ほとんどの人が知らない「自殺」の常識

2020年9月29日

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最近、有名芸能人の自殺が相次いでいます。芸能人に限らずもともと8月からここ十数年ずっと低下していた自殺率が急上昇し始めています。

8月の自殺者 大幅増加で1800人超 コロナ影響か分析へ NHK

警察庁によりますと、8月全国で自殺した人は速報値で1849人で、去年の同じ時期に比べて246人、率にして15.3%増加しました。このうち、男性は60人増えて1199人、女性は186人増えて650人となっています。
都道府県別では、
▽東京都が最も多く、去年の同じ時期より65人増えて210人、
次いで
▽愛知県が46人増えて119人、
▽神奈川県が27人増えて109人、
▽千葉県が47人増えて107人、
▽埼玉県が41人増えて105人となりました。

これはコロナ不況の影響と考えるのが普通。倒産や自己破産が相次げば自殺は増えることは統計的に証明されている。
バブル崩壊の時はこのように倒産はバブル崩壊して2-3年後に急増した。今回も国は企業の倒産を防ぐため積極的な貸し付けを行っているが、バブル崩壊時も結局返せなくなって倒産→自己破産や解雇に進んだのである。

自殺者はこの倒産や自己破産と連動して増え始め、ざっくり見ただけで増加分は10万人ほどになります。そこからいままでずっと減ってきたのにこの8月で15%も増えているのです。ここに自殺の予測を書きました。

コロナ不況でいったい何人が自殺するのか、野村総研の景気予測から数値を出してみてぶったまげる


バブル崩壊時を上回る景気の停滞が予想されるのだから、自殺者も絶対に増える。ただ当時といまでは精神疾患に対する考え方が違う。20年前は「自分はうつである」「自分はADHDだ」などと公言できる状況になかったが、いまでは有名人、著名人も公表する人が多いし、SNSで自己紹介に入れている人もたくさんいる。LGBTと同じように人前で言えるようになれば治療の敷居も下がり、死に至る人が少しでも減ることを期待したい。

自殺する人はほぼ必ず精神疾患を負っている

以前に東大の医療統計の専門家、五十嵐准教授と書いたエントリーです。

自殺者は、自殺するときにはほぼ100%精神を病んでいる! を証明する


自殺者を調査できないので自殺未遂した人を調査したところ、ほとんどの人に精神疾患があった。厚労省の資料でも「既遂者の90%が広義の精神障害ありと推測される」としている。この元になった飛鳥論文では、ほとんどの人に精神疾患があったとしている。

正常な人間は自殺なんてしないのである。うつや統合失調症を罹患すると強い自殺願望が生まれる。逆に言うと脳の病気なんだからいまでは適切な治療を受ければかなりの確率で社会復帰もできる。コロナ禍のいま、周囲の人でストレスから病んでいる人はいないか、常に注意をしているだけで自殺者がだいぶん減らせるように思う。

出産後は実は自殺リスクが半減する

妊産婦死亡、自殺が1位 成育医療センター調査

妊産婦死亡の全国的な調査は初めて。子育てへの不安やストレスによって起きる産後うつが原因の一つと考えられ、チームは「身体だけでなく心の問題も気軽に周囲の医師や保健所などの行政機関に相談してほしい」と呼び掛けている。調査は15~16年の妊娠中から産後1年未満の女性について、人口動態調査票のデータを分析。死亡した357人のうち、102人が自殺。このほかは、がんや心臓、脳神経の病気や出血による死亡が多かった。

こちらは厚労省のデータによる女性の死因一覧

そもそも15〜34歳の死因の第1位はもともと自殺なのだ。男女を一緒にすると15〜39歳までの死因の第1位は自殺である。だからこの記事のタイトルは完全にミスリード。

しかも20〜24歳女性の死因に占める自殺の割合は48.7%、25〜29歳は43.2%。30〜35歳は34%である。
で、↑の記事では産後1年未満の女性の場合、自殺の比率は28.5%だから、かなり低いことが分かる。下手したら半減している。お母さんは育児の愛情と責任で自殺率が半減しているのだ。

しかし「産後の自殺者92人について調べたところ、約半数が35歳以上で、65%が初産だった。無職の世帯の女性も多かった。自殺の時期は、産後1年を通して起きていた。」ということから、年齢が高めの人が慣れていない初産で自殺しやすいということがわかる。

