけ人気があり、可愛いと言われまくっている篠田麻里子がデザインとプロデュースしたんでから絶対売れる」という根拠のない自信があったものと思う。
が、デザインしたのは「10～20代の女性をメインターゲット」にした服だ。お金の無い層に高めの価格設定・・。
考えてみたらわかる。AKB48の主たるファン層は10〜20代の男性だ。もちろん女性もいるだろうが、熱狂的なというとほとんど男子。AKBの服は「男が見て魅力的に見える」ものを着ている。当たり前です。もちろん女性もメイド服とか好きな子もいるが、比率の問題です。
AKBと同じ服を女子が着るのは宴会ネタとしてはあるが、実際に着て歩いたらかなり好奇な目で見られそう・・
男子から見て「可愛い服」と女子から見て「可愛い服」はほとんど異なる。男性へのアンケートだと「ノーメイクかせいぜい薄化粧がいい」と答えるのが80〜90%もいるのに、女性の大半は化粧をするのがいい例です。女性は「男性から可愛いと思われる服」を着るのではなく「同性から可愛いと思われる服」を着るわけです。男性とは考え方が違う。
で、麻里子様の話に戻るが、果たして彼女のファンに「麻里子様のようになりたい」と思った女の子がどれだけいたのか、ということに集約されると思う。女性受けがいいと言われても、「麻里子様のようになりたい」と思うかどうかは別なのです。キムタクがハマーに乗ってたのは周知の事実なのに、いまだにカローラフィルダーのコマーシャル出てるのは、20代の地方の若い男子に「キムタクみたいになりたい」という願望があると広告代理店のデータにあるからですね。こういう子たちは「キムタクはカローラに乗ってるし。カローラ渋い」と思っちゃうからですな(馬鹿にしてすまん)。
ヤフオクとか楽天見ても「キムタク御用達」「キムタクも着けている」という商品が多数ある。楽天で「キムタク」で検索するとなんと22000件も出てくる。中には全ての商品に「キムタク」とか「EXILE」って書いてるショップも。名前勝手に使っちゃ普通ダメだろ!!ちなみにジャニーズの子たちは、普段着でもロゴが入ってるのは着てはいけないそうです。昔、人気グループのメンバーに直接聞きました。笑
ところが楽天で「篠田麻里子」でファッションジャンルを検索すると88件しか出てこない。大半が自己破産申請中の自分のブランドである。これだけ見ても、「篠田麻里子も使ってる、着てる」ということになんのブランド力も無かったことがわかります。
梨花はどうも成功しているらしい
女性に人気のファッションリーダーといえば梨花である。男子より女子に圧倒的な人気です。しかも30代以上に人気があると推測する。彼女も自分のブランドを持っています。Maison Deree Furというのですが、価格帯はそれほど高くないものから相当に高い物まで範囲が広い。例のごとくSimilar Webでサイトを簡単に解析してみると
一ヶ月の訪問者数40000人、1日あたり1300人くらいと推測しているので、それほど凄いわけでもない(Beamsのオンラインショップは350K/月)。まあこれはPCからのアクセスなんで、女性が大半ならスマホが80%くらいだから実際には何倍もあるよね。ちなみにricoriはあんなに露出していたのに、Similar Webだと15K/月しかありません。梨花の1/3程度です。
梨花は現在、テレビもほとんど出ないし、麻里子様と比較したら露出(リーチ)の絶対量は少ないが、女性誌の露出がメインです。つまり顧客ターゲットにドンピシャのところに露出しているわけだ。ちなみにバックはJUNグループらしい。DCブームから生き残っている歴戦の猛者である。
正直、アクセス数から言っても売り上げはたいしたことないのかと思っていたら、Facebookでファッション業界の方からコメントを頂いた。彼女の服はかなり売れているんだそうです。リサイクルショップでもかなりの高値が付くという。これは「入ればすぐ売れるから」で、ブランド力があることを示している。世の中でブランド力を見ようと思ったら、リセールバリューがどれくらいあるかが目安となりますからね。ヤフオク見てもみなさんかなり強気の価格設定だった。
ちなみに楽天で「梨花」で検索すると、キムタクとほぼ同数の22000件がヒットする(レディースファッションだと3600件)。「梨花が着けている」「梨花も使っている」というのがブランドになっているわけだ。ここが麻里子様と違うのです。
麻里子様はどんな服をデザインしたら良かったのか
彼女がやりたいかどうかは別として、マーケティング見地だけで考えると彼女がデザインして成功するのであれば、以下のほうが確率が高かったと思う。ズバリ
モッサリ男子もこれ着るともてるようになる服
麻里子様が女性の視点からデザイン。で、たまにはお店にも顔を出して客のスタイリングを担当したりする。もう千客万来でさばきようがないくらい売れます。麻里子様が見て「かっこいい男子」に生まれ変わることが出来るのです。ついでに隣で美容室も開いて、反対側の隣にはライザップのフランチャイズもオープンすると完璧でしょう。彼女がやりたいかどうかは別です。
そんなわけで、ファッションの世界でも顧客視点が大事で、どれだけマスコミに露出しようが「ターゲットが違うと売れない」ということ。それとやっぱり「ブランド」というものをきっちりわかった上でやらないとダメですね。フローレスセイコがまだ細々続いているのは「聖子みたいになりたい」というおばさまが一軒分の顧客くらいは存在するわけですね。皮肉言ってごめんなさい。そしてファッション業界の皆さまにおきましても、部外者の失礼な物言いを笑ってスルーしていただくようお願いします。
それにしてもAmazonの守備範囲広いわ・・
