ちょっと前に下書きしてあったブログ、公開するのを忘れていました。日曜ですけどささっと公開してしまいます。
先日、久々に感動を覚えた記事。面白かったのでFacebookに投稿したらたくさんの人がシェアしていた。マスコミ不信が言われる昨今だが、これだけ本音で語られたケースは無いと思うくらいだ。
【Journalism】7月号より 「橋下現象」をどう報ずるか
朝日新聞の大阪の次長さんが書いていられるのだが、超面白い。なにが面白いかって、それが本音で掛け値なしの(たぶん)形成されているからだ。
記者が街に出て、維新の会に投票した人を探し条例への是非を聞いて回った。我ながらなかなかのアイデアだ。結果は思ってもみないものだった。30人中26人が「君が代条例に賛成」。当たり前のルールを守れない人が先生をしていること自体おかしいという。ショックだった。正直、6~7割が「反対」と答えると思っていた。
ウケました・・・・・朝日は左寄りと言われるけど、組織の中にいると巷との温度差が出てくるんですね。
この記事についてはおそらくたくさんの人が「面白い」「新聞もこうなればもっと売れるのに」とコメントしていたが、これは朝日新聞本紙に掲載されたわけではなくて、朝日新聞が発行するメディア研究誌「Journalism」に掲載された記事。
で、この記事の内容をどうのこうの言うのはたぶん数千人くらいが言ってたから面白くない。よって視点を変えて、「どうしてこの記事はみんなに好感を持って迎えられたのか。そしてこれを他に転用できないか」について述べてみたいと思う次第であります。
この記事がどうして人々に感銘を与えたのか。当たり前ですが・・・
「本音で語っている」
からですよね。 ところが実生活や仕事において、「本音で語ってない」ことが多すぎるわけです。野田首相だって
「本当は議員数削減とか、公共事業や天下りをごっそり減らしてから消費税を増税すべきなんですが、民主党政権になっていろいろやったけど、しがらみとか各個の反対が強固な上、ねじれ国会で議決もままならず、それが終わってからといってると何年も何年もかかりそうです。その前に国庫にはもうお金がないんです。とりあえず5%だけ、しかも景気が上向いてから消費税上げさせてください」ってテレビの前で机に額でもぶつけてみたら、国民の支持も変わったかもしれない。
原発の再稼働についても、電気が足りないとかどうのとか言ってないで「いま原発を全停止すると、各電力会社の資産の大半がゼロどころかマイナスになります。倒産されたら大変なことになるので公有化して税金を注ぎ込まないといけなくなりますが、もう国にはお金が無いんです。原油の輸入に毎年何兆円も使えません。だからとりあえず頑張って代替エネルギーを開発できるまで、最低限の原発だけちゃんと整備しますから使わせてください」って言ったら、ちょっとはデモの人数も減ったかもしれない。
政治の世界ばかりでは無い。ビジネスの世界だって同じなのである。ずーーーっと身近な例まで引き下げて考えて見よう。
たとえば「セール」をやるとする。一番鼻につくのが「大感謝祭」。「皆様の日頃のご愛顧に応えまして、大赤字セールを行います」って・・・・客に感謝して赤字で商品配ってたらこんなに店が大きくならないことくらい子供でもわかる。セール自体、「客に感謝して」ではなく「当座の売り上げが欲しくて」やってるわけでしょうよ。
いくらセールだからって赤字の商品は目玉になってる一部で、全部が赤字の訳が無い。だから、めちゃくちゃにうさんくさい。でも田舎の店舗とか楽天のお店見たらこんなんがぞろぞろです。あ、大手スーパーとかも。
実は昨年、震災の後で自分がコンサルしている某ショップでは在庫過多で苦しんでいた。震災前には景気が戻って来ていたので在庫を多めにもったのだが、商品特性上、震災の影響でもろに売れなくなった。このまま持っていると1年落ちになってしまって商品価値が下がる。そこで「本音を語ってセールしよう」ということを提案した。
「震災の影響で在庫過多になってしまい、本当に苦しんでいます。そこでとにかく在庫を減らすために空前の値引セールを行います。来年からは在庫調整をしっかり行いますので、こんなセールは二度とできませんし、やりません」
趣旨的にはこういう感じだった。結果、物凄い勢いで売れた。在庫整理して現金化できたので今年につなげることができたのである。こうしたことは一例に過ぎないが、「本音で語る企業」は生き残るし、ステマやとってつけた商品説明ばかりの企業ではいまや少し頭のいい人間には見透かされる時代になっている。イメージだけで売れた時代から、企業の本音でないと響かない時代になってきたのであるが、日本の大企業のソーシャル運用を見ると、
「思いっきり建前論のみ」
のところばっかり。こういう企業は将来的には徐々に淘汰されていくように思う。オールドスクール的な企業、その代表が電力会社なわけだが、こういうところは「本音を言う」ことを悪いことと考えているし、「本音を適切に言う」訓練ができていない。だから競争力が無いわけですよ。
このホンダの広告看板が、ものすごくシェアされて広まったのも、ホンダの本音をこのコピーに感じたからだ。もちろん書いたのはコピーライターだが、これがホンダの本音だとユーザーは受け止めて感銘を受けたのだ。実際、本音なんだろうと思う。さすがホンダだ。いまの時代にウケル広告もサイトも、「本音」が基本なんだと思います。
そんなわけで、わたくしめもブログでは本音しか書いていないのでありました。