避難所に路上生活者が入る事については、そんなに簡単な人道問題ではないと思う

2019年10月15日

台東区、野宿者の避難所利用拒否の二重三重の問題点。求められる検証と改善

このニュースが話題です。毎日新聞がFacebookに投稿したのでフォローしている自分のフィードにも流れて来た。コメント見たら、罵詈雑言。「人権侵害だ」「あり得ない」みたいなのが大半で、元々毎日新聞の支持者が多いから中には「普天間がどうのこうの」とコメントしているちょっとおかしい人までいる。で、みなさん全く無知なんだと思う。あまりに上滑りで偽善的な事ばかり言ってるので、熱湯を掛けてみた。コレが私の投稿。

自分も浮浪者を追い出すべきではないと思うが、一目で浮浪者とわかるレベルなわけで「風呂に入っていなくても人間だ」はその通りですが、子供や病院の隣で悪臭漂わせる方が寝ると考えると具合が悪くなる人もいると思うんですよ。山手線に乗ってこられると全員が降りてしまうレベルの人もいます。ホームレスの多くは調査で精神疾患があることはわかっているので、彼ら自身の責任ではありません。しかし、耐えかねて先に避難した人が退出して濁流に呑まれるとかもあり得ます。人道主義を建前でいうのは簡単ですが、実際に自分の子供の隣に鼻が曲がりそうな匂いの方が寝るとしたらあなたはどうしますか?職員に文句を言いませんか?そこまで考えてどうするかをいわないと対応だけを非難できないです。そうした方の為に別施設を用意するのが望ましいですが、住民から「我々はすし詰めなのに」とか「我々には風呂もないのに」とかのクレームも多発しそうです。

そうしたら「あなたの意見は差別的だ」というコメントがついた。これはちょっと頭にきたのでブログ上でデータを添えて無知な方に説明したいと思います。


墨田区の路上生活者についてはすでに問題になっています。

28年隅田川沿いに暮らすホームレスの生活路上で暮らす男女5人それぞれの経緯と思い
東洋経済

「生活保護は決まりごとがうるさいから嫌だね。空き缶集めの生活のほうが勝手気ままでいい。楽しみはたまにやる競馬。やっても1000円だけど、スポーツ新聞を買って予想すると1日中、楽しめる」2年後もこの生活を続けていたいと強調した。

気ままに行きたいからあえて路上生活という人もいる。取材に答えるのはそもそもコミュニケーションが取れるレベルだからだ。

墨田区は前々から調査もしていた。つまり今回の事は晴天の霹靂というわけじゃない。

まず、ホームレスの数が墨田区と台東区はもともと新宿の次に多い。人口から考えたら異様に多いと言っても良い。台東区と墨田区は昔の山谷を抱えており、境界線の隅田川にテント村があるのだ。

把握されているだけで墨田区側だけで700人以上いるのである。江東区と合わせたら1500人。調査に応じたのはうち700人のうち400人くらい。つまり300人とはコミュニケーションが取れない。以下のデータは調査に応じた人のみのものである。

平均年齢は57.4歳。50歳から69歳に集中し、50歳から64歳が突出。出身は

東京。ついで北海道が群を抜く。

仮に「避難所は路上生活者もいいですよ」としたら、700〜1500人が押しかけてくる可能性がある。もちろん人道上は受けいれるべきなのは当然だが、住民から抗議が出るのは100%確実でしょう。↑の記事のようにきちんとコミュニケーションを取ることができる人たちばかりではないからだ。

墨田区の路上生活者は全国と比べると「長期に渡ってずっと路上生活している」という率が非常に高い。全国調査では、路上生活期間5年以上7年未満が13.9%であるのに比べて、墨田区では、23.3%!!!就労率は意外と高く 86.4%もある。月に稼ぐのは1〜3万円。20万円以上も2%

