先日、某大学のマーケティングのゼミに呼ばれてお話ししました。
まあ、話は例のごとくあっちこっちに飛び回ったわけですが、基本は「真の情報強者にならないと就職で失敗するよ」みたいな感じでしゃべくりました。
情報弱者というと、一般的には
様々な理由から、パソコンやインターネットをはじめとする情報・通信技術の利用に困難を抱える人。情報技術を活用できる層と情報弱者の間に社会的・経済的格差が生じ、あるいは格差が拡大していく現象を「デジタルデバイド」という。情報弱者は、典型的には、低所得者や高齢者、視聴覚障害者などがこれにあたる。文脈によっては、通信インフラの整備が遅れがちな離島や山間部の住民、発展途上国の国民などを指すこともある。
IT用語辞典より
みたいな感じでいわれるのですが、ここのレベルの方は情報弱者というより社会的弱者なわけで、実際にはスマホやパソコンを持っていても「情報弱者」という層は存在する。というよりかなりの比率ではないかと思うくらいだ。
ここのゼミでも学生は全員自分のパソコンを持っており、携帯も1人だけがガラケーで他は全員がスマホだったが、「自分は情報弱者だと思う人」と聞いたところ、半数以上が手を挙げた。はぁ、ビックラ・・・ちなみに今年の大ヒット商品、ザク豆腐って知ってる?と聞いたところ、20数人いて1人も知らなかった。本当にモノを知らないのだ、いまの若者・・・。
では、情報弱者とはなんなのか。私なりの定義では、それは情報を一方面からしか入手できず、多方面から取得して比較ができない人を指す。たとえばこんな感じ。
◆ネットのデマをすぐに信用してしまう
すでに福島での被曝については膨大な調査の結果、体内被曝はほとんど実質的な被害にはならず、体外被曝も人体被害はほとんど無い程度であったと医学的にはっきり証明されているにもかかわらず、いまだに「福島の女の子と自分の息子は結婚させない」とか「沖縄に移住しないと必ず癌になる」と信じ込んでいる方が多くいるのには驚く。ツイートしているくらいだからパソコンくらい持ってるでしょう。
地震のあと、「震災は自衛隊が新兵器で起こした」という物凄いデマをマジで信じた方もいたが、世界中の核兵器を使っても今回の地震エネルギーとは比較にならないことくらい調べたらすぐ分かる。だいたいそんな新兵器持ってるなら尖閣に中国漁船が押しかけたときに津波起こして欲しいわ。
いまだに「関東の海は放射能だらけで泳いだら危ない」とネットに書き込んでいる人もいるが、こういう人は各市町村の海水の調査データがたくさんあるのに、それを検索して判断することが、そもそもできないのである。
こういう方に特徴的なのが、人の言うことをすぐに信用してしまい、裏を取ることをしないことだ。ちょっと調べれば「このブログで書かれていることは嘘八百です」「この人はカンパで飯食ってます」とか書いているのも見つかるのに、頭から信用してしまう。そして信用すると他の意見は頭に入らなくなって、反対意見を避けるようにまでなってしまう。ネットのクチコミでいちばんのハブになってるのはこういう人かもしれない。Facebookのデマ記事を100%信じてシェアしてしまうのもこういう方の特徴です。
◆自分で必要な情報を探し出せない
先日、メルマガの質問でもあったのだが、「上位大学の学生は企業の新卒求人サイトはほとんど見ない」というのがその逆の例。企業サイトにはいいことしか書いてないから、見ても仕方ないということらしい。
そりゃそうだ。企業の情報なんて自分で検索して探すことができる能力があるなら、いいことも悪いことも全て探せる。業績だってIR情報が公開されているから調べるのは簡単だ。それで自分で判断すればいい。企業にとっては、昔ながらの自社にとって都合のいいことだけ書く従来のサイト(印刷物も含む)では本当に頭のいい学生は採用できないのだ。これがわからない企業の採用担当は、倉庫番とかに配置換えにした方がいいです。ホント。
メルマガでの回答では、「質の高い学生を取りたければ、いい点も悪い点もすべて情報公開するしかない」と書いた。株式上場の目論見書みたいに、「当方に入社した場合のリスクはこうです」くらい書いてもいいと思う。そこまでオープンにした会社の評価は、対象の学生にはいいことばかり書きまくるそれよりずっと評価が高いはずだ。「この会社はいったら怖い」と思うレベルの学生はいらない対象なわけです。ベンチャー企業とかもこれくらいやればいいのにと思います。
そういえば、震災の時の情報を政府が確認が取れるまで発表しなかったことについて、ある見識者が「確認も未確認も全て情報公開すべき」と言っていたが、それはその人が情報強者だから択一できるわけで、大半の情報弱者は全部信じ込んでえらいことになる。
もっとも企業の種類によっては「黙々と文句言わずに働く」だけの人材でいいところもあるから、そういう業種ではこの手法は健在である。付け加えるなら「情弱である」がゆえにブラック企業に就職してしまうという現実があると思う。「なんであんな会社に?」と思うところに就職する学生は、間違いなく情報収集能力に欠けているのだ。
・・・・情弱からの脱出方法について
これは実はけっこう簡単なのではないかと思う。情報強者に共通している点とはなにかといえば、それは「何にでも興味を持ち、探求心が旺盛」ということになるだろう。性格を変えることはできないが、検索のスキルを上げて、検索する習慣を付けることは誰にでもできる。
お客様、実はAppleにはいい製品がございます。
ジョブズが「テレビを見ながら手元に置いて、ちょっと興味があることがあったらすぐに検索して調べられるように作りました」とリリースの時に言っていたのがiPadである。タブレットPCのタッチキーボードはそもそも入力がブックPCのキーボードと比較して非常に入力速度が遅いから、ブックパソコンの代用にはならない。ビル・ゲイツも「学生にとって必要なのはタブレットPCではなくてキーボードだ」と言ってるそうだが、それは非常に正しい。タブレットは入力デバイスというより検索デバイスなわけである。これじゃレポートは書けない。
しかし。テレビを見ながら気になるところをサクサク調べるならば、タブレットの右に出るモノは無いと思う。バッテリーはもつしなにより邪魔にならない。これでちょこちょこ検索していく習慣が付けば、目指す情報にたどり着くためのキーワードの設定方法なども身についていく。iPadは高いけどGoogleのネクサス7なら19800えん!!
実物は見てないけど、検索のGoogle様が作ってるんだから、検索は使いやすいのでは無いかと無責任にオススメしたりしておきます。
【注意書き】↑この部分、「ステマ」とか「安易すぎ」とか本気にして突っ込みいただいていますが、ラスト部分がジョークだってわかんないんですかね????
まあ、情報弱者も命にまでかかわるようになる場合もありますな・・