昨年から世間を騒がせたWelq問題もいよいよ佳境に入ってきました。
宝島から
という本が出まして、わたしも一部協力した(執筆と取材は時間がなくてパス・・)ので見本が送られてきました。電子書籍じゃないのでどうしようかと思ったけど読んでみたらなかなか面白い。よくぞここまで取材したものだ。猛烈な気合いだが宝島って伝統的にこういうのが得意なんですな。コレ一冊読めば、Welqにはじまるキュレーション問題の99%くらいが理解できます。
で、本日、DeNAは調査報告書を発表。本日会見も開かれる模様です。
「法令上違反の可能性、倫理的にも問題」DeNAがWELQ問題の第三者委員会の調査報告書を公表
サンプルにしたのは10サイト37万6671件の記事。このうち複製権および翻案権侵害の可能性のある記事は1.9〜5.6%。これらの一部の記事については同時に公衆送信権侵害、同一性保持権侵害、氏名表示権侵害の可能性があった。
・掲載されていた画像472万4571点のうち72万7643点については、個別許諾されたものもあるが、公衆送信権侵害と氏名表示権侵害の可能性がある。
・WELQの記事19件についての調査では、薬機法(8件)、医療法(1件)、健康増進法(1件)に違反する可能性があった。
なんか、これだけじゃ無いだろ的な気がしますが・・・・
ぶっちゃけ、SEOとパクリの女王村田マリ氏は一度も人前に出ず、退職して逃亡だそうです。株式交換したDeNAの株を売り払って大金持ちになってるのかどうかは知りません。いつかみんな忘れてくれると考えてるのかもしれませんが、その昔、Google+で日本一になった早稲田を退学していた女子が学費を集めようとして炎上、逃亡したけど検索したらどっさり出てくるように、お子さんたちが物心ついて検索したらお母さんの話が山のように出てくるんですよ。どうするのかな。
Webメディアで儲けるとか誰が言ってるの
DeNAがIEMOとMeryを高額で買収したもんだから、自分も高額で売り抜けてウハウハしたいとばかり、異常な数のキュレーションと称するパクリサイトが乱立しております。Googleが日本向けにアルゴリズムを変更して、いわゆるキュレーションサイトの順位を大きく下げました。
朝日新聞は2月、IT・サービスや金融、小売り、教育など検索を通じて顧客獲得を図る12業種の上場100社(ホールディングス傘下も含む)にアンケートを実施。回答した72社のうち23社が最近5年間にグーグルからガイドライン違反の通知や警告などを受け、2012年7月~16年4月に順位を引き下げるペナルティーを科されていた。先月3日には、グーグル日本法人が検索結果の順位を決めるアルゴリズム(情報処理の手順)の変更を発表。朝日新聞の取材では、この前後に、旅行や生活のまとめ情報を提供する人気サイトのうち10件超が順位を大きく落とすペナルティーを受けていた。
Googleの発表
日本語検索の品質向上にむけて2017年2月3日金曜日
とまあ、内容のないバクリサイトはいまや高値売り抜けは無理だろう的な流れの中、順位が下げられて広告収入も減るという潮流になっているわけです。
きちんとやったら儲からないビジネスモデル
で、DeNAがなんでWelqみたいな事業を始めたのか。で、ある。
実はDeNAのキュレーション事業は事件にならなければ2016年通期は10億円くらいの利益を予定していた。しかしぽしゃったことで2016年4月から12月で40億円近い減損を計上。10億円の利益といったってもともとDeNAは売り上げ1000億を超えるわけで、誤差みたいなもんなわけです。Webメディアとしてのその程度の広告の儲けで事業の柱になるとは思ってなかったはずだ。それより検索上位を占めて大量のトラフイックを獲得することで、将来に向けていろいろなビジネスに転用できると考えていたと思う。DeNAの資本力があれば、次につながるものがでてきたときに使い方を考えよう程度じゃなかったのかなと思う。
しかし、である。なんであんな1文字0.5円の安いコストで素人ライターに依頼し、編集も校正もしないで粗製乱造したのか。答えは簡単です。
まともにやったら儲からないから!
です。新聞社や東洋経済やダイヤモンドなど、既存のメディアが紙であって、その取材をネットで配信するのと違い、ネットのためだけにプロの編集者がついて、プロが取材して、校正していたら、全くペイするわけもない。プロのライターの原稿料って、DeNAの素人ライターさんの10倍くらいはするんですよ。しかも1日200記事とか掲載していて上位を占められる訳なので、パクってきたものを粗製乱造でもしないとペイするわけがないのです。1日原稿料だけで10000万で月にいくら使うのよ。つまりは、素人窃盗団が盗んできたものを安く売りさばくビジネスモデルだったから利益も出そうになったわけ。
DeNAの本日の報告書にもありました。
で、いまからビジネス的にWebメディアということを考えてみる。同人誌みたいにジャンルを絞って少人数のライターでしっかりやっていくWebメディアは間違いなく存在できると思う。が、広告売り上げは行ってもやっと億くらい。数名かせいぜい10人くらいが生活する程度は稼げるとは思うが、上場したりでっかいビジネスになるとは考えづらい。だから大企業がいまさらWEBメディアに進出とかないだろうと思うし、儲けようと思って編集経験もないのに「Webメディアやろう」とかリスク高すぎます。
好きで細々と、しかし本気で運営する。それを楽しみにやっていくなら、原価がかからない分小規模なWEBメディアというものはあると思う。しかしライターに外注しまくってバンバン儲けようとか殆どないですよ・・・・・。それができないからフェイクニュース作って儲けようとか考えるんだよ。
ライターにお金払ってだと全く儲からないから、古くは巨大掲示板やNaverまとめや食べログみたいに勝手に投稿させて勝手に記事を作るプラットフォームに広告だけいれてやっていこうという流れだったのに、ぐるりと一周回って自分たちで記事を作るとか、雑誌の時代に戻りそうなありえない妄想が走ったここ数年なのでした。