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目次
輸出企業は国内向け消費税を返してもらってずるい??
前に書いたブログです
消費税は世界中どこの国も国内向けにしかかかりません。これはアメリカの売上税も同じでハワイの免税店で買ったら空港で未開封を確認の上で精算してくれますよね。日本の外国人観光客の制度も来年からこの方式になります。
しかし、共産党やれいわ新選組をはじめ、輸出企業はこれで大儲けしている、けしからん、やめさせろという声があります。共産党は特に「大企業=悪の結社」という概念からこれを不正とまで決めつけていますが、世界中どの国もやっている国内向けの消費税の還付をやめるということは輸出企業にとって大ダメージ。先払いした本来払わなくていいものの還付がうけられなくなると、国際競争力の低下で下請けまで大きなダメージということが分かっていない。
そこでChatGPTにどこまで経済的なダメージになるのか試算して貰いました。20分ほどかかりましたよ
輸出免税廃止が日本経済に与える影響
輸出免税とは何か(前提の整理)
日本の消費税は、国内で消費される財・サービスに課税され、外国で消費されるものには課税しない「仕向地主義(destination principle)」を採用しています。そのため、企業が輸出取引を行った場合、国内消費税(現行税率10%)は課されず、仕入れ時に支払った消費税も還付されます。つまり前払いした本来払わなくてもいいものを返してもらうので企業は1円も得をしません。
これを「輸出免税」(輸出企業への消費税還付)と呼びます。例えばトヨタ自動車など大手輸出企業は、年間で数千億円規模の消費税還付を受けています。この制度をもし日本で廃止し、輸出にも一律で消費税を課す(還付しない)と仮定した場合、どのような経済的影響が生じるでしょうか。以下では、最新のデータや研究(2023~2025年頃)を基に、その影響を詳しく分析します。
GDP・雇用などマクロ経済への影響
輸出免税を廃止して輸出に事実上10%のコスト増(実質的な輸出課税)を課すと、国際競争力の低下によって日本の輸出数量は減少し、GDPが押し下げられると予想されます。専門家試算では、実質GDPが少なくとも▲0.5%以上減少する可能性が指摘されています ([日本の対米貿易黒字解消手段を検証:輸出品全体に60%の関税で黒字解消:GDPは1.4%低下 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)]
輸出免税廃止は10%の追加コストとはいえ、幅広い輸出に影響するため、年間でGDPの1%前後(5~6兆円規模)を押し下げる深刻な影響も現実的に考えられます
日本経済に占める輸出の比重は近年上昇傾向にあり、名目GDP比でおよそ18~23%に達します 製造業雇用の約3割は輸出需要に支えられているとの推計もあります。
そのため輸出減少は企業収益の悪化や生産縮小を通じて雇用にも波及します。特に輸出関連産業の雇用が減少し、数十万規模の雇用喪失が懸念されます。実際、RIETIの分析によれば製造業の約30%(約300万人強)の雇用が輸出に依存しており 輸出減退による生産縮小がこの一部に波及すれば、数十万~100万人規模の雇用が影響を受ける可能性があります。
過去の円高局面でも、輸出不振により2008~2012年に関連倒産が累計243件発生し 、製造業を中心に失業者が増加した例があります。輸出減少は地域経済にも影響し、輸出産業の集積する地方では失業率や所得の悪化要因となります。
輸出免税廃止による企業収益への打撃も無視できません。大手輸出企業はこれまで、輸出免税により仕入時の消費税負担分が年間約7兆円も還付されています 例えば、2023年度にはトヨタ自動車など上位20社で合計2.18兆円もの消費税が還付されました トヨタ1社では約5,000億円(0.5兆円)と推計されており、同社の当期利益約2.45兆円の2割超に相当します。免税廃止でこれら還付金が消失すれば、輸出企業の税負担が実質的に年数兆円増加することになり、多くの企業で経常利益が大幅減少する見込みです。企業収益の悪化は設備投資や研究開発の抑制につながり、中長期的に日本経済の成長力を低下させる恐れもあります。
さらに、輸出減少と産業収益悪化の結果、日本の産業構造にも変化が予想されます。輸出競争力の低下により製造業の縮小・空洞化が加速しうるからです。日本は自動車や機械など製造業を基盤に経済を発展させてきましたが、輸出課税で国内生産コストが上昇すると、企業は生産拠点の海外移転や輸出品目の生産縮小を検討するでしょう。その結果、国内の製造業比率が低下し、サービス業など内需型産業への構造転換が進む可能性があります。もっとも、それは望ましい転換ではなく、競争力喪失による受動的な産業縮小となる点が問題です。
