インターネットでの国勢調査で東京が異様に低い理由を推測してみる【判明しました】

2015年9月29日

メルマガの質問でよくあるのが「地方でビジネスをしているのだが、地方はネットの普及率が低いので、云々」というやつだ。これは本当なのか、地方ではネットではユーザーにアプローチできないのか、それを考えるいい題材が来ました。それが今回のインターネットでの国勢調査です。

昨日、ピンポンとチャイムが鳴り、国勢調査のおばさんがやってきました。「インターネットでの回答がなかったお宅を訪問して用紙を配布しております」という。いや、仕事柄ネットで回答できるならそっちでしますよ。でもIDとか何もきてないよと思ってググってみた。なんか、こんなのが来るらしい・・・
k01
こんな派手派手しいのが来ていたら気づくと思うんだが・・・記憶がない。Facebookで聞いたら、19人のうち4人が来てないって、こらなんだ?

それはさておき、今回の国勢調査の都道府県別回答率について可視化してくれてた方がいたのが、そこには仰天する結果が・・・。

なんと全国で突出して低いのが、青森、高知、鹿児島、沖縄とならんで

東京?

神奈川、埼玉、千葉よりずっと低い。全国で突出して低いの。高齢者ばかりで過疎化している島根や鳥取よりも低い。
上記のTwitterの方が、一覧にしてくれていたのでお借りします。

CPvJMuJU8AAb1hP
最高は滋賀県48.4%、最低は沖縄県22.7%、次は高知の25.1%、東京都26.0%・・・・堂々のワースト3。
いくらなんでも、これはどうなのよと思う人が多いはず。ネットの普及率と親しんでいる率は、東京が一番高いはずだとみんな信じてる。ところがそうでもないのでありますよ。

総務省の平成25年度の調査によりますと・・

スクリーンショット 2015-09-29 9.11.34

個人別のネットの利用率は
1位 京都府 89.1%
2位 大阪府 87.4%
3位 神奈川 86.9%
4位 滋賀県 86.5%
5位 東京  86.1%
と東京はベストスリーには入らないが、5位にはいる。
ちなみにスマホでのネット接続に限って言うと、利用率で45%を超えているのは東京都(50.5%)、大阪府(49.0%)、神奈川県(45.9%)と東京がダントツ。
んでだ。ネットの利用率が高い県で、肝心のネットでの国勢調査回答率が高いと言えるのは、滋賀県のみ・・・・。つまりネットの利用率と回答率は一致してないんじゃと思われます。

今回の国勢調査では、スマホの回答率(スマホ回答数÷ネット回答数)が一番高いのはどこかというと・・・全国平均は34.6%,最高は鹿児島県43.8%,東京都は最低の30.0%!!!(こちらの計算をお借りしました。)

東京の国勢調査のスマホでの回答率日本最低!!

スマホでネットに接続する率は日本一なのに、スマホで国勢調査に答える率は日本最低なのです。まさに仰天するような結果です。沖縄もインターネットの利用率は平均より低いけど、もっと低くても回答率が高かった県はいくらでもある。

この結果から推測できる「東京人」の行動傾向

誰かが言ってた、「国勢調査にネット(スマホ含む)で回答したのは暇な高齢者がいる世帯」という仮説をまず検証。

高齢化率の高い件は、内閣府の2012年調査によると
最も高い秋田県で30.7%、最も低い沖縄県で17.7%。沖縄は出生率が日本一高いから子供が多いのよ。

で、高齢化率は上から順に

秋田 40.7%
北海道 40.7%
高知 40.9%
徳島 40.2%

高齢化率が高い県全てがネットでの回答率が低いクラスタなので、高齢化率とネットでの回答比率は負の因果関係。高齢化率日本一の秋田は回答率32%で平均よりちょっと下くらい。これで「暇な高齢者が多い地域は回答率が高い仮説」はボツ。逆に

高齢化が進んでいる県はネット回答率が低め

という傾向が出ました。
では、高齢化率が低い、つまり若者が多い順に並べてみるよ。若者が多いとネットでの回答率はあがるのかってこと。()はインターネットでの国勢調査の回答率の県別順位です

沖縄 30.3%(47)
滋賀 32.8%(1)
愛知 32.4%(3)
東京 33.5%(45)
岡山 34.8%(17)

回答率が低い沖縄、東京、がランクインしたので「若者が多い県は回答率が低い」という傾向が出たかと思ったけど、滋賀と愛知がいるのでこの傾向値はない。両極端に散りました。

