算数できない人はマーケット記事書いちゃダメ。若者はLINE離れしているのか → してねーよ

2018年2月9日

世の中には数字の分からない人が多くいて、しかもメディアと称してるなかにもたくさんいるので、かなりメタメタな記事風のものが出回り、それをまた数字の分からない人たちがシェアします。世の中のフェイクニュースの多くはこういう流れででるのではないか。

先日発見した、この手のものの代表がこちら。

若者の「LINE離れ」が進んでるってマジ?その原因は… ってやつね
※リンク貼りません。弱小の自称メディア

信じられないことに、最近は若者のLINE離れが進んでいるらしいんです。なんでも2016年の20代以下のLINEユーザーは約35%だったのが、2017年には約30%まで下がったそうで…。

普通の脳みその方なら「あれっ?」と思うでしょう。

LINEユーザー全体の中の20代年齢層の比率が5%下がった → 20代ユーザーが減った??

いやこれ、全体の割合だから、高齢者がLINEを使うようになったら高齢者の利用者の数が増え、全体に占める20代の比率は下がるでしょう。なにせ日本の人口で10%いないのです。平成29年でたったの9.9%くらいですよ。

その前に勘違いするにもほどがある
20代でLINE使ってるのが30%とかおかしいことに気づけ!

で、実際に若者のLINEユーザーは減ったのか。総務省の大規模調査平成29年版を見てみましょうね。

20代のLINEの利用率96.3%だよ〜ん!!!

ほとんど20代ではMAXに達してるから、もっと上の世代がLINE使い始めたら、そりゃ全体における20代の比率は下がりますわ。

平成27年度版では

20代がなくて20歳以下のLINE利用率62.8% このとき50代は27.8%しかなかった。

平成28年度版では

まとめますと
平成29年と30年の比較だと明らか
()は全体の人口における比率です
20代(9.9)   73% → 96.3% △23
30代(11.8)   58.5% → 96.3% △37.8
40代(15)   43% → 74.1% △31.1
50代(12.5)   39% → 63.8% △24.8

平成28年は50代でLINE使ってるのはたったの27.8%、それが昨年29年は63.8%です。
選挙にたとえますと、20代の一票は30代の83%しかなく、40代の66%しかありません。要するに

他の世代にLINEが浸透したから20代の比率が下がっただけ

なのです。もう20代は96.3%とMAXに達しているからこれからはLINEユーザーにおける年代比率はどんどん下がり続ける。当たり前だ。

元ネタはなんと読売オンラインなのであった

なぜ? LINEからも逃げ出し始めた若者たち

調査会社・マクロミルの17年7月のインターネット調査(15歳以上のユーザーが対象)によると、LINEユーザーのうち、40代が22.5%、50代以上が23.8%。一方、15~19歳は10.3%、20代が20.7%だ。全年齢層に広く浸透しているものの、意外にも中年以上の層が半分近くを占める一方、20代以下は3割強にとどまる。16年1月の同調査では、40代が17.4%、50代以上が18.4%だったのに対し、15~19歳が11.6%、20代が24.8%だった。この時点での「国内登録者数」は約6800万人。20代以下の人口が減っていることも影響しているだろうが、それだけではない可能性もある。少しずつとはいえ、利用者が「高齢化」する一方、若者の「LINE離れ」が進んでいるかのように見える。

前述のように、全然そのように見えません!

単にLINEユーザーの全体比率では30代以上で使用率が上がれば相対的に20代の比率が下がります。母数が違うんです。ここまで書いてもまだ分からない人がいると思うので簡単に図にすると
たとえば簡単に合計100人のLINEユーザーがいるとして内訳が
20代 60人
30代 20人
40代 10人
50代 6人
60代 4人とするとその比率は

で、翌年は
20代 60人 → 63
30代 20人 → 30
40代 10人 → 15
50代 6人 → 8人
60代 4人 → 6人 とするとその比率は


あれ、全員増えてるのに20代の比率が減った。つまり20代はLINE離れしたとは言えないですよね。母数が違うからです。

LINEがマクロミルに発注した調査によるものが読売新聞の元になっていると思いますが、2016年の1月ではLINEのリリースでは

です。このときのLINEのリリースには国内登録者総数は「6,800万人以上」とあります。MAU(アクティブ数)ではなくて登録者数です。
ここから計算すると、20代のLINEの登録者数は1686.4万人

で、7月の調査というのがググっても見つけられないのですが、仮にLINEの国内登録者が7,500万人になっていたとすると、20代の利用者は

7200×0.225 = 1687万人となり、

ユーザー数全然変わってないし!!

になります。実際にリリースみたらLINEは登録者数の表示を止めて、2017年末で国内の月間アクティブユーザー数(MAU)7,300万人以上になってまして、登録数はこれより遥かに多いですから、7月の国内登録者は7,500万人どころではなくもっと多いと思われます。中高年齢層の伸びが凄いからですよ。

話をまとめますと・・・・

1 数字を語る時は母数に気をつける
2 一方向だけではなくて多方向の数字を比べる
そして
3 読売の編集担当者も気づけよ

ということで本日の檄を終わりたいと思います。
マンガだから読んでよ。統計学と言うより↑は算数なんですけれど・・・

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