昨日Appleストアに行ってきました。例の「iPad Pro 10.5のキーボードがパコパコ問題」ですが、スタッフに見せたら向こうも思わず笑ってしまうほどでその場で交換になりました。最初は交換用在庫がないといってたのに「また来るの面倒だから送ってくれ。でもまたそれがパコパコなら怒るよ」と言ったら出てきました。w その場で確認したら確かに浮き気味ではあるが今のに比べたら雲泥の差なので交換してもらったとさ。
さて、本日は「ブランド」についてのお話であります。
みなさんは「ブランド」といえばなにを思い浮かべますか?
ヴィトンにシャネル、Appleに松阪牛。なかには「Made in Japan」とか、安曇野とか、成城みたいな地名などを挙げる人もいると思います。自分もブランディングの仕事は大手企業から中小零細までいろいろやりました。身内には「えっ、あの誰もが知ってるあのブランドの立ち上げのマーケティングやったの」みたいな人もいます。
Web構築とコンサルティングについても、個人企業主の場合は「最終的に有名になってテレビに出る」ということを目標にWeb運用してもらい、実際にテレビに出まくりになったり本の執筆依頼が来るようになるわけです。この場合は「個人としてのブランディング」な訳です。
先日、小池都知事が「ブランドとしての築地」ということをいい、それに対して仲卸の方が「築地ブランドは場所ではなくて人だ」と反論していたのを見まして、どうもこれはサービスのブランディングと個人のブランディングを混同しているなと思いました。本日は築地のブランドってなんなのかを例に挙げて、わたしの個人的な見解を語ります。
まず最初に結論いっちゃうよ
築地のブランドは人ではないと思います。現在の築地は何度も書いているとおり、加工と冷凍のような目利きがそれほど重要でないものは激減して、残っているのは鮮魚だけです。これには「目利き」というものが介在していますので、「築地のブランドは人だ」というのはこれを指してると思います。
では質問です。
築地で目利きしている人の名前を何人言えますか
99.99999%の東京都民は1人も言えないと思うので、築地の目利きの人はブランドではありません。中の人の誇りとか気持ちはわかるんですけどね。
逆に「すきやばし次郎」の小野二郎さん、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川さんや高須院長は立派なブランドだと思うんです。「この人なら間違いない」「この人のやることは凄い」という認知が一般の人にも広く浸透しています。ファッションデザイナーや成長著しいIT系のオーナー社長とかもそんな感じ。ジョブズやAmazonのベゾスもその部類。
同様に松阪牛はブランドですが、それを育てている農家のベテランの爺さんはブランドではありません。安曇野はブランドですが、そこの工場で働いている工員さんはブランドじゃないのです。中には「築地でマグロの目利きしたら一番」という人と同じように「松阪牛育ての名人」や「ネジを削らせたら日本一」の職人さんもいると思いますが、そうした人たちはブランドではなくて、生産したものにブランド価値があります。
築地のブランドが人であるなら、仮に築地のマグロの目利き名人がスカウトされて大田市場の仲卸に移籍したら大田市場がブランドになるはずですが、そんなことはないですよね。
では築地のブランドってなに?
では、築地で流通している魚はブランドか。というとそれも変です。都内の飲食店で「当店は××港直送です」と謳ってるところはあっても「築地直送です」といって客がどんどん来るというのは聞いたことがありません。築地から入ってるのはフツーだからですよね。仮に築地がブランドなら「大田市場の魚なんかより築地の方が100倍美味しい」って言う人がたくさんいないといけないのですが、聞いたことがありません。
ではいったい、「築地ブランド」ってなんでしょうか。
ブランドとは一般消費者に認知されているものを指します。一般の人たちにとって、築地のイメージはどんなものでしょうか。テレビ番組で出てくる築地は移転問題を除くと
美味しいものがある街
ということでの露出が一番多いはず。場内と場外の区別は普通の人はつかない。場内には39店舗あるらしいが、これらは豊洲に移転となれば一部を除いて一緒に移転するそうです。
が、場外には39店どころではない飲食店があります。築地場外市場っていうサイトがありまして。そこを見ますと
中央卸売市場(場内)の豊洲移転が延期になりましたが、われわれ築地場外市場は移転しません。今後も、現在地で営業してまいります。
と明記されております。場外なんで引越費用も自分持ちだから誰も行かないよね。ちなみにこのサイトに掲載されている飲食店は100軒以上で、場内の飲食店の3倍です。寿司屋だけで31軒!!!
