「何も報道されていない」と「前から知ってる」が併存する時代

2016年1月21日

昨日配信したメルマガは

1 Google AdSenseの収益を上げるには
2 ブログのPVを伸ばすコンテンツとは?
3 Surface3を使用しての感想
4 外資系リクルーティング会社の求人方法について
5 Passme!の決済にPayPalを採用した理由
6 ベビー向け英語教室のブログ運営方法

でございました。ノロと戦いながら書きました。届いたでしょうか。

さて、先日からソーシャル上で広まったガセネタ。そもそもここらが発信源ではないかと思う。

損失額は21兆円に倍増…年金資産の運用見直しは大失敗
日刊ゲンダイの1年前の記事。

さすがの夕刊紙。しかしタイトルとは裏腹に

経済「中位」のケースで、「確率95%で予想される最大損失額」は約21・5兆円となり、見直し前の損失額(約10・4兆円)と比べて2倍に膨らんだからだ。

予想される最大損失額としっかり書いてありました。この記事にもあるように1年前の状況は

年明けから低迷しっ放しの東京株式市場。巷に流れる「株価2万円台回復」どころか、14日の日経平均株価は前日比291安の1万6795円と、1万7000円を割り込んだ。

昨日の日経平均株価は16,416.19円で1年前とほぼ同じですけど去年の6月〜8月は2万円超えてましたよね。そのあと中国経済の停滞で下がってます。

ところが今頃になってTwitterのガセ投稿から&安倍政権叩くネタだ!!&PV稼ぐネタだ!!と喜んだ皆さまが以下
スクリーンショット 2016-01-21 8.32.16

1年前に発表された最大の予想値について今頃何言ってんの・・・・しかもベッキーとかSMAPに隠れてひっそりと・・・って1年前だぜこの話。いまだにブログをそのままにしておいて恥ずかしくないのかね。しかしこのクソデマをFacebookでシェアしている人がけっこういるのにも驚いた。経済記事とか全く読まないで盲目的に安倍政権を批判すればいいと思っている。安倍政権を批判するのはいいと思うが、事実誤認で確認もしないでデマを信じるのは愚の骨頂です。

これをよくまとめてあるのがこの記事です。The PageはYahoo!の子会社。

年金損失21兆円のデマ、本当のところどうなってる? なぜ拡散したの?
The Page

私たちの公的年金に21兆5000億円の損失が出ているという話がネットで広がっています。これはツイッターで拡散した人の誤解であり、本人も訂正し謝罪もしていますが、公的年金が2015年の7~9月期に約8兆円の運用損を出したのは事実です。本当のところ私たちの年金運用はどうなっているのでしょうか。また、誤った情報が拡散したのはなぜでしょうか。

中略

2015年4~6月期までは確かに順調な運用でしたが、7~9月期は中国ショックで日経平均は大幅に下落し、公的年金は約8兆円の損失を出す結果となりました。18兆円近くの利益を上げたあとの8兆円の損失ですから、トータルではプラスとなっています。しかし今年に入って日経平均は値を下げていますから、損失はさらに拡大しているかもしれません。

これ、安倍さんが国会で答弁しましたよね。この記事の中で秀逸な言い回しが

「何も報道されていない」と「前から知ってる」が併存する時代

という小見出しです。あまりに秀逸なので、本日はこの課題について語りたいと思います。

なぜこんな時代になったのか

「何も報道されていない」「前から知ってる」についてはここ数年、めっちゃいろんなことを耳にする

×放射能数値を政府は隠している
○各市町村、NGO、市民団体が独自に計測して毎日更新しているから自分で見ろ

×TPPについて国民はなにも知らされていない
内容についても発表されている。見てないだけ

×安保法案は戦争させるための法案だから内容を隠している
隠してないから法案内容くらい読め

×山崎パンは毒を入れているからカビない
単に製造工程が清潔なだけ

みたいなのはほんの一例です。「前から知ってる」か「知らされてない」というかについての違いはココで詳しく書きました。

「国民に説明が十分されてない」というキャズムについて

この情報のキャズム(谷)がどんどん深くなっていると感じられるわけです。その原因を考えてみました。

1 発信者の質の低下

情報収集の手段を2000年前後(なんといまからたったの15年前だ)、つまりネット普及前と普及後を考えると、情報の発信元の質に大きな差がある。
ネット以前は情報は新聞や雑誌、テレビなどからしか発信されなかった。発信するためにはまず、基礎的な教養があるかどうかの試験を受け、そのあと何年も「記者」としての訓練を受け、記事のソースの確認や実証も行った。もちろんそれでもでっち上げとか飛ばしの報道はあったが、現在の有象無象が誰でも発信できる時代に比べて精度はずいぶん高かったはずだ。
単純に昔が良かったというわけじゃない。だってそうならこのブログ書いても誰も読んでくれなかったわけだから。

