医療情報サイトは弁護士ドットコムを見習え。それだけだ

2017年10月1日

昨年のWelq事件のあと、その後釜を狙って有象無象の適当な、アフィリエイトというか、トンデモやインチキ広告が満載の自称医療サイトがたくさん出てきているのは皆さん、ご存じの通りです。

ヘルスケア大学「医療記事の大量削除」が判明 信頼性批判に無言の対応

調査は病名を検索した際に表示される、同サイトの1399本の記事についておこなった。このうち「ご指定のページが見つかりません」と表示されるのは、631記事だった。

半数の記事を削除。w

しかし、ほかにも大量にクッソ医療サイトは存在し、その多くがトンデモ系のサプリやガンのトンデモ療法や怪しい美容整形のアフィリエイト広告なんかを貼っている。困った時に検索する「ネガティブキーワード」はかなりの集客があるので、健康や美容に悩んでいる人を集めて、トンデモ医療病院に誘導したり、サプリメントを買わせようという企みです。明らかに素人やがやってる金儲け目的のひどいものもたくさんある。最終的にはアフィリエイトの広告収入ではなく、医院の出稿料でやっていくがとりあえず検索上位を取るという意図のあるサイトもいくつかある。

困った時の検索を考えると、医療以外には「離婚」「遺産相続」「法的トラブル」もかなりのボリュームがあるはずだが、こちらは検索するとほとんど弁護士ドットコムにいく。内容は弁護士が解説しており、しかも複数の弁護士が書いていることが多いから、違う意見も比較して読むことができる。

弁護士ドットコム、売上高・各利益において大幅増収増益 内田社長「当面はメディア力・会員数を伸ばしていく」


弁護士ドットコムはこんなに成長している。みなさんは不思議に思いませんか。どうして同じ士業でも弁護士ドットコムは上手くいって、医師・医療系はこんなトンデモばかりなのか。理由はいくつかあると思います。

ビジネスモデルと広告主の種類

弁護士ドットコムは、そもそもが登録弁護士から徴収するお金で運営されている。弁護士マーケティング支援サービスと呼んでいます。

ところが多くの医療情報サイトはそうではない。
サイバーエージェントがスタートしたのがそれを狙っているものと思われるが、トンデモ医療サイトの多くの出稿主はサプリであったり、高額なトンデモ医療を売りにする医院ばかりです。おそらく小林製薬あたりが最大の広告主ではないかと思う。小林製薬は先月にアフィリエイト広告の出稿を停止したらしいですけどね。

法律でいうと、トンデモ弁護士事務所もあるだろうが、あまりトンデモなことをすると弁護士会から追放されて開業できなくなってしまう。また、広告を出している弁護士事務所はそれほど多くない。アディーレくらいしか思い浮かばない。そもそも広告主が少ないのだ。

だからそもそも素人がトンデモ法律情報サイトを開設して広告で儲けようと考えても、広告主が少なくて商売にならない。また、医学部出身者と比較して法学部出身者の数は半端なく多く、素人でも法律にそこそこ詳しい人間は多いから、クラウドライターに1記事500円で書かせた程度ではすぐに間違いを指摘されてしまう。さらに弁護士ドットコムという強力なサイトの上に出ることはほとんど無理という物理的な現実もある。

これと比較すると医療系はトンデモな広告主が非常に多くあり、とにかく検索上位にさえくればそこそこの金は儲かる。故にそこに食いついてくる輩が多いとも言える。

経営母体がそもそも違う

一番異なるのが、弁護士ドットコムの経営陣が、もともと弁護士の集団だったということです。

弁護士さんたちが経営しているわけだから、トンデモな法律記事は「これはおかしい」とわかる。原稿を書いているのも現役の弁護士さんたちだ。しかしトンデモ医療情報サイトは書いているのは1記事500円のクラウドライターで、しかも経営者は医療の知識もない、元営業マンだったりするわけです。

医学の素人、無資格者が経営や編集をしているわけだから、書いていることが医学的に正しいのか、それともトンデモなのかもわからない。政治のことに無知な人間は政治論壇サイトはできないし、経済な無知な人間も同様だ。しかしWelqの時もそうだったが、医療に無知な人間がやっているからおかしくなるのです。当たり前すぎる。人の命や原稿に関わるのにこれほどめちゃくちゃなことはない。

となれば、正しい医療情報サイトは「最低でも医学部出身か医学の知識がきちんとある人」によって運営されるべきで、そうでないものはやるべきではない。厚生労働省はちゃんと通達を出すべきなのである。
「医療サイトは嘱託や契約ではなく、内部に資格取得者が常勤で存在すること。そしてその名前を掲げること」というのを出す。そうすれば一気にトンデモ医療サイトはなくなるだろう。

そういう意味で期待しているのはバズフィードがスタートさせる「BuzzFeed Japan Medical」だ。

医療・健康情報に特化した「BuzzFeed Japan Medical」スタート 専門記者が担当

儲けるとかそういうのを第一にせず、あまりにひどいのでついにバズフィードがやるしかないになったと推測するが、バズフィードでいままでトンデモ医療サイトの批判記事を書いていた朽木さんは国立の群馬大医学部卒。

本来は厚生労働省が音頭をとって日本医師会と連携してやるべきだとは思うが、両方ともネットにはひどく疎い感じがする。それこそ、資産家がポーンと数億くらい拠出して、大学の医学部のインターンや指導者を組織して、本当に正しい医療サイトを作ってくれればいいのになあと思う昨今です。

10月になり、Kindleの月替わりセールにわたくしの本が登場。210円なんで、一家に一冊。ぜひ。

  • 0
    このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
    follow us in feedly
PAGE TOP