昨日、この本を読んだ感想文だけで5万人を越えるアクセスを頂き、あらたな芸風を確立いたしました(笑)。Amazonのアソシエイトを見ますと、総アクセス数の150人にひとりくらいしか本を買ってる人がおりませんが、あくまでわたしのは「はしょった意訳」ですのでぜひ、きちんと読むことをオススメします。
しかしながら頭が凝り固まっているのか、ここまで意訳してるのによく理解できない方もいらっしゃいまして、本日は今朝ほどKindleで配信開始された池内恵(東京大学先端科学技術研究センター准教授)先生の「イスラーム国の衝撃」を朝4時から貪るように読んだ私が、平和ぼけした頭の皆さんに本の感想を語って聞かせようと思います。
イスラーム国の衝撃 (文春新書) Kindle版800円
なぜか7時現在、「ご利用頂けません」になってるのよ。どうして?
※その後、復帰しています
この、「イスラーム国の衝撃」は名著です。すぐに外務省の中東担当とか、警視庁の公安とか、池内先生の門を叩いて顧問としてお願いした方がよろしい。まあ公安あたりはとっくにやってるかなと思いますけどね。テレビ局におきましては池上さんと池内先生の「ダブル池対談」を企画すれば視聴率めちゃくちゃ取れます。二時間では足りない。馬鹿政治家をゲストに呼んで突っ込んでもらいたい。
で、わたしは池内先生の本の100%受け売りで、中東に行ったこともなければ行く気もございません。ムスリム(イスラム教徒)の友人はインドネシアに大勢いてけっこう話したことはあるけどその程度です。なので本にないことを聞かれても分かりませんので質問しないでください。まずは本読め。
イスラーム国が簡単にわかるたとえ
昨日まではイスラム国としてましたが、この本を読んだ以上イスラーム国とさせていただきます。まず、簡単にイスラーム国を言い表す比喩を思いつきましたのでこれなら誰でもわかります。
アル=カーイダ(これも池内式です)をほっかほか亭とするなら、イスラーム国はほっともっとなのです。比喩が飛びすぎたように思えますがそんなことありません。
昔、個人経営の弁当屋がほっかほか亭の名の下に集まり、日本で大フランチャイズを形成していたわけですが、その中でもっとも先鋭で売れ行きの良い経営力のあるグループが離脱してほっともっとになったわけです。ほっともっとは従来のメニューを一新し、AKBを使ったテレビコマーシャルを大量投入!!いままでのほっかほか亭のフランチャイズは閉店または鞍替えとなり、一気に勢力を塗り替えた。このほっともっとの隆盛を見て、日本中のフリーターや起業希望者が殺到し(現実はどうか知らない)、日本中がほっともっとに侵略され、家庭での調理する習慣が失われる危機となった・・・・的に考えると、硬いオツムの方もわかり易いでしょう。
イスラーム国は米国だけの敵ではない
無知な方は、「安倍さんはまた米国に追随して2億ドル出した」とか臆面もなくいいますが、まったく違う。イスラーム国を脅威に感じていないのは世界で脳天気な日本だけだと思われます。
そもそも「イスラーム国ヤバい」と世界で認識されたのは2014年の6月にイラク第2の都市のモースルを陥落させた時ですから、まだ半年しか経ってない。それまではそれほどヤバいと認識されてなかったわけです。
このあと、イスラーム国はもっとヤバい行動に出る。
指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディー(本名ではない)がカリフに就任したと勝手に主張。つまり全世界のイスラム教の最高指導者はわしらだと宣言したんです。本当のカリフはムハンマド(マホメットね)のあと四代くらいまでがせいぜいなので、これは世界のイスラム教徒にとっては衝撃だったわけです。
そして翌月7月1日には、世界中のイスラーム教徒に向け、
イスラーム国に移住してこい
と呼びかけた。まるでイスラエル建国の時に世界中からユダヤ人が集まってきた時みたいです。この呼びかけに呼応して世界80ヵ国からなだれ込んだ若者は諸説あるが1万5000人。全体の半数はこうした外国人なのです。この80ヵ国はどこもびびりまくりでしょう。だってここから彼らが戻ってきたら、国内で活動を始めることになる。癌細胞みたいなものです。実際に戻ってきてテロ活動をはじめた例はものすごくたくさんある。
この外国人たちは、チュニジア、サウジ、ヨルダン、モロッコ、レバノンなど中東やアフリカのほか、ロシア、フランス、英国、オーストラリアなどそれぞれ数百人規模。アメリカは70名程度でイスラーム国の脅威はほかの国に比べてずっと少ないんである。だから
イスラーム国はアメリカの問題ではない
なのであります。
これは世界中の問題なのだ。中東各国やイギリス、フランスも空爆に参加しているのは、洗脳されて戻ってこられて自国でテロ活動や組織化をやられたら手に負えないからです。
欧米からなだれ込んだ優秀な頭脳が最新のIT技術を駆使
もうひとつ、イスラーム国の特徴が、宣伝や広報の巧さ。広報誌や番組ももっていて非常にレベルが高い。機材もかなりいいものを使っている。これは欧米のノウハウをもった若者が参加しているからだと考えられています。これで世界の純真な若者を扇動する。(首切りYouTubeとかはアメリカのねつ造で戦争続けるためにやってるっていってる陰謀説馬鹿は死んでほしい。アメリカは経済が詰まって世論もうるさいから戦争なんかやめたくてやめたくてしょうがないからドローンでやってんだよ!!