今月よりリクルートの後輩のサイトのコンサルをしています。橋本君といい、早稲田出てアクセンチュアからリクルートを経て起業したわけですが、貧乏なのでこちらもお金というよりビジネスモデルが面白いので興味本位です(橋本君、儲かってきたらちゃんと払ってくれ・・)。とはいえ手は抜かず、ビシバシと千本ノックで鍛え中。橋本君、涙目。
大きな会社で働いた経験があり、しかもそこがIT系だったとしても、実際にお前が集客してみろというとできない人はたくさんいます。極端な話、海外の情報とかトレンドに詳しく、セミナーとかでスピーカーはできても、実際にこのサイトのアクセスをソーシャル使ってあげろと言われてもできない。理論は知っていても実践は別だからね。海外のどこそこのサイトはこうやって成功したというソーシャル本はたくさんあるけど、「自分はこうやって成功した」という本は情報商材屋や自啓発屋のナンチャッテ本以外はほとんどない。経済学者が自分で店開いて大繁盛させることができるかみたいなもんです。
橋本君のサイトだが、トラベリエンスといい、海外からの観光客のガイドサービスである。
そもそもツアーで来るわけではなく、ネットで探して日本でガイドを雇うわけだからそこそこリテラシーが高くて、しかも一般の人よりお金持ちの傾向値がありそうと思った。聞けばやはりそうで、アメリカの有名IT企業や金融系に勤務の人とかが多いらしい。こうした場合、SEO対策やソーシャルの運用が効果的なはずだ。一応、まだ開設して数ヶ月のFacebookページを見たら・・・
ファン数45000人!!!!! (O_O)
普通、これだったらFacebookからめちゃくちゃ集客できるはずなんだが・・・自分なんかにコンサル依頼するわけないじゃんと思って事情を聞いた。まずどうやって集めたかを聞いたら、まず全世界対象にFacebook広告を出したらしい。費用は約2万円で2ヶ月で集まったらしい。1人当たりのファン獲得コスト0.5円!!!
しかし、ファンの国籍を見たら案の定・・・
最もFacebook人口の多いアメリカからのファンは45000人のうち400人だけしかいない。対象となるアメリカ人はたった400人しかいない。ブラジル最強。ブラジルはGoogleのSNSであるOrkutを占領してしまい、その傍若無人ぶりからOrkutはブラジル人だけになってしまい、アメリカ人もいなくなってしまったというほどだ。そしていま、Orkutでは飽き足らなくなった彼らはFacebookに攻め込んできている(笑)。ちなみにmixiはOrkutを元に設計したはずです。
これについてのエントリーはこちら
Facebook日本の会員数ついに減少へ!! そしてブラジルからの猛攻撃がそろそろ始まる
このブラジル人の皆さまのSNSの使い方ったらもう、情け容赦もないくらいスパムメッセージの嵐。日本の出会い業者のようにビジネスではなくて「素」。パーティしようとか友達になりたいとか、山のようにメッセージが知らない人から来るのだ。あなたはハンサムだとか、セクシーだとか言われまくりである。さすが情熱の国。
ちょっと前までは世界に向けて広告を打つとインドネシア人が圧倒的にファンになってくれた。彼らの友達はみんな数千人はいて、使用している端末はほとんどがBlackBelly。2年前にインドネシアに行ったときにこのSIMフリーのBold 9000を持っていった。
↓そのときの話だよ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=135
こんな小さな画面で、しかもRAMが小さいのですぐに固まるアプリでみんなセコセコとFacebookをやっていた。これでFacebookやったらわかるけど、めちゃくちゃ機能が限定されていてフィードもへったくれもなく、知り合いがいいねすると脊髄反射でいいねをする。Facebookページ(当時はファンページ)の検索もできなかったのでだれかがファンになったりコメントつけると自分もファンになる、みたいな使い方であった。釣るのは簡単だし、釣られたこともわからない。誰にでも友人申請するしすぐファンになる。よって1~2年前までは全世界に向けて広告出すと圧倒的にインドネシア人がファンになってくれたわけです。
もともと米国に次いで世界第2位のFacebook大好き国家だったから、人口は多かったのだ。現在では1位アメリカ、2位は前述のブラジル、3位インドで4位にまで落ちている。インドネシア人の友人に聞くと「みんな飽きちゃった」ということであった。サンシャイン牧場かっ!!