そして半数以上が疾病があり通院する必要があると回答している。元の職業の多くは

となっており、日雇い労働者の山谷地域があったからなのは間違いない。


年金無しが6割以上

そして一時保護センターを利用していない人が圧倒的。

上の東洋経済の記事にもあるように「生活保護は縛られる」「自由に勝手に暮らしたい」という人が大半なのが分かる(ただし何度もいうが700人のうちの400人)。自立支援センターも利用していないが9割。つまり自立したくない人たちなのである。区としてはなんとか生活保護を受けさせて自立してもらいたいのだが、応じる人は少ないことがわかる。逆に応じた人たちは高い確率で自立に成功している。

路上生活の人たちに精神疾患が多いのは差別か

「路上生活者は精神疾患だ」というのは差別だ。しかし「路上生活者に精神疾患が多い」というのは単なるエビデンスであり、データです。実は以前、福祉に興味があって専門書を読みあさったことがあるが、この問題については某大学の福祉学科の試験問題にもなっていたと思う。何度もマスコミでも取り上げられていて社会常識だと思います。

路上生活者114人に精神保健調査 “6割に障害”明らかに― 精神医療は貧困とどう向き合うか

この前の調査が日本ではじめてはじめてだったらしいが、

路上生活者に多数の精神疾患 日本で初の調査 森川すいめい医師(精神医療交流集会の講演から) IQ70未満の人が34%も 生活保護の受給にも壁が

IQ70未満の人が福祉事務所に一人で行って手続きすることは困難。申請書をひらがなで書いたら「こんな字も書けないのか」 とバカにされ、怒って帰った人の例をあげました。生活保護で最初に入れられる施設の環境が劣悪で、他人との共同生活を強いられ、「まだ若いから働けるでしょう」とすぐ就労指導が始まるのも辛いものです。森川医師は「三年ほどで交代する福祉課のワーカーは障害についての知識がない。IQ70未満の人がハローワークで仕事が見つけられない現実を知らない」と言います。

そもそも働けない人たちが多数を占める

という事実があるのです。親が健在なときは面倒を見てもらっていたが、親が亡くなると一人ではなにもできない。生活保護もわからないし団体生活もできないという人たちがそのまま路上生活にはいるという話はたくさん本で読みました。働けるけど怠け者で働かないというのではない。そもそも疾患やIQが低いために就労が無理なのです。つまり「好きで路上生活している」人と「路上生活しかできない」人の二極化しているわけです。

よく話題になる「ゴミ屋敷」も精神疾患の割合が非常に高いことも分かっている。山手線に物凄い悪臭の路上生活者が乗ってきてその車両からほかの乗客が全員降りるシーンはなんどか経験があるが大半が寒い冬です。寒さをしのぐために山手線でぐるぐる回るわけですよ。風呂に何年も入らず自分の匂いも気にならないというのは精神疾患を疑って当たり前でしょう。

差別と区別は違う。「浮浪者を避難所に入れないのはけしからん」と建前で騒ぐ人たちは、仮に700人が避難所に押し寄せてきて占拠したら何も言わないのか。または物凄い悪臭の人(しかも話が通じない)が来たら、あなたの隣であなたの子供と一緒に寝かせるのか。それができる人だけが人権だとガーガー騒いだらいいと思うんです。そのときが来たら自分の人権を主張しだして「こんな人が近くにいたら困る」とか、いいそうな気がするんです。口でいうのは簡単なんです。

ではどうすればいいのか。そもそも墨田区では区内に多くの路上生活者がいることは調査で把握しており、保護センターや自立支援センターの利用も呼びかけているが、ほとんどが応じないのである。それこそ人権があるんだから首に縄を付けて収容するわけにはいかないではないか。さりとて災害の時だけ一般の市民の避難所に押し掛けられてもというのが職員の気持ちだろう。

障がいがあって路上生活しかできない人は、本人には責任がないのだからきちんとした施設で生活させてあげるのは大賛成です。しかし「生活保護は息苦しいから受けたくない。就労支援もいらない」といって税金も納めず不法占拠している人たちの処遇をどうするか。これはもっと深い問題で人道だけでなく議論されないといけないと思うわけです。わたしの正解は分かりません。

漫画家の吾妻ひでお氏が失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働──『アル中病棟』に至るまでの名著です

  • 0
    このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0
    follow us in feedly
PAGE TOP