ただ一言言えるのは、情報の正誤を見分けられない人にとっては

ガセ、眉唾を見分けるのが難しくなった

ってことですね。以前は新聞や雑誌、テレビなど大資本でないと情報が発信できず、それが担保になってたわけですが、いまは無料ブログでどーでもいい便所の落書きが誰でもできます。さらにPV稼いで金を儲けようという糞バイラルが、素人ライターに1記事500円で書かせるもんだから、ガセをパクってまたそれをバクるみたいな凄いことになってます。

2 ソーシャルの普及

この「正誤が見分けられない人」たちもソーシャルには手を出します。で、引っかかってしまって拡散してしまいます。イイネするだけでタイムラインに上がって恥をさらします。見分けられない人の友人には同じクラスタが多いため、またそれを頭から信じて拡散してしまいます。しかし何を隠そう、わたしもここ数年でガセを数回掴まされました。わたしの場合、Facebookのフォロワーが1万人以上いるので恥をかく規模がでかすぎるので、一応、かなり裏取りする癖は付きました。www

3 スマホオンリー層の急拡大

先日にも出てたこの記事。次の機会にじっくりと波及することを推測してみたいと思いますが・・・

「モバイルファースト」から「モバイルオンリー」へ

パソコンとの併用を望みながらも、経済的な理由でモバイルオンリー・ユーザーにならざるえない低所得者層が増えているということだ。そうした人は大画面による効果的なオンライン学習も受けられないし、各種情報収集でも不利になっている。この情報格差が貧富の格差のさらなる拡大を引き起こすと、Pewは警鐘を鳴らしている。

併用を望んでいるかどうかは謎だが、自宅のWi-Fiの契約もなく、パソコンもなく、新聞は当然購読せず、テレビは娯楽番組のみ。使ってる情報源はスマホのみ。でもやってるのは友達同士でLINEとあとはソシャゲ。成人式で大暴れするような層の多くはこのあたりだが、中高年フリーターとか、いわゆる貧困層もこうなっていく。ギャル(死語)とか専業主婦もだな。

スマホでも十分情報収集はできるのですが、新聞やテレビなどの従来メディアと違い、ぼーっと見ているだけで勝手に情報を届けてはくれない。これが一番異なることなのです。家や職場に新聞があればぺらぺらめくって読むうちに、興味のあることもないことも入ってくる。しかしスマホは、自分が興味あることを、それを配信しているサイトにいったり、アプリを入れたりして自分で獲りに行かないといけないわけです。

従来メディアは受動的
ネットメディアは能動的

と言い換えることができます。つまり根本的な姿勢が「受動的」な人は、自分で情報を探しに行かないので取得もしないわけ。情報に興味がある人はスマホでもPCでも情報を探して自分のものにできるが、興味がない人はスマホオンリーになったときにあっという間に取り残されてしまう。PCならスタート画面がブラウザで、だいたいはポータルやニュースサイトになってたからまだマシだったけどね。

で、食べ物や遊びや服以外に物事にあまり関心がなく、普段から情報収集などしてない場合は、ソーシャルで友人がシェアしていたガセネタに、なんの疑いも持たずに飛びついて「タイヘンダー」「コレハヒドイ」を連発してしまう。

が、「自分が興味がないので調べなかった」とは口が裂けても言わない。「報道されないから」「教えてくれないから」ということを言い訳にする。だれがあんたの家まで言って正座させて小一時間説明しなきゃあかんのか。テレビで街角インタビューでのうのうと答えるおばさまたちを見ると、いつもそう思う次第です。

誰のせいでもありません、あなたのせいです

ということで本日のエントリーを終わります。一番の問題はこういう人たちはほとんどわたしのブログなんて読まないってことなんですが、たまーに、「永江さんのブログを読んで積極的に情報収集をするようになりました」とかメルマガ質問で来ると、ちょっと嬉しいです。

えー。さきほど悩みに悩みましたが、ポチッと予約しました。ライカレンズ積んでSIMフリーの超高性能コンデジです。いい写真撮ってそのままInstagramに投稿するのだ。ちなみにずっと放置だったInstagram、最近は面白くなってけっこう投稿してるよ。フォローしてね。

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