傘下のイオンクレジットサービスが開発したアプリ「イオンウォレット」を使う。まずクレジットカードの請求額やイオン銀行の口座の残高確認、店舗で使えるクーポンの配信に対応。年明けにスマホ決済を利用できるようにする。アプリにクレジットカードの番号や利用期限、暗証番号を登録すると、スマホをクレジットカード代わりに利用できるようになる。非接触型IC「フェリカ」を使い、利用客はレジでスマホをかざせば決済できる。まず米グーグルのスマホ基本ソフト(OS)「アンドロイド」に対応。将来的にアップルの携帯端末「iPhone」でも使えるようにする方針だ。
このニュースでNewsPicksの意識高い系の人たちが「素晴らしい」「便利になる」とか賞賛の嵐なのは驚いた。あなたたち、イオンとか行ったことないでしょう。自分はというと静岡とか船橋とか木更津とか数カ所はある。イオンって基本は地方都市の周辺がメインで、東京にはたったの15店しかない。イオンモールも4つしかなく、しかも武蔵村山とか日野ととか奥多摩のほうとか、ほとんど西のハズレです。
この本で「地方の経済を回しているのはマイルドヤンキー」という視点が語られたわけであるが、
マイルドヤンキーはイオンで生まれてイオンで育ち、イオンで死ぬ
と、いう名言があるとおり・・・
イオン好きな私ですが、あんまりこれは意味ないと思います。店に行くと客層は主婦ばかりでイオンSIMにも興味なしです。WAONだけで充分ですよ。 https://t.co/YV1vk0wR2o
— tsukasamania (@tsukasamania) 2016年10月16日
駐車場はマイルドヤンキーの憧れと言われるアルファードとヴェルファイアだらけ。iPhoneで主婦はツムツムの世界らしい。
で、まず地方はどれくらいスマートフォンを利用しているのか。首都圏にいると電車の中はみんなスマホなので想像がつかないのであるが、いつもお世話になっているガベージニュースで細かな統計データを表にしていた。内容が非常に面白いのでぜひ一読ください。スマホの利用率って全体ではまだやっと50%超えたばかりで50%切ってるとこも多いんですよ。
トップの東京都は62.1%、最下位県の約1.5倍…都道府県別スマートフォン利用率動向(2016年)(最新)
表をお借りします。
まだこんなに低いのです。しかも地方と東京の格差が1.5倍・・・・
イオンのWAONにはAppleペイは対応してくれない
で、イオンはWAONっていうのがあります。
ひと言で言うと、イオンがやってる電子マネーです。ポイントがたまるのでイオンの依存度が高いみなさんはけっこう作ってるんではないかと思うわけです。2015年段階で発行枚数が5000万枚を突破しています!!!流通は年間1兆5000億円!!
これはなんと・・・・・日本の電子マネー市場の約半分のシェア!!!
※東京にはイオンがほとんどないので東京人だけが知らない・・・
しかしながら、iPhone7のApple Payは
WAONには対応しません!!
イオン側のリリースでは「将来的にアップルの携帯端末「iPhone」でも使えるようにする方針だ。」ということらしいが、それを決めるのはAppleでイオンじゃないのよ、悲しいことに。現状ではnanacoも楽天edyも、それどころかVISAもだめっぽい。
そんなわけで、イオンのヘビーユーザーがWAON使ってるなら、スマホ決済なんていらないの。Androidなら使えるが、イオンモバイルで売ってるarrowsM03ならおサイフケータイついてるけど、殆どの人は格安SIMでやりたいわけだから、半額のZTEとか買ってるでしょう。中華スマホにおサイフケータイなんてないから・・。
Felicaの発表資料では2016年9月で
おサイフケータイの所有率は
まさかの38.2%!! まあガラケーも含んでいるから・・・
しかし実際におサイフケータイ機能を使っているのはそのうちの
たったの26.5%・・・・4人に3人はおサイフケータイ機能は使っていない。おサイフケータイを使ってるのはすべての携帯電話を持ってる人のたった10%・・・これはね、間違いなく「設定が面倒くさいので使わない」って人がたくさんいるよ。
しかも大半は、おそらくは通勤用に電車に乗るときのSuica用とかだと思うので、首都圏の人じゃない??そして主婦はほとんどいなくて大半がサラリーマンか学生。間違いない。
そんなわけで田舎だとおサイフケータイの利用率はたぶん数%の下の方だと思うわけです。
しかも国内製のAndroidスマホはどんどんと落ちぶれて、ソニーも青息吐息でいつスマホから撤退するのかひやひやだし、富士通もパソコンとセットでLenovoにそのうち売却しちゃうんじゃないかと心配になる昨今、いつまで「なんでも盛り」のAndroidスマホか供給されるのか謎ですが、こちらの調査ですと2016年8月の日本国内のシェアはこんな感じで
ほとんどAndroidは虫の息・・・・
つまり田舎では通勤に電車も乗らないし、わざわざ携帯で決済しようというニーズが都会よりずっと小さいと思うのです。
仮にApple PayがWAONに対応したらどうなる?
いまのところ、可能性は非常に低いわけですが、仮に日本でのApple Payの利用率が全く上がらず、1兆5000億の流通に目がくらんでAppleがWAONに対応したとします。でもこれでみんながイオンでiPhoneで決済するようになるかというと相当に謎です。
1 設定がけっこう大変で、リテラシー低い人にできるとは思えない
そもそもiPhone7にApple Payが組み込まれていて10月下旬から日本でも対応すると、いったいどれだけの人が知ってますか。あなたが知ってるからって田舎のマイルドヤンキーが知ってるとでも思ってるんですか?
で、自分もApple Payが始まったらSuicaで使ってみようといろいろ調べたけど、ビューカードに訊いても、サイトを見ても、ほとんどよくわからない。JALカードに電話したらJALカードはApple Pay対応しないというのに、JCBに電話したらJALカードJCBは対応するはずという・・・・。もう訳が分かりません。こんな状態でスタートして、電車に乗らないマイルドヤンキーがiPhoneで決済するように設定できるとはとうてい思えない。ぶっちゃけ
WAONカードあるからそれでええやん
になること、間違いないと思います。
2 改札ニーズがない地域で、携帯で決済がそれほど重要か?
混雑した改札で鞄を抱えて出勤するサラリーマンや学生は、手に持ったスマホでそのままピッと改札できるのは魅力だし、必然性がある。しかしそもそも
買い物する主婦って手にスマホ持ってる?
ってこと。もちろんツムツムとかPokémonやってる主婦もいるだろうが、ほとんどの主婦はバッグに入れてるでしょう。買い物してバッグから出すなら財布でもスマホでも同じだし、そもそも携帯決済にしてしまったら、携帯落とした時や水没したときや、機種変更の時はどうするのって普通は思う。「携帯水没したら晩ご飯のおかずが買えないわ!」でございます。現金で払うとポイントがつかないので、素敵な奥さんたちはそういうのを徹底して嫌うのです。
ついでにいうと、スマホの電池が切れると買い物ができなくなります・・・・夜はおかず抜きです。
そんなわけで、イオンがスマホ決済導入するのは、たいした影響はないとは思うのですが、まあやってマイナスではないのでやるにこしたことはない。しかし日本経済が大きく変わったり、これで日本の流通決済に大改革が起きることはあと10年くらいはナイと思いますし、そもそも10年後には「生体決済」とか「網膜決済」とか、そっちに移行しちゃってると思う次第であります。
昨日のエントリーではAmazonの悪口書きましたが、それとこれとは関係なく、タイムセールでコレ買いました。海外旅行の必需品やね!!