今朝、いま上映中の映画「オデッセイ」の原作、「火星の人」を読みました。
原作者のアンディ・ウィアーはこの間このエントリーにも書いたマルコ・クロウスと同じで、
2009年から自身のウェブサイトで『火星の人』を連載していたが、読者からまとめて読みたいとの要望を受け2011年にkindleで出版。最低価格の99セントで売りだしたが、発売3ヶ月で3万5000ダウンロードを記録し、SF部門の売上げトップ5に躍り出た
Wikipediaより
まずは自分のサイトでSFを書き、人気になったのでそれをKindleにして、大ヒットしたので映画になったと。元の職業はプログラマで、サーバ管理者だったので似ている・・・え・・・ちょっと待って・・・
自分もブログ書いて人気がそこそこ出たので↓の「ブログまとめ本」をKindleで最低価格の99円(いまは108円)で出したら発売3ヶ月で1万ダウンロードを記録し、全体の2位に躍り出たけど映画化の話は来ていない!!悲しス!!
まあ、冗談は置いといて、この映画はまだ見ていないが、原作はひっじょーに面白かった。んが、この原作を映画にしろと言われたら、自分は途方に暮れると思います。原作のめちゃ面白い点を映像でどうやって伝えるのかといえば、ぶっちゃけ相当に無理だと思う。
予告編はWebで見たけど、どうも原作とはテイストとか楽しむ視点が全然違う気がするの。ストーリーも後半だいぶちがうっぽい。
よって本日は、映画がどうのこうのではなく(見てないから無理だし)原作の面白さについて語りたいと思います。
この評価見てよ。
火星に1人残された主人公ですが・・
US版が
彼を家に連れてこい
で、
日本版が
70億人が彼の還りを待っている
微妙にニュアンスが違う。Twitterでもいろいろ言われていたけど、原作本ではNASAが全ての資源を投入して「絶対に救うぞ」モードなのでUS版のほうが原作にずっと近い。予告編でも流れているのでネタバレでもないだろうが、火星の探査に向かったNASAのチームが主人公が事故に遭って行方不明になり、死んだというデータになったので砂嵐の危険が迫る中、自分たちだけで帰還してしまう。ところが彼は生きていて・・というストーリー。
宇宙モノの映画というと、恐怖に怯えるというか、なんだかわからないものとの戦いみたいなのが大半だが、この主人公はけっしてめげないし、鬱にもならない。ただひたすらに工夫して解決していく。いわばこれは宇宙版ロビンソン・クルーソーなんですよね。ユーモアにも優れているので、1ページに数個くらいの割合でギャグをかましてくれる。
でだ・・・この原作の面白さは、読んでも全ての人には伝わらないと断言できる。自分の偏見でいうと、すげー面白いと感じるのは日本人全体の多くて20%くらいではないかと思う。
「火星の人」がめちゃ面白いと感じる人物像について
かんたんな質問をしますので、以下、いくつ分かったか、自分で数えましょう
空気中の酸素は何%?
空気中で一番多いのは?
酸素と水素が反応するとなにになる?
空気中で水素ガスに着火するとどうなる?
人間が1日に必要なカロリー数は?
植物の成長に必要なのは、光と水ともうひとつなに?
映画だと宇宙船とかのシーンがたくさん出てくると思うのですが、原作ではSF戦記とかによくあるようなマシンの描写はほとんど全く出てこない。ひたすら、ダッシュ村みたいに、「生き延びるために必要な酸素を計算する」「酸素と水素で水を作る」「二酸化炭素を分解して酸素をつくる」「自分が4年生きるためのカロリー計算をする」というような、「主人公はどうやってこれを解決するのか」というのを
なるほどこうやったのか!
という視点で読むのがめちゃ面白いわけですよ。なるほどこうやったのか!!みたいなのとか、「いや自分ならこうしたとおりの回答だ」みたいなウンチクネタが楽しい。推理小説と少し似ている。
コレ全部、小学校の理科で習ったはずですが、放射脳の方のように単位がわからないとか、そもそも酵素と酵母の違いが分からないとかもそういう方がこの原作読んでも
ぽっかーん
じゃないかと思うんですよ。だって水素と酸素が化合したらH2Oだとか、そのためには水素の原子が2個と酸素原子が1個だとか、知らないと全く意味が分からないし面白くもなんともないでしょう。途中、プルトニウム238を使った小型の発電機RTGを掘り出して暖房に使うシーンとかでは気絶しそうでしょ。ww RTGと原子炉との違いがわからないはずだしな。
この原作を「おもしれー」って楽しめるのは、間違いなく
理系出身者
だと思うんですよね。そんなわけで、映画は見てないけど、映画の中でこの面白さをどう伝えたのか、そこが一番気になるんですが。見た方はどうだったのか、教えてくださいな。