Facebookでこんな広告が回ってきました。
孤独のグルメは知ってましたけど、こっちは知らなかった。で、コメント欄に
野武士は武士じゃなくて強盗ですよ
と書きましたらしっかり削除されていました。ww
本日は正しい野武士の知識について、時代小説マニアのわたしが知ったかぶりで語りたいと思います。
まずNetflixさんのPR動画では・・・野武士は戦乱の時代に1人で世を渡る男らしい・・・・
が、野武士って一般のイメージでは
でございまして・・・・いつからいいイメージになったのだろう・・・謎。そして「集団」ですぜ。
日本を代表する名作「7人の侍」では村を襲って非道の限りを尽くしておりましたよね。
こちらの三船敏郎は「野武士」ではなく「侍」(格好見ると足軽)のほうなんで、これより人相が悪くてボロボロの格好して村を襲って殺しまくって強姦しまくるのが野武士です。野武士って昔はいわなかった。
野伏せり
だったと思うんですよね。
時代小説に出てくる野武士系の人(本人は野武士ではなくて土豪といってる)で一番有名なのは、後に大名になった蜂須賀小六だったと思うのです。江戸時代には蜂須賀家の江戸屋敷の隣の吉良邸に赤穂浪士が討ち入りました。
豊臣秀吉の一生を描いた太閤記はいろんな人が題材にしています。宮本武蔵の吉川英治の
とか、司馬遼太郎の
とかですね。
非常に面白い。もちろんフィクションがたくさん盛り込まれてはいます。で、最初のシーンが御厨の野武士に村が襲われるシーンが出てくるのですが、秀吉の幼少時の名前の日吉は
しゃあ、おじさんは泥棒なんだね
と、恐れもなく言ってのけます。w
蜂須賀小六は野武士の親玉の土豪の頭目で、強盗団よりややマシ。で、最初に強盗を働いた部下を叱るシーンに
「人と生まれてだ・・・今の世の乱国に生まれてだ・・・・もっとも恥ずべきは徒衣徒食と領民いじめだ」
「諸国の土豪という輩がみんなそれなのだ。野武士という奴がみんなその類いだ」
というシーンがありまして・・・
まさに野武士 = 強盗団
いまでいうとマッドマックスとか北斗の拳によく出てくる人たちですな。合い言葉は「ヒャッホー」。
野武士は「平常は町に住んだり田畑を耕したり」していて農民や商人と変わりがない。ただし根っからのそれではなくてなにかあったら金稼ごうという輩なのです。一番違うのは「領土」の感覚で、大名みたいにはっきりとした領土がない。どこの城に所属しているとかそういう明確な所属がないのです。で、頼まれたら傭兵としてお金をもらって合戦には出る。そんなゲスいみなさんです。
蜂須賀小六はその中でもモラルの高い人で、もともと秀吉が日吉だったときに針売りをしていて小六に見いだされて部下になる。で、蜂須賀小六は金をもらって潜入破壊工作員というか乱破(これが昇華したのが忍者)みたいなことをしていたが、日吉はやってることに嫌気がさして逃げ出して信長の配下になるのです。
のちに有名な秀吉の出世のきっかけになった州股城構築の時に、藤吉郎(当時の名前)が信長に蜂須賀小六を召し抱えるように進言し、そのあとで蜂須賀小六は秀吉の臣下になるのでした。
もっともこの藤吉郎ストーリーは史実的にはどうもフィクションの要素が強く、検証本とか読むと「そんなわけないだろ」がたくさんありますが、「野武士」については
野武士(野伏せり) → 乱破 → 忍者
→ 野盗(野党ではない)
→ 武士に召し抱えられる
の3パターンがあるように見えます。
で、召し抱えられて武士になったらもう野武士ではありません。ww
では正しくはなんと言えば良かったのか
そんなわけで、野武士はグルメとかそういうのにはほど遠く、農民殺してかっぱらってきた濁り酒飲んで雑炊食うくらいの食文化で、「野武士の魂を持って食べ歩き」したら、無銭飲食の連続です。よってどうも、「野武士」という表現はよろしくないと思われます。おそらくは
武芸者
といいたかったのではあるまいか。宮本武蔵、佐々木小次郎、鹿島の塚原卜伝、伊東一刀斎、自分的には薩摩示現流の東郷重位とか好きなんですが
こういう方を指していうならまだ分かります。彼らは一匹狼(のちに召し抱えられますが)で世を渡って剣術を磨くわけで、正しくは「武芸者のグルメ」ではないかと思いますが、宮本武蔵とか読みますと
食い物の話なんてほとんどでてこない。でてきて干し飯とか雑炊。飯にこだわるとかグルメにこだわるなんてあり得ない価値観なわけです。へたしたら雑草食ってる。グルメに一番遠い人たちなんで、ピンとこない。「ガタルカナルのグルメ」くらいピンと来ない。
そんなわけで、言葉の語呂合せだけでタイトル付けるとこれだけ突っ込まれるという見本ということで本日は終了します。