製造業の付加価値や雇用創出力は高く、関連産業への波及効果も大きいため、その萎縮は日本経済全体の活力低下につながります
政府・シンクタンクの分析でも「輸出急減による製造業の衰退」が景気悪化の大きな要因と指摘されています
下請け中小企業への具体的打撃
輸出免税の廃止は、大企業のみならずその下請け・サプライヤーである中小企業に深刻な打撃を与えます。日本の企業数の99.7%は中小企業であり、製造業の付加価値の約53%、雇用の約70%を中小企業が担っています。大企業の輸出製品には多くの中小企業が部品や加工サービスを供給しており、輸出需要の減退は中小企業の売上減や業績悪化に直結します。
特に自動車、電機、機械など輸出依存度の高い製造業では、中小の部品メーカー・加工業者が多数存在します。輸出企業側が消費税負担増に対応するためには、製品価格の引上げが難しい場合、仕入れ先への値下げ要求や発注削減でコスト削減を図ることが予想されます。その結果、下請け単価の引き下げや受注量の減少が生じ、中小企業の収益圧迫や資金繰り悪化を招きます 2
すでに大企業と中小の取引では「消費税分の値引き要求」が問題となってきましたが、免税廃止はその傾向を一段と強め、中小企業の負担が増大すると考えられます。
中小企業の売上の減少幅も甚大
リーマンショック直後の2008年末~2009年にかけて、輸出が急減した際には中小企業の輸出額が前年同期比で半減し、中小製造業の生産指数も大きく低下しました。中小企業庁の試算によれば、自動車産業を中心とした輸出急減によりわずか半年間で中小製造業の生産が4,000億円減少したとされています。
こうした売上減とコスト転嫁圧力の高まりは、中小企業の倒産リスクの増大につながります。実際、前述の円高局面(2008~2012年)では、輸出不振による関連倒産が累計243件発生しました。特に地方の小規模製造業者では、主要取引先の輸出減により経営が立ち行かなくなるケースが懸念されます。帝国データバンクの分析でも、急激な為替変動(円高・円安)が中小企業倒産を増やす大きな要因と指摘されています。輸出免税廃止は政策的なコスト増であり、中小企業にとっては突然の「実質増税」で体力を奪われる形となります。
さらに雇用面でも、中小企業は緊縮を迫られます。取引悪化による廃業・倒産まで至らなくとも、受注減に対応して非正規社員の契約打ち切りや従業員の解雇に踏み切る企業が増える恐れがあります。中小企業は地域雇用の受け皿でもあるため、各地で失業者が増加しうる点も社会的な懸念材料です。特に 「一社依存型」の下請け企業では、大口取引先の輸出動向に業績が左右されやすく、輸出免税廃止はこうした企業ほど深刻なダメージを与えるでしょう。
業種別の主な影響分析
輸出免税廃止の影響は、業種によって濃淡があります。輸出依存度が高い製造業**が中心的な打撃を受けるのは共通ですが、自動車、電機・電子部品、精密機械、素材(鉄鋼・化学)など主要輸出産業ごとに具体的な影響を整理します。
自動車産業:日本の輸出の柱である自動車産業への影響は最大級です。自動車および関連の部品輸出額は合計で年間約12~13兆円規模に上り(完成車10.7兆円+自動車部品約3.6兆円、米国や欧州、アジア各国で日本車は激しい競争にさらされています。輸出免税がなくなれば、日本車の輸出価格は一律で最大10%上昇する可能性があり、価格競争力の低下による販売台数減は避けられません。輸出台数の減少は国内の生産減につながり、完成車メーカーだけでなく系列の部品メーカーまで幅広く生産調整を迫られるでしょう。
特に地方経済では、自動車関連工場の生産縮小・雇用削減が波及し、地域の雇用機会喪失につながります。現在ですら世界市場で台頭するEVメーカーとの競争が激化していますが、そこに税負担増というハンデが加われば、日本の自動車産業全体の国際シェア低下も懸念されます。
電子部品・電子機器産業:半導体や電子部品、電子機器も日本の重要な輸出品目です。半導体等電子部品の輸出額は年間約4.9兆円(2021年)にも達し、中国・台湾・韓国などアジア向けが9割を占めます。精密な電子部品やデバイス製造装置では日本企業が高い競争力を持ちますが、コスト増は海外メーカーとの競争上不利になります。例えば、半導体製造装置は日本の最大の単一輸出品目で、中国・米国・韓国に多く輸出されています。
この分野で輸出価格上昇すれば、顧客はアメリカや欧州の競合製品、中国国内の装置など他の調達先に切り替える可能性があります。*電子機器(ICT機器)分野でも、日本企業の輸出比率はそれほど高くないものの、一部の電子部品・材料では世界市場を日本が支えているケースがあります。そうした部品の価格が上がれば、サプライチェーン全体に影響が及び、日本発の部品採用を避ける動きも出かねません。結果として、国内のエレクトロニクス産業の生産・設備投資が鈍り、技術優位性の維持にも支障をきたすリスクがあります。
