メルマガに面白い質問が来ましたので本日はこれの拡大版です。
Q.webマーケティングの企業に入社しましたが、テレアポばかりさせられています。唯一いた営業マンが去年やめたことにより、中途で入社した営業マンが営業に行きますが、営業に行っても受注に繋がっていません。そこで、退職を検討しているのですが、永江様ならどのような決断を下しますでしょうか。
あるある過ぎる!!
最初にざっくり言うと、自分はリテラシーの低いターゲットを対象とするケース以外では、いまやテレアポのようなアウトバウンドは営業効率が悪く、企業の利益には貢献しないと思っています。もちろん例外はあります。不動産投資とかね。w 不動産投資は効率が悪くても千回に1回上客に当たればOKだから。
自分も若かりしリクルート時代は半年間の営業経験があり、テレアポもしたことがあります(無理矢理やらされた)。が、実は効率が悪すぎると思って「電話掛けてるふりだけして」ほかの事をしてました。それでも営業成績は全国で1000人くらいいたうちの一桁でした。テレアポよりもっと営業効率のいい方法を考えてこっそり編みだして、これはセミナーかなんかで話すネタです。w
テレアポが時代遅れと思う理由は以下
1 けんもほろろに断られるので営業マンのモラルが落ちる
こちらは割と慣れてきます。もちろん最後までどうしてもだめな人もいるが、「断られても死ぬわけじゃない」くらいまで開き直ると、どんどん流れ作業でできるようになります。が、そもそも電話のリストは永遠にあるわけではないから、「前も要らないって言った」「二度と掛けてくるな」という罵声対応はけっこうキツいです。何年も続けるとけっこう疲弊する。その理由も後述・・・・
2 顧客への説明や契約にかかる多額の人的コスト
テレアポで受注する場合、相手には予備知識がないケースが多い。だから出向いて説明をし、契約にもっていかないといけない。が、実際に行ってみたら「受注しても相手にメリットがない」「お金もなさそうで危ない」「そもそもこちらのサービスを提供できるレベルにない」とかいろいろな理由で受注できない事も多いわけです。
また、アウトバウンドで契約した客とインバウンドで契約した客なら、たいていの場合契約期間はインバウンドの方が長いはず。営業トークで押しきって成約した場合と、客の方から契約したいといって来る場合では差が出て当たり前だ。
3 受注件数で評価される営業システムが利益率を下げる
もうひとつ。こういうテレアポの会社では、営業マンの評価はだいたい受注件数です。そうなると営業マンは2の「受注しても相手にメリットがない」ケースもお構いなしに受注してきます。めちゃくちゃ手がかかる割に利益にならない客も受注します。こうなるとあとで客から「話と違う」というクレームに発展し、下手したら騙されたみたいなことにもなるわけです。
当の営業マンもこれを繰り返すとかなり疲弊してきます。客のためになって感謝されるとモラルも上がるが、逆の場合は疲弊してしまい、転職されてしまうリスクがあがってしまう。こうなるとどんどん営業が入れ替え制になってレベルが下がるわけですね。
そしてさらに最大の問題がこちら
アウトバウンドでしか売れないサービスの存在意義
1で、「営業マンのモラルが落ちる」と書きましたけど、断われてばかりでも実際に契約したお客さんが喜ぶならそれほどモラルは落ちない。以前書いたエントリーでこういうのがありました。
業種別で働いている人はなにを大事に思っているかという、母数は648と少なくてイマイチだが、とりあえずコレコレ!!と思った調査データです。
仕事にやりがいを重視するのは、メディアと建設・不動産、そして小売り・卸・外食。
メディアも建設も、自分たちが作った成果が目視できる。大工さんだって家が建ったときの感慨は大きいだろう。
特徴的なのは外食や小売りでは客と接して「美味しかったわ」と言われるだけでテンションが上がる。お金のために働いている人は全業種と比較すると決して高くないが、とにかくやりがいはあるということだ。
それに対して典型的に真逆なのが、金融。「金のために働くというのが突出していてやりがいは最低」です。
テレビでスルガ銀行やっていて、あんなデタラメな仕事していて自分なら絶対に辞めると思ったが、給与がとにかく良かったらしい。地方銀行で首都圏に比べればずっと安い。DODA調査で東京が452万円で静岡は412万円だから。。。
