昨日、昼飯食いながらテレビ見てましたら、めぐみさんの番組で北朝鮮のICBMの話をしてまして、そのときにおばさんコメンテーターが
「水爆積んだミサイルは迎撃したら放射能が飛び散るから迎撃もできないですよね」
と口走って、ほかのコメンテーターさんたちが慌てて迎撃してました。w
こういう印象って3.11のときもあり、
「原発が核爆発する」
と思って騒いだ人もたくさんいました。ww
原爆と水爆の前に、まずはここからいかんといかんね・・・ハァ。
ということで、本日は超初心者向けに簡単に説明しようと思います。専門家ではないので常識範囲ですから細かい部分でツッコミは不要です。だいたい原子記号とかいっぱい並べるだけで普通の人は頭痛を起こします。
いまだに「原発 核爆発」で検索するとたくさんバカが騒いだ痕跡がでてきますが、原発はいくらどうやっても核爆発しません。
原発も原爆も同じ核分裂を利用したものですが、燃料が違う。ガソリンは着火しやすくて石油ストーブに入れて着火しようものなら爆発するが、灯油はそうならないのと同じです。
原発や原爆の材料のウランは何種類もあって、殆どがウラン238、わずかに235というのがあって、これだけを取りだして濃縮して濃くすると原爆の材料になります。原発は数%くらいの濃度。原爆は80%くらいの濃度でないとダメなのです。実は旧日本軍も原爆の研究はしましたが、日本の人形峠あたりで採掘されるウランは量が少なく、原爆に使うくらいに濃縮するだけの量がなかったのです。埋蔵量が多かったら日本もやってたでしょ。
原爆とはなにか
広島に落とされたウラン型と長崎のプルトニウム型がありますが、とりあえずウランのほうで説明。
高濃度のウラン235は、一定量が集まると臨界点に達し、一瞬に核分裂反応を起こして核爆発します。ウラン235は46.5キロ集まると自然に核爆発するのだ。比重調べたら19.1だったから、大きさは2434立法センチメートル。つまり2.5リッターくらいの大きさで原爆と化す。
簡単に描くとこんな感じ。暗号かっ!!
構造的には70年前くらいにできたわけですから、簡単と言えば簡単。2つにわけたウラン235をぶつけりゃいいわけですから。核兵器は中学生でも作れるというのはコレです。
ウランの写真がWikipediaにありました。昨日また寄付したので許してくれ。
もちろん放射線は出てますが、核爆発するときのように強烈ではなくて防護服着たら手で持てます。ちなみにウラン235の半減期は約7億380万年ですから、生物が地球上に現れたあたりの地球の放射線量は物凄かった事が分かります。
ウラン235の毒性はこんな感じ by 原子力資料情報室
アルファ線による内部被曝が問題になる。不溶性の二酸化ウランの10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は61ミリシーベルト、経口摂取した時は0.083ミリシーベルトになる。可溶性の硝酸ウラニルの10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は6.1ミリシーベルト、経口摂取した時は0.44ミリシーベルトになる。
放射線にはアルファ、ガンマ、ベータとあり、アルファ線は紙1枚でも防護できるし水中では1ミリしか進めない。つまりウラン235は近づいても防護服着ていて飲み込まなければいいのであります。だから核弾頭積んだICBMが飛んできて、それを迎撃して破壊してウラン235が飛び散ったとしても、そもそもウラン235は自然界に存在してる元素なわけだし、迎撃しないで核爆発を起こして広範囲に数百万度の超高熱と爆風を振りまかれるよりずっと被害が少ないのであります。ここまででよろしいでしょうか。
原爆と水爆の違い
先日、北朝鮮が実験に成功したのは水爆です。実験場は自爆テロ並に地滑り起こして中国でも震度6。北朝鮮内だと震度7とかの烈震だったんじゃないかと思うので、ぼろ屋ばかりの北朝鮮内では相当な地震被害が出たのではないかと思うのですが、ザマア・・・・。
