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ちょっと前にも書いたのですが、コロナは死病とするコロナ脳も、ワクチンが悪の根源とする反ワク真理教も、そもそもファクトを全く理解していないケースが多く見受けられます。どこかの怪しいサイトに出ているのを疑いもせずに丸呑みしている。そこで本日はこれをクイズ形式としてみました。
このクイズができないと「コロナなんて××だ」とか「コロナは××だから怖い」の両方ともまともに使えません。
目次
第1問 正解率3割!!
コロナとエボラで死亡率が高いのはどっち
こわいですねぇ、エボラ。
1日10リットルも下痢をするそうです。致死率は医療のレベルによって、25~90%の範囲で変化しますが、概ね50%程度です(厚労省)。つまり
かかったら2人に1人が死にます!!!
しかしエボラの感染力は弱く、エボラウイルスに冒された動物の肉を食べたり、感染した人の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物など)に、皮膚の細かな傷や、眼や口の粘膜等が接触するとウイルスが体内に侵入して感染します。家庭内や院内感染も起きます。
で。話を戻すと前のエントリーでも説明しましたが、
●致死率はその病気にかかったら何%の人が死ぬか
○死亡率はその病気で10万人あたり1年間に何人死ぬか
です。致死率は個人の問題で、死亡率は社会の問題と考えるとよろしい。死亡率が高いと医療に大きな負担がかかります。なんで日本にコロナ前からこんなにたくさん人工呼吸器やECMOがあったのか。それは死亡率年間77~100に及ぶ肺炎のためです。日本の人口1億2000万人なら、10万人あたり1年に77~100人は肺炎で死にます。1年間に92400人〜12万人です。このために(それ以外にも使うけど)ECMOや人工呼吸器があるのです。
昨年2020年は日本のコロナ死者は3459人。
エボラはゼロです。したがって
エボラの死亡率はコロナより低い
と、なります。コロナどころか風邪のほうがまだエボラより死亡率は高い。1人でも死んだらエボラより高くなります。全世界で見ても累計で1万人くらいしか死んでいないので同じです。
みなさんの回答率 アジャパー・・・・
なんでこれを理解しないといけないのか。これはよく使われる「インフルエンザでも××なのにコロナだけ」みたいなロジックをちゃんと理解するためです。コレが分からないと「年金が少なくて生きていけない」VS「国家の負担で年金が大きすぎてやっていけない」と同じ事になります。片方は自分の生活の話をしていて他方は国の財政の話ですからかみ合わないのです。
第2問 正解率2割以下
ワクチンがなかった去年の第2波の夏。新型コロナの致死率は季節性インフルエンザと比較して何倍くらいでしたか?
こちらは致死率ですので、その疾病にかかると何%の人が死ぬかということです。
厚労省のサイトには比較表があります。このコロナの部分は累計致死率なのでバンバン亡くなった初期まではいっています。無視してください。
季節性インフルエンザの致死率は、0.1%ですがワクチン接種率が高くて医療の充実した国内ではもっと低くて0.02~0.03%です。つまりかかると3333人〜5000人に1人亡くなります。道理でインフルエンザに関わる割には亡くなった人が周囲にいないわけです。だから普通の人は「インフルエンザの脅威はコロナより弱い」と体感で感じてしまう。
で、ワクチンのなかったコロナの去年の夏の致死率ですが
全国で1.0%、東京で0.5%でした。つまり
かかったら死ぬ確率、コロナの致死率は、東京だと季節性インフルエンザの16~25倍。全国では33~50倍です。
正解者は2割いません。特に「コロナは風邪だ」の人たちはまったく理解していないと思われますね。反ワクチンの人もかかったらこれだけ死ぬんだと思えば、デルタ株で感染力が非常に強くなっているので少なくともハイリスクなら打つか感がではじめるのではないかと思います。またコロナの死者には直接の死因がコロナではない人もはいるので実際には致死率はもっと低いのではと考える人もいますが、ほかの疾病では無症状の人は発症していないので分母に入れません。コロナは無症状でも患者としているので実際の致死率はもっと高いと考えられます。
新型コロナはかかると100~200人に1人が死ぬのでインフルエンザより個人としてはかかる確率は低くても非常に脅威と感じます。現場の臨床医も同じでインフルエンザよりよほど死ぬ感じがあって普通です。しかしこれは「致死率」ですから個人に対しての脅威、で社会に対しての脅威である「死亡率」はどうかというのが次の質問です。
第3問 正解率は?
