巷に転がるマーケティング例。電車の化粧と顧客視点はどうつながる?

2012年11月8日

↓ ちょっと前の11/4の朝日新聞にこんな記事が・・・

電車内の化粧、中3も考えた 受け止め方に世代差

この電車の化粧、昔からいわれているが、いまだになんで盛り上がるのだろう。それは、「どうして電車内で化粧するのがマナー違反なのか」という理由が明確にされてないからだ。

その理由を語るとき、「みっともない」とか「不愉快」というだけでは、「わたしは不愉快じゃないから」「別にみっともないと思わないから」という派が存在する限り、不毛の論戦になる。

「なぜ不愉快に感じる人がいるか」をはっきり説明できないから、不毛なのです。

なので↓こういう感じの意見が出てくる。電車内で化粧する女はだいたいこの意見でしょう。

「認める」派も3割超を占めた。14歳女子は「いいじゃないですか。迷惑にならないならOKです。公共の場だけど、自分の範囲だけのことなので」。15歳女子は「家でする時間がないくらい忙しいんだと思う。その人が恥ずかしくないならいいんじゃないかな。私もしてみたい」。

確かにヘッドホンからしゃかしゃか流れ出す音や、酔っぱらって絡むおっさんよりは、物理的なものがないからいわゆる「迷惑感」は、はっきりしない。しかし言っとく。電車の中で化粧する女とそれを不愉快に思わない人には「顧客視点」がありません。だから宣伝とか販促とか、商品開発とか、そういう頭を使う仕事には向いてないし、たぶんそういう仕事はしてないだろう(笑)。と、ここで「顧客視点」にいきなり無理矢理に軸足を移す。

顧客視点とはなにか。

物凄く簡単に言うと、それは「客の立場にたって考えることのできる」想像力でしかない。顧客視点の無い人は、想像力の欠如している人だ。それ以上でも以下でも無い。

電車内で化粧をすると「それを不愉快に思う」という人が一定の比率でいるということが想像できない。だから「迷惑をかけていない」と言い切る。「周囲に不愉快に思う人がいる」ということがすなわち、迷惑をかけているということだと理解できないわけです。

で、 どうして電車内で化粧をすると不愉快に感じるのか。これを心理学的に素人の私が説明して見せましょう。私は電車の中での化粧は、「ぶっさいくなカップルが電車の中で抱き合ってる」「電車の中で女子高生が地べたに座ってる」と同じ意味でむかつきます。マナーを守ってない人間を見るのが嫌、という風に考えるのは表面的で、別に自分の家ならブサイク同士がどんなにいちゃいちゃしても、素っ裸で地べたに座ろうが勝手です。

電車の中で化粧するとき、周囲の人間は彼女にとって存在していないのです。仮に向かいの席にめっちゃ自分のタイプのイケメンが座っていてこちらを見ていたとしたら、絶対口を半開きにしての化粧はしないでしょう。隣んちのおばさんが横に居るのに平気でいちゃいちゃしまくるカップルもいないでしょう。

電車の中で化粧をしている女にとっては、こう考えてます。具体的ではないけれど、こういう価値観を持っています。

私の回りにいる電車内の人間は、取るに足らないカスばかりで、虫と変わらない。いないも同然。だから見られてもなんともない。

周囲の人間で、想像力が欠如してない人は、彼女がそう考えてるのがヒシヒシと言葉で言わなくても分かる。だから不愉快なのです。自分の存在が無視され、軽んじられているわけですので、不愉快に思わないほうがおかしい。想像力の無い人はまさかそんな風にこのクソ女が思っているとは想像できないから平気なわけです。この差で「不愉快に思う人」「別に何とも無い人」が存在すると思う次第ですが、いかがでしょう。

おっさんが電車で堂々と
●鼻毛抜く
●爪楊枝でシーハーする
●エロ本を読む
●お年寄りに席を譲らないヤンキー
と、同程度の不快感を与えているくらいの想像力は持ちましょう。でないと化粧女見つけたら目の前で鼻毛抜くぜ。

若年層に平気な割合が大きいのは、まだ社会に出ていないので「陰で人間がどう考えてるか」みたいな経験値が少ないんだと思います。大人になって騙したり、騙されたりしているうちに、分かってくるのではないかと思われますけど、いかが?

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