紀文が1万人に調査したデータがあるのですが、設問は「築地」に持つイメージとして近いもの 」ということで「美味しいものが食べられる」みたいな回答がないので市場としてのイメージになりますが・・・
一般の人はこんな感じ。「活気」と類する同類の回答ばかりなのがアレですが「でかい」「活気」みたいなのがイメージです。これはちょっとブランドとは違う。「でかいから買う」「活気があるから買う」という行動になかなか結びつかない。「伝統がある」というのはブランドイメージです。
中央区での調査では飲食店についても出てまして
「築地というブランドは区内にある飲食店や小売店のイメージアップに貢献している」と回答している飲食店が65%もあります。「ズバリ、築地と聞いてなにを思い浮かべますか」みたすな調査が探してもでてこないのですが、「美味しい街」みたいな回答が多いのではないかと推測できます。
海外からの旅行客はどう思っているのか。国土交通省に非常に詳しい調査結果がありました。
シンガポール、タイ、イギリス、フランスでも現地調査しているのですが、築地が出てくるのはシンガポールです。
予想通り、右下の「食事」のところに出てきました。他の国で地名が出てくるのはフランスだけで、なんと「網走!!!」。フランスでは網走が美食の街らしいですよ。
かなり探してもないので、これだけから結論づけると、「築地は食としてのブランド」というのは間違いないです。で、飯食うついでにマグロも見る(たいていは競りは終わってしまってる)。マグロの競りを見に来てついでに飯食うのではなく、先に「飯」があるのではないかと。
日本のフツーの人も「築地に行く」というときにはまず「何食べよう」があって、ついでにマグロの競りでも見ようになるのではないかと。実際ににマグロの競りは午前5時25分から6時15分らしいので、よほど変わったもの好きじゃないとなかなか行かないとは思いますが・・・定員もたったの60名×2・・・
話が長くなりましたが、築地のブランドは「場内、場外の美味しい店」というのがわたしの見解です。豊洲移転すると場内の39店舗は移りますが、それよりずっと多い場外はそのまま築地。となるとよく移転派が言う「豊洲ブランド」というものはできないんじゃないかと思いますよ。「豊洲ブランド」とか言っちゃってる人はどんなブランドだと考えてるんでしょうか。
話を戻すと、豊洲が移転しようが築地の場外の飲食店がこのまま頑張れば築地ブランドは健全だし、観光客はド早朝しか競りを見学できず30数店しかない豊洲より築地に行きます。築地のブランドは永遠です。この点で小池さんが「築地ブランドがあるので豊洲から市場を戻す」というのが謎なのですが、戻すなら観光客に配慮して鮮魚中心のド早朝以外にも観光用の競りをやってる観光施設としてはあり得るとは思いますが、単に市場だけ持ってきてもたいして意味ないとは考えますよ。そもそもブランド外のものを移転させるんですから。
沖縄の観光市場みたいに市場で魚買って自分で中の飲食店に持ち込んで料理してもらうみたいのなら観光資源になるかも。沖縄のそれは実はめちゃ高いしあまり美味しくないと自分は思いましたけどね・・・
そして日替わりセールにトランプ大統領の誕生を一年前から予言していた木村太郎さんの本が登場。自分はアンリミテッドなので無料なので速攻でゲットしました。