若者は無責任だから調査とか回答しない → 単なる決めつけ

ちょっと見えてきましたね。
東京の若者と、地方の若者ではどこが違うのか。そうです。単身世帯率です。単身世帯率/総世帯数 を出してみました。

国勢調査のネット回答率が低かった都道府県では
東京 45.7%
青森 27.4
高知 33.8
鹿児島 33.3
沖縄 29.4

ネット回答率が高かった県の単身世帯率は
富山 24.1%
岐阜 23.0
滋賀 27.0
愛知 34.2
奈良 23.7
静岡 26.7

という感じで、なんとか傾向値みたいなのが出ました。ただし1時間でささっとやったのでクロス集計の専門家がやったらもっと違う結果になる可能性も大ですが、この結果だけから見ると

1 ネット普及率が上がっても回答率が高くなるとは限らない
2 高齢化が進んでいる県はネット回答率は低め
3 若者率が高いからといってネット回答率は上がるとは限らない
  → 単身世帯でない場合はあがる傾向がある
3 単身世帯の多い都道府県では、高齢化率に関係なく回答率は下がる傾向

東京は若者が多いけど、単身世帯率が突出して高く、学生や勤労者も一人暮らし。毎日の生活に追われてしまい、年齢が低くてもこうした回答や、おそらく選挙に行かないのも、仕事や家事や、やることがたくさんあって忙しくて行けないということが多くあるのではないかと思います。東京人の忙しさって地方の人には想像つかない。これは高齢者の一人暮らしでも同じ。
前にも書いたんですが、コレ

【驚愕】50代以下の投票率が低いぶっちぎりの理由は「政治に興味がない」ではなかった!!

あと、東京の単身世帯は引越を頻繁にする人たちも多く、住民票を異動しないままにしていてそれで実際には届かないから回答率が低くなるというのもあるんではないかと疑っています。ポストに名前も書いてない人も多数。
用紙とか配布せずにネットで「国勢調査はネットでね」みたい徹底告知をしてマイナンバーを入力させて回答みたいにしたら、東京が1位になる可能性もあると思うよ。東京ってポスティングも大量に入るし、郵便見て手でURLとかパスワード打ち込むのってめちゃ敷居が高い。リンクから飛びたいもん。

あと、、、いま耳寄りな情報はいりました。総務省に問い合わせたところ「本来はポスト投函は不可で手渡しのみ」だそうです。そうなると単身世帯にはほぼ届かないですわね!!
しかしネットにはアパートのポストにずらりと投函された写真が出ていて。あれは一部の調査員の仕業らしい。

ということで

単身世帯には用紙が届かなかったので東京の回答率低くて当たり前

ということでしたわ。
さらにはこんな情報も


CQCqv-lVEAAbgAD.jpg-orig
北区はこれからネット回答らしい・・・東京都の回答率を出して意味ないじゃん。そして総務省のサイトには「期間9/10〜9/20」って書いてる。
スクリーンショット 2015-09-29 13.07.12

もうメタメタ。さらに北区では「用紙は基本全戸訪問ですが、不在の場合はポストに投函します」といってるらしいので総務省と違う説明。同じ東京なのに入ってる内容物も違う。うちは郵送か手渡しのみになってた。

昨日、うちに来たおばさんは「締め切りまでにネットで回答してくれなかったので書いてください」って置いてったのでさっき投函した。このメタメタぶりというか仕切りの悪さはどうにかならんのかい。まだこれからもネット投票が始まる区もあるのに、投票率発表してなんか意味あるのか総務省!!

でだ。若者率が一番高くて、しかも単身世帯率がずっと下の方の沖縄の回答率が著しく低いの、なんとかならんの?
当然ながら国政選挙の投票率もざっと見たら国の20代の平均値よりけっこう下です。

で、地方でネットでユーザーにアプローチする方法なんですが、これは年齢とかというより、人口密度のほうが関係すると思います。半径10キロほどの商圏なら、そこに住んでいるターゲットが何人かってこと。そしてターゲットが50歳以下なら10キロ以上離れていても車で来てくれる。サービスや商品のオリジナリティを出して、商圏外から呼び寄せる方法もあるはずです。

これは2011年の本ですが、さすが池上さん、ほとんど的中させてる。池上さんが党首の政党ができるんなら絶対投票するんだな!!
政治家にはこんな的中は絶対に無理だと思います。

  • 0
    このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
    follow us in feedly
PAGE TOP