さらにいまは「里帰りが出来ない」「外食するだけで近所の目がうるさい」「リモートで配偶者が家にいる」など、イクメンならよいがそうでない場合は負担が大きくなる。いたわってあげてください。特に初産なのに里帰りできないストレスは半端じゃないと思います。

繰り返す。自殺するのは脳の病気なのです

先日、こういうツイートしたら


「なんでもコロナのせいにするのか」というクソリプがかなり来た。「××ってこともあると思うんだよね」と、可能性を言ってるだけだしそれは誰も否定できない。さらに出産したのが半年前なら人目を気遣って外食にも行けないしお手伝いさんにも来てもらえなかったかもしれない。検診にも行きにくかった。複合的なストレスは絶対あったと思う。

芸能人に限らず会社が破綻したりクビになったりした人が自殺するのは、お金がないからではない。もちろんお金がないということがストレスになって精神を病むということはあるが、人は自分が必要とされていないと感じると病むのです。破産したら生活保護を受ければ自殺しないというのは働いていないかそもそも金のためにイヤイヤで働いているヤツの言うことだ。

テリー伊藤、竹内結子さんの死去に「育児ノイローゼの可能性もある」

テリーさん、ノイローゼとうつは似て非なるものです。ノイローゼは自殺をほのめかすことはあるがほとんど自殺しません。精神科医で作家だった北杜夫氏は著作の中で「ノイローゼの患者は自分が大好きな人なので基本的に自殺はしません。」と書いていました。ノイローゼとうつは水と油だとも書いていたがいまいろいろググったら併発することもあるってさ。なんだよ。

コロナの不安で自殺が増える可能性もある

いつもコロナ脳と言っているが

臭いが気になって寝られない…「コロナうつ」相談急増 専門家「不安を紙に書き出す」

眠れない、おかしくなりそう… 厚労省がコロナうつを調査へ 生活変化の自殺懸念

厚労省によると、4~5月に精神保健福祉センターへ寄せられた新型コロナに関する心の健康相談が急増。40~50代の相談が多く、「眠れない」「不安で心がおかしくなりそう」「外出自粛でストレスがたまる」といった内容が目立った。
 このほか厚労省のクラスター対策班には、薬を大量服用した自殺未遂などの事例も報告されている。対策班に関わった精神科医の國井泰人やすと・東北大准教授は「これまで心の問題を抱えながらも耐えていた人が、コロナで最後の一線を越えてしまったのではないか。受診していない人を含め、実害はたくさん出ているはず」と分析している。

事実無根に近い内容で不安を煽るマスコミや、自分も不安なのでそれをSNSでまき散らすたくさんのコロナ脳アカウントは、人を殺す可能性もあるということを自覚すべきである。実際、2月から自分は「コロナはたいしたことがない」と言い続け、実際いまだ死者数は1500人前後(うち1〜2割はコロナが死因でないものが入っている)で、肺炎球菌やインフルエンザはおろか、古い疾病と思われている結核にも及ばない。

それなのにいまだ「コロナをなめるな」「コロナは死病だ」と罵声を浴びせてくる人が後を絶たない。どれだけコロナが好きなんだと思うが、それによって精神を病んで死に追い込まれる人がいることを理解して欲しい。だからずっと「大丈夫だよ」と言い続けている。

繰り返すが

1 自殺願望は精神を病んでいる人に現れる
2 適切な治療をすれば命が助かるケースが多い
3 周囲の人でちょっとおかしいと感じたら病院に行かせよう

ということです。心療内科にいくととても楽になります。わたしも行きました。ガンのトンデモ治療と同じく、精神の病も医者にかかったら逆に悪化するとか言う人がたくさんいますが医学は進んでいます。ちゃんとしたお医者さんに診てもらえばきっとよくなります。くれぐれもトンデモ医者にはかからないように。トンデモ本も読まないように。アマゾンにもトンデモ本が山のようにあります。

心療内科っていうヤツに行ってきた!!

前にコンビニでトイレ借りたときにたまたま本のラックに並んでいて買ったけど面白かった。世界の有名経営者のストーリー本です。いまコロナ禍で苦しんでいる人の力になると思う。

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