国内91行給与ランキング全公開 不祥事のスルガ銀がまさかの2位で広がる格差
平均給与のトップは、5年連続で三井住友銀行(810万5000円)だったが、前年より4万3000円減少(0.5%減)した。2位はスルガ銀行(800万8000円)で前年3位からアップ、3位は東京スター銀行(796万4000円)と、トップ3の顔ぶれは4年連続で同じだった。
普通の静岡県人の2倍・・・・・。さぞかし地元じゃ金持ちだったろう。たぶんスルガ銀行の銀行員に同様のアンケートを採ったら、80%以上が金のために働いていると回答したのではないか。
スルガ銀行自体はシェアハウス投資でアウトバウンドで営業していたわけではないが、不正融資をして片棒担いでいたわけだし、ノルマがきつかったそうだから一般顧客にも電話しまくりだったと思う。
自分に一番アウトバウンドの営業がくるのは
1 証券
2 銀行
3 不用品買い取り・・・・おそらく押し買いだと思われる
で、どれも金融業。押し買いも似たようなモノだ。他にはお墓。たまにリフォーム。w
ここで何が言いたいのかというと、こうしたアウトバウンド営業の大半は、「金のために」ということが、ボケてる高齢者以外にはかなり周知されているということだ。ましてや他の業種で今の時代にテレアポするということは「かなり困ってるんだな」という印象しかない。スパムメールも同様です。
アウトバウンド営業しなくてよくするためには
最初に戻って、「webマーケティング会社でのテレアポ」だが、はっきりいってこういう会社はすぐに転職すべき。
自社が集客できないのに客になにさせんの?
である。本当にwebマーケティングの会社なら、webで集客できるわけでテレアポなんてするわけがない。同様に御社のSEO対策しますっていうテレアポも、本当にそれができるなら「SEO対策」で検索1位になってるはずだがしつこく営業電話してくる某G○Oの関連会社は「SEO対策」では圏外。ww こんなサービスをよく販売するなって思う。給料をスルガ銀行くらい高くしないと退職者続出でしょ。
前出の2でも書いたが、アウトバウンドよりインバウンドの問い合わせの方がよほど営業効率が良い。その上、客はそこそこ調べてから問い合わせしてくるから、あまりに的外れのものも少なくなる。ではどうしたらインバウンドが増えるのか、そして成約率を上げられるのか。ポイントはあまりにも簡単だ。ただしネット系の会社に限ります。
1 顧客の間で話題になる
しっかりした広報活動でもよし、ソーシャルでも良し、SEO対策でもコンテンツ制作でも良い。社長自ら身を切るでも良し、とにかくネット上で「いい話題」になれば問い合わせなんて普通に来ます。広告なんて打たなくてもバルミューダはあんなに有名になって売れたじゃないか。
ただし、顧客の間で知名度が上がるためには、そのサービスに独自性があって、顧客側に明確なメリットがあることが必要です。ほかと変わらないものだと話題にもなりません。つまり現況でアウトバウンドで営業しないと顧客が掴めない場合はビジネスモデルを見直した方がよいのです。
2 インバウンドの問い合わせの対応を厚くする
インバウンドの問い合わせの客は、自分である程度調べてからきてるわけで、ここで素人みたいな担当がでて素人対応をすると一気に熱が冷める。あなたも経験ないですか?
アウトバウンドは数打ちゃ当たるだからレベルの低いテレアポ専任スタッフの流れ作業でもなんとかなるが、インバウンドは客はもっと突っ込んだ話を聞きたい。契約する気がなければ連絡してこないでしょう。それなのにアウトバウンドと同レベルの人間が対応したら、そりゃ契約率上がらないわ。
こういうことをあまり考えないでやってる会社は、ひとりの顧客の獲得単価コストや、その客がどれくらいの期間、契約を続けてくれるのか、全く試算してないケースが多いのではないか。それじゃ利益率は上がらないよね。アウトバウンドを急に止めるのが不安でも、とりあえずインバウンドを増やす努力を最大限するのが筋だと思うよ。
自分は企画書は他人任せで書かないのだが、本日のKindleセールでこれは買ったぞ。ブログにも使える図形のテクニック。いまから読む。てか、クライアントにも読ませよう。