昨日コレを書きましたら・・・・
こういうメールを頂きました。ああ、こういう勘違いをする人もいるんだなあと思ったので追記しないで一本書き起こします。
頂いた質問
2/8のブログで自動運転について記されていました。その中で、”スマホも使えない。録画予約もできない田舎の高齢者が設定できるか”とありましたが、これは技術的には解決可能と考えます。通信ネットワークを介して設定すればいいわけですから。それは近親者でも制御センターな組織でも電話で意思疎通できる人、組織が遠隔設定すればいいわけです。
これも実は良くいう人がいるんですが、わたしの回答は「あり得ない」です。
例えば車で病院に行くとします。忘れ物しちゃったので1回家に帰りたいとか、病院の帰りに郵便局に寄って買い物したいとか、クルマで出かけるときっていろいろ臨機応変にできるからいいんですよ。
「いまから病院行くから設定しておくれ」
って婆ちゃんにいわれて孫が会社からやったとして
「忘れ物したから取りに帰る」
は、しぶしぶとして
「病院終わったから家まで」
はよしとして
次はスーパーだ
ちょっと薬局にも寄る
って言われたらキーーーーーッとなって
自動運転止めてタクシーにしてよ、ばーちゃん
になるの、100%保証するわ。
それに話は戻るが、カーナビってゼンリンの地図がはいってると思うんだけど、よほど大きなディズニーランドみたいな施設ならともかく、駐車場までははいっていない。コインパーキングもナビに載っているのがなくなったり新規でできたりはごく普通です。アップデートが間に合わない。そうすると病院まで行けるけど、ハンドルのないクルマでどうやってナビ上にない駐車場に入れるのか。w
アメリカみたいに路上に停めてもいいならともかく、日本ではバスのような定期便以外はめちゃくちゃ自動運転が難しいのが分かると思います。少なくともリテラシーの低い高齢者には向いていない。一方通行の区分も時間によって変わったりするから一般のナビにははいっていません。
ドローン形式ならどうか
それでは質問者の方の言ってるような制御センター形式ならどうなのか。
これの実用版が米空軍のドローン。MQ-9 リーパーです。
製作: ジェネラル・アトミックス
操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
エンジン: ハネウェル TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft)
翼幅: 20 m (66 ft)
空虚重量: 2,223 kg (4,900 lb)
最大離陸重量: 4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft)
運用高度: 7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
レーダー: AN/APY-8 Lynx II
センサー: MTS-B
価格は一機というか操縦ユニットとのセットで1300万ドル。14億円です。一番よく紹介されてる映画はこちら。
映画見てもらうとわかりますが、実際に操縦するのは2人ですが、ほかに交代要員として2名。そして司令官がつきます。つまり5人のパイロットが必要なわけ(監視だけの時は2人)。パイロットを養成するのにかかるコストは数千万円。ほかに練習機体と維持費、訓練費が必要ですからこれを含めると1人5億円くらいはいくのではないかなと。自衛隊の戦闘機パイロットもそれくらいと言われてます。
つまり、14億のドローン機体を運用する人員には25億のコストを掛けた人材が必要なんですよね。
近代軍隊では一番かかるのが人件費
なわけです。わが自衛隊も「あんな高い武器買うのかガー」と言われてますが装備の購入費はたったの16%
防衛費の内訳はほぼ人件費
でして、「防衛費削って福祉に充てろ」というのは自衛隊員のクビを切れと同義語です。同様に飲食サービスも一番かかるコストは食材ではなくて圧倒的に人件費です。
では仮におばあちゃんの自動運転車をリモートで操縦するサービスをするにはいくらかかるのか。人命に関わることですのでこれを外注化すると特殊な訓練を受けたサポートセンターが必要になります。常識的なサポートの費用から考えて、1時間5000円は最低でもかかるのではないかと・・・・・。つまりおばあちゃんが病院にいって買い物して薬局回ってくるのを遠隔操作で監視しますと、1日数万円は軽く飛びます。
頼むからタクシー使え!!!
になると思うんですよ。
そしてクルマが必要なのは、公共交通の揃った都会ではなく、田舎です。田舎の高齢者率はハンパなく、しかも都会の高齢者に比べて明らかに学歴レベルも低く、リテラシーももっとも低い部類なわけで、自動運転が田舎の高齢者が使えるほどに安価で高性能になるのは考えにくいと思う次第です。
よって・・・
買い物に行けない「買い物弱者」をどう救うのか──島根県雲南市と千葉県松戸市の試み
もまだ、高齢者率30%だから公費の補助金投入で可能なわけですが、高齢者率が50%まであがり、現役は激減していくのでそもそも補助金の捻出ができるのはいつまでなのか。このニュースに「自動運転のクルマが出るから解決する」とか寝言を言うのは脳天気すぎるので止めてもらいたいし、いまは好きで過疎地に住んでいらっしゃる高齢者もいずれは街に強制移住となり、それを断ると公的サービスやインフラはなくなるという時代がやってくると思います。
過疎地に住んでいる少数の方の為に道路や電線や水道を公費で提供するのはだんだん不可能になっていくからです。
だが、いまの政治はこんな近未来の検討もしてません。いまだ憲法改正ばかりをいってるので、正直相当にヤバいと思います。
一応、これは読んでみました。