このように水爆は原爆よりずっと大きな破壊力がありますが、ほとんどの人は違いが分からない。Twitterでアンケートしたら
あなたは水爆と原爆の違いが分かりますか
二択でお答えください— Isseki Nagae/永江一石 (@Isseki3) 2017年9月6日
こんな感じで4人に3人がよく分からないようです。
子供に嘘を教えないためにもこの本くらいは読んだ方がいいですよ。
水爆 = 水素核融合爆弾
原爆 = 原子核分裂爆弾
なわけです。で、3.11のときに福一の建物が水素爆発で屋根が飛びましたよね。あれは水が熱で水素と酸素に分解されて家屋の上に軽い水素が溜まってそれに着火したので、あくまでも「燃焼」であって水爆じゃありません。www それを間違えてるバカブログ多数。水爆なら周辺10キロくらい蒸発したわ。
水素は燃えます。危険なので風船には水素ではなくてヘリウムをいれるわけですが、中国では安い水素を詰める場合があり、事故多数だそうです。ナチスドイツがヒンデンブルグという飛行船を作ったのですが、連合国がヘリウムを禁輸にしたので水素を詰めて飛んで大爆発したのは有名ですが、あれも燃焼であって水爆じゃありません。
水素爆弾は核分裂ではなくて核融合を利用します。核融合は未来のエネルギーと言われてまして原発より格段に制御が難しいが、原発と違って暴走がないので世界中でいま実験開発中のアレです。コレを制したものが世界のエネルギーを制します。ガンダムのエンジンは小型核融合エンジンとなっておりました。w
水爆は
核分裂よりエネルギーが格段に大きな核融合
を利用した爆弾なんです。普通の水素ではなく原子核に陽子と中性子1個ずつの重水素を使用します。「水素爆発」の水素は普通の水素ですけど水爆の水素は重水素で根本的に別物です。「水素」が同じだけで同一視するのは、アフリエイトといってもAmazonもあれば詐欺情報商材もあるくらいの別物ということがわからないのと同等。ww
核分裂では爆弾の規模に限界があり、広島型の10倍がせいぜい(一定量超えると核爆発するから片方をギリギリのサイズにしてもそれ以上は無理だろうよ)なのにたいし、核融合では上限がありません。太陽だって核融合ですからね。人工的に小さな太陽を作ると思えば良い。
作り方ですが、こちらもWikipediaに想像図が出てました。
重水素に核融合反応を起こすためには莫大なエネルギーが必要です。物凄く簡単に言うと、
原爆を炸裂させてそれで重水素を圧縮して
核融合反応を起こして小太陽を作る。
核分裂で核融合を起こすわけですぜ。つまり原爆よりずっと高度な技術を必要とします。北朝鮮が水爆まで完成させたというので世界中がおったまげたわけですね。
水爆を搭載したICBMを撃墜した場合、中身は原爆+重水素もろもろなわけで、原爆搭載のICBMを撃ち落としたのと同じことになります。撃ち落としてウラン235(ウラン型の場合ね)が2リットル(個体なんでリットルは変か)ばらまかれるのと、頭上に小型の太陽が出現するのとでは被害の大きさがアリンコと象に踏まれるくらい違う。よって、水爆ICBMも発射される前になんとかしないと大変なことになります。
ICBMって成層圏から隕石の速さで落ちてくるのでそもそも撃墜はほとんど無理なんよ。水爆を弾頭に仕込んで発射態勢に入ったら発射される前にアメリカ軍、韓国軍は総攻撃に入るだろうが、仮に一発撃たれて日本のどこかに着弾し、さらに何発も日本に向けて発射準備中だとすると、それを攻撃しないとさらに多くの都市が蒸発してしまう。
こうなると日本も巡航ミサイルのような反撃力を持たないと防衛できないというのがいまの議論です。いまの自衛隊では全くもって敵地の攻撃はできません。北朝鮮に届くミサイルも北朝鮮にまで行ける爆撃機もないよ。今は諦めてどんどん撃たれるのを待つのみです。
そのあたりはこの漫画で。
個人的には中国に対して、「北朝鮮を抑えないと自衛のために巡航ミサイルを配備せざるを得ない」と通告すべきだと思いますけどね。これが話し合いで解決するって事です。