消費者庁が仕事しています。
だいたいこれを読むと概要が分かるが、消費者庁の出した新しい方針に関しての詳細な元レポートは以下です。
強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、仮に例外などがあるときは、その旨の表示を分かりやすく適切に行わなければ、その強調表示は、一般消費者に誤認され、不当表示として不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)上問題となるおそれがある。
この「打ち消し表示」というのはなにかというと
あくまで個人の感想です
というみたいなやつです。効果効能体験のあとでしらっと小さく出てくるアレだ。TVの通販番組や折り込み、ネット広告でよく見かけますね。
実例もいくつか挙げられています。
この打ち消し型がどのように逃げ道として使われているかの詳しい調査結果です。
表示物の収集の結果、「例外型」が 29.8%と最も多く収集されており、次いで「体験談型」が 22.9%であり、「例外型」と「体験談型」で収集した表示物のうち約半数を占めた。また、新聞広告では「体験談型」が最も多く、その他の媒体では「例外型」が最も多かった。
なお、体験談が使用されている表示物の中には、(ⅰ)効果、性能等を示す表示(例:「この商品を飲めば5kg 痩せます」という表示)に加えて体験談を用いる場合と、(ⅱ)具体的な効果、性能等を明示せずに、体験談を用いる場合の2種類がみられたが、いずれも体験談型として分類している。
ではこの「打ち消し部分」を消費者がどのようにして見ているのかといいますと・・・
回答者 1,000 人のうち 57.1%~75.1%が注意書きや注釈を「見ない(読まない)」と回答。普段から打消し表示を意識していると考えられる回答者(680 人)であっても、49.7%~73.1%が注意書きや注釈を「見ない(読まない)」と回答した。
要するに
打ち消し入れても大多数はよく見てない
ということ。このレポートは物凄く丁寧によく解析されていて、仮の広告まで作ってABテストまでやっている。凄い!! 消費者庁最高だよ。
カギを握っていたのは、消費者庁表示対策課の大元慎二課長だった。公取委から昨年6月、消費者庁に異動してきた。公取委時代には、多くの景品表示法違反事件を手がけた。公取委は2008年、打消し表示の実態調査を行い、「望ましい表示」をまとめている。だが、わかりにくい打消し表示は依然として目立つ。大元課長はこう言う。「消費者がどう受け止めているのか大規模な調査を行い、問題点を明らかにし、事業者、消費者にしっかりとしたメッセージを発信すべきと考えた」。そこで、異動後すぐに、この調査を計画し準備にとりかかった。
やるな〜大元課長!! まさに神!!
このレポートの最後で、健康食品や効能化粧品、健康機器などの業者が愕然とする記述があります。
体験談により一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要であり、商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における(ⅰ)被験者の数、(ⅱ)そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合、(ⅲ)体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すべきである。
つまり、体験者談を書くときは、
エビデンスを併記しろ!!
ということになっています。何人でテストしたのか。効果が出たのは何人で出なかったのはどれくらいか。コレ全部書かないと体験者談とか記載してはダメに法制化されることでしょう。
これ、深夜にやっているお腹をひっこめる器具とか、シミを消す健康食品とか、すべて「みなさんにテストしてもらいました」ということにするときは、いままで何人でテストしたのか、全然効果なかった比率はどれくらいかまですべて書かないとだめになるわけさ。これ、すべて記載するとなるとウソ書いたら一発で今度は不当表示でやられる。
しかしここまで詳細に出てくると業者はもう何も言えませんな。反論するなら自分たちもABテストやってデータださないと。w
影響を受ける業界はどこだ
「体験談を出すなら詳細のエビデンスを併記しないといけない」という規制ができると、非常に幅広いジャンルの広告に網が掛けられることになる。Yahoo!にもこうした広告が現在多数入ってるわけですが・・・
全部アウト!!ですね。
だいたい「タレントが使ってます」みたいなのが一番怪しい。そもそも使って綺麗になったわけじゃなくて、元から綺麗だから使ったことにしているのが明確じゃないか。ライザップがヒットしたのは実際に有名人が痩せる前と痩せた後の比較を掲載したからだが、健康食品や化粧品にタレントが使用前、使用後の写真を掲載しているのはみたことない。使用後しかなくてどうして使ったからってわかるんだ?
しかし、である。消費者庁の資料を見ると、規制しようとしているのはダイエットや健康食品や健康機器に限らないのである。「あくまで一例です」と書くのは×なんだから、情報商材なんて全部ダメだな。ww Instagramにアフィリエーターがウザいほど入れてくるスマホ留学も当然ダメ。「スマホ聞くだけで英語が2ヶ月でペラペラに」というなら
○何人が実際ペラペラになったのか
○全然上達しなかった人の比率はどれくらいか
というエビデンスを明記しないと消費者庁から指導を喰らう。ww
バカだからわかんないと思うんだが、Instagramに著作権侵害のTVの動画を勝手に使っての広告は極悪だね。いつかテレビ局から訴訟起こされると思うよ。
では、アフィリエーターはどうなるのか。
これは実は長期的には規制の網がかかるが、短期的には我が世の春になる可能性もある。極悪メーカーは自社では体験者談を使えないから、アフィリエーターが勝手に自分の体験を語ってるということで逃げようとする。もちろんその体験が本当なら「自分のこと」として書く分には差し支えないのだが、でっち上げなら虚偽広告になる。
消費者庁をはじめとする官公庁はアフィリエイトサイトがよくわかってないから、こうした「うちの知らないところでやっている」に騙されてしまうのだが、実は出稿先とは広告契約を代理店を通じて交わしているわけで、そんな言い訳が通用する由もない。広告内容を出稿主が確認するのが常識だからね。良識ある大手のASPは法制化されればきちんと対応してくるのではないかと睨んでいます。
自分、本来のアフィリエイト広告は、出稿主にもリスクがないし、メディア側も成果を出そうと配置とかいろいろ頑張るわけで、ちゃんとしたビジネスだと思うわけです。そもそもネット広告ってもはやすべてアフィリエイトといってもよい。AdSenseもAmazonもすべて成果報酬型だからね。雑誌や新聞は効果の保証がなかったからむしろぼったくりだったとも言えるのだが、アフィリエイトは成果報酬だから真っ当だと思うんですよ。ただし、ちゃんと運用したらね、の話です。