2020年の新型コロナの死亡率は、2019年以前の季節性インフルエンザより高いか低いか
昨年の新型コロナの死者数は
このとおり3459人でした。
ではインフルエンザはどうかというと・・・・厚労省のサイトには
例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。
と、あります。コロナと違い単独ではあまり肺炎を起こさず肺炎球菌とコラボして肺炎を起こすのでその場合は1万人(西浦氏は2-3万)といっています。コロナに合併症があるかどうかはまだよく分かりませんので比較は直接死にしましょう。
総死者数
コロナ 3459人 インフル3325人
で、ほぼ同じです。関連死まで入れるとインフルエンザのほうが多くなるかもしれませんが、不確実ですよね。
さて、ここでやっと
インフルもコロナも死亡率は同じなのに
どうしてコロナだけ特別なんだ
と私を含めてたくさんの人が言っていたか分かったはずです。わたしをはじめ、我々は「死亡率」つまり社会に対する脅威の話をしていて、コロナの脅威は経済ぶち壊すほどではないといい、コロナ怖い怖いの人たちや医者は「致死率」つまり、自分がかかったらどうしようという話をしていたわけです。かみ合わないわけです。国にはもうお金が無いんだと、家にはもうお金が無いんだで論争してたわけですね。
かかる確率は低いけどかかったら怖い病気と、かかる率が高いけどかかってもなかなか死なない。でも結局トータルでは死ぬ人の数は同じ・・・・それがインフルエンザとコロナです。どうしてエボラと同じ2類相当で5類にしないんだという人は、エボラの致死率を見ていて死亡率を見ていないわけですよ。5類に下げるには5類の致死率でないとならんわけです。
正解率をみますと
またまた2割いませんでした。
コロナの致死率はワクチンで大きく下がったので5類に
ところでワクチンでどのくらい致死率は下がったのか。去年の夏とワクチンを終わった今年の7月で比較します。対象はワクチン接種率の高い70歳以上の高齢者です。
こちらが昨年
こちらが今年の7月
昨年70代 男5.2% 女2.5%
→ワクチン済 1.03%
昨年80代 男8.3% 女4.7%
→ワクチン済 2.03%
昨年90代 男22.8% 女10.0%
→ワクチン済 1.03%
おわかりのように圧倒的に致死率が下がってます。高齢者にはそれが顕著です。高齢者は昨年よりも画期的に致死率が下がった。全年代で季節性インフルエンザと大差ないまでになれば5類に落とせます。いまはまだ季節性インフルエンザよりずっと高い。デルタ株の致死率が下がった可能性もあるが、60代の非接種の致死率が今年60-64歳 0.32% 65-69歳 1.31%で昨年は男1.2%、女0.19%なので多少下がった程度です。治療もかなり確立されたので有意義に毒性が低下したまでは言えないレベルと思います。
しかし、ワクチン止めたら季節性インフルエンザの致死率20~50倍で死亡率は同等に戻るので永遠に5類になりません。「ワクチン止めて5類に落とせばすぐ解決」は妄想でしかない。ワクチンや治療法の確立で致死率と死亡率を落としてやっと5類にできるのです。
ワクチン効果で致死率も死亡率も下がってきたいま、社会を解放するのを検討する時期が来ています。最近こんなエントリーばかり書いているのは、あまりにも専門家とコロナ怖い怖い層と我々、そしてコロナは風邪組とで見ているデータが違うためです。分断を埋めるにもまずは正確な知識が必要です。
専門家は致死率と医療切迫しか見ていなかった
経済を解放しろという我々は死亡率しかみてなかった
この狭間を埋めるためには双方共にまずはきちんとした知識のアップデートが必要なんですよ。
理系だから確率に強いわけではない事がコロナ禍でははっきりした。仕事できてるのかなあというひともたくさんいます。ちゃんと整理しておくチャンスです。