精密機械・一般機械産業:工作機械や産業ロボット、建設機械、精密機器などの一般機械部門も輸出が多い分野です。2021年には、一般機械」(半導体製造装置やエンジン等)が日本の品目別輸出額で第1位となりました。日本製の機械や装置は高品質で知られますが、価格競争力の低下は欧米メーカーや新興国メーカーとの競争を不利にします。例えば、精密機器では医療機器や計測機器などで日本企業が強みを持ちますが、価格上昇によりシェアを落とす可能性があります。また、産業用ロボットなどは世界トップクラスの輸出品ですが、各国が製造補助金や税制優遇で産業育成を図る中、日本だけ輸出税負担が増すと**海外顧客が調達を控える恐れがあります。
結果として、これら機械産業では
受注減→生産減→研究開発費削減の悪循環が起こり、新製品・新技術への投資にもブレーキがかかりかねません。精密機械産業は中小企業も多く参入しており、高度な下請けネットワークで成り立っているため、輸出減の影響が裾野まで広がる点でも注意が必要です。
-素材・基礎産業(鉄鋼・化学など):鉄鋼や化学製品、非鉄金属などの素材産業も、日本は高品質品を輸出しています。鉄鋼の輸出額は年間約3兆円規模で、中国やタイ、韓国向けが多くなっています。鉄鋼やアルミなど素材は国際市況価格で取引されるため、日本企業だけコストが増すとその分利益を削るか、生産を縮小するしかなくなります。高炉メーカーなどでは収益悪化で国内生産縮小や設備投資見送りにつながり、産業基盤の弱体化が懸念されます。化学製品(プラスチック原料や特殊化学品等)も日本の輸出品目上位に入ります これらはニッチ分野で高シェア製品が多いものの、価格競争力低下でシェアを奪われると、せっかく築いた市場を失いかねません。素材産業の不振は、その供給先である自動車・機械など他産業にもコスト増要因となって波及します。つまり、輸出課税は川上から川下まで産業連関を通じて幅広い業種にじわじわと負の影響を及ぼすのです。
以上のように、輸出免税廃止は主要な輸出型産業すべてにマイナスのインパクトを与えます。製造業全般の国際競争力低下とそれに伴う生産・雇用の縮小という構図が各業種で共通しており、日本経済の根幹をなす産業群が軒並み打撃を受ける点が深刻です。
## 経済影響の規模とまとめ
最後に、上述した影響を主な経済指標や分野ごとにまとめた表を示します。輸出免税廃止がもたらす負の影響は、マクロ経済からミクロの企業経営・家計にまで及び、その規模も決して小さくありません。
| 分野・指標 | 見込まれる影響(試算値)
| ——————————- | ——————————————-
| 実質GDP(年間)| ▲0.5~1%以上の低下
| 雇用| 輸出関連で数十万~100万人規模の雇用喪失リスク 製造業・地方で失業増加。 |
| 輸出総額| 大幅減少(価格競争力▲10%で数量減)。一部試算で輸出半減も
| 企業収益(大企業)| 年間約7兆円の還付金が消失し、その分利益圧迫 トヨタで▲5千億円(利益の2割)規模
| 産業構造| 輸出型製造業の縮小・空洞化が進行。国内製造業比率低下、海外移転加速の恐れ。
| 下請け中小企業の売上| 輸出向け需要減で大幅減収。例:輸出急減時、中小製造業で▲4,000億円の生産減
| 中小企業の倒産| 増加必至。輸出不振に伴い倒産件数増加(円高期に関連倒産243件)
| 自動車(輸送用機器)産業| 輸出額約12兆円に影響。価格競争力低下で輸出台数減 雇用・下請けに波及。
| 電子部品・電機産業| 輸出額約4.9兆円 。アジア市場でシェア低下、設備投資・技術開発に打撃。
| 機械・精密機器産業| 半導体製造装置等主力輸出の減少。生産縮小で産業競争力低下。
| 素材(鉄鋼・化学など)産業| 鉄鋼等の主要輸出品に影響。収益悪化で国内生産縮小、他産業へコスト波及。
ご覧のように、輸出免税の廃止は日本経済に広範かつ深刻なマイナス影響をもたらすと考えられます。GDP押し下げや雇用喪失といったマクロの悪影響から、下請け中小企業の倒産リスク増大というミクロの痛みまで、影響は多岐にわたります。特に製造業を中心とした輸出産業が萎縮すれば、日本の産業基盤そのものが弱体化しかねません。以上の分析から、現行の輸出免税制度を安易に廃止すれば経済全体に計り知れない打撃を与えることが明らかであり、慎重な議論と対策が必要であることが示唆されます。
デマに欺されるな
輸出企業への国内消費税の還付は大企業に限らず中小零細から個人まで受けられます。世界中のどの国もやっているのでこれを廃止するということは日本の国際競争力が激落ちして国内の経済に深刻なダメージを与える訳です。
Grokも同様に試算しました。
下請け:売上1.25-2.5兆円減、3000-6000社倒産リスク。地方経済と産業エコシステムに深刻な影響。
ほんと、こういう日本を破壊するようなデマを広めるって犯罪だと思うんですけど皆さんはどう思います?