ちなみにインドは
で、まだ携帯の普及がはじまったばかり。みんな面白くて夢中でやっているっぽい。
出典 http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/india/detail.html
上記のことから
1 ファンを単純に集めたければ、全世界(というかアジアとブラジル)に向けて広告打つとよろし
おそらく月10万円も使うといまなら1年で簡単に100万人くらいは集まる。ただしブラジル人とインド人とフィリピン人とインドネシア人ばっかり・・
2 日本や欧米など、国民全体のリテラシーがそこそこ高い国民は広告ではほとんど釣れない
Facebookページのファンを広告を使って集める場合、日本だと誰もがファンになりやすいページだと1人当たり50円とかで、商売っ気があるものや無名のブランドなんていまやひとり数百円使ってもなかなかファンになってくれない。ファンになるとフィードにコメントが差し込まれてくるのが周知されているので、ほとんど釣られないわけだ。「投稿を宣伝」してみても、アメリカや日本だと3000人くらいにリーチだとファンは増えてもせいぜい1人とかが当たり前の時代です。
でもってここからが本題です。
「ファン数が集まればそこの国にアピールできるからいいじゃないか」と思う人も多いでしょう。しかしそもそも、我々とこうした国の人たちは「ファンになる」という意識の持ち方が違う。こうした国の人たちは物凄い数のFacebookページに片っ端からファンになるが、Facebookページからの投稿は見てない。見ても小さい画面で見えない。またはコレクションのようにファンになること自体が目的になっていて、ページからの投稿は「表示しない」に速攻で変更すると推測できるのです。というのは・・
わたしの会社のFacebookページですと、ファン数は5000人だが、1回の投稿に対して2000〜3000人へのリーチがある。到達率は約50%。ところがトラベリエンスでは45000人のファンに対してのリーチ率は300〜700人。なんと1%前後しか到達しないのだ。ほとんどのファンは死んでいて、1投稿当たりのいいねの数もファン数に対して非常に少ない。
つまり、簡単に集まってくれるファンは、こちらからのアウトバンドを拒否するということなのである。
海外のファンが多いことで有名なFacebookページに「サティスファクション・ギャランティード」というのがあります。けっこう有名で、アジアでの認知度を上げた例としてよく取り上げられている。ここのファンを見ると
という感じで、例のごとくインドネシア、インド、フィリピンとアジア各国が並ぶ。ググってみたら「月間の広告宣伝費が10万円以下」とあったから、おそらくアジア向けにFacebook広告を出していたんだと思う。3年間で400万人とすると、1人当たりのファン獲得コストが0.5円とするならかかったコストは200万円。月間7万円くらいでドンピシャ。ファンを買うのと違って広告は不正な手段ではありません。サイト見たら「不正に集めたことは一切ありません」と書いてあった。買ったといわれることを気にしてるんだな・・
しかしこうして集まったファンがアクティブかというと、250万人もファンがいるのに1つに投稿に対していいねが1500〜5000程度。投稿支持率0.1%くらいである。Facebookページのアクティブ率は母体が大きくなると下がっていくが、ANAのFacebookページは96万人で5000〜30000ものいいねがつく。投稿支持率0.5〜3%と遙かにANA のファンへのリーチ率が高いことがわかる。サティスファクション・ギャランティードにいるANAと同等の質のファンは30〜50万人程度ではないかと考えられるわけだ。ちなみにわたしのFacebookページは投稿支持率0.5〜1%未満でANAに負けてます。www
結論をいいますと・・・ブラジルやインドやインドネシアやフィリピンのかたたちを対象にFacebookページのファンを集めるのは非常に簡単で、少額の広告費をかければいいだけなのだ。しかしそのファンは、数はいてもこちらからの投稿はほとんど見てくれない。単に数が多いだけです。もっとも日本人に対して「アジアで超人気のブランド」としてのブランディングには役立つと思います。
前々から何度書いたかわからないが、ソーシャルの運用は「質の高い、アクティブなファンを集めること」に尽きる。そのためには練りに練った支持される記事投稿を毎日しないとならない。コメントへの対応は必須。適当な写真を一枚と適当なコメントを数行書くだけで「Facebookページを運用している」なんてことにはならないのである。数だけのファンには意味が無い。質の高いファンをいかに集めるのかがソーシャル運用の鍵なわけで、数が多ければいいというのはもうやめにしましょう(特に広告代理店とか大企業のみなさん向けのコメントです)。
ちなみにトラベリエンスでは、英語を自由に操れる方で一緒にやりたいという人を募集してます。なにゆえ貧乏ですので最初はボランティアになると思いますが、一緒に成功させるぞエイエイオーという方はぜひ問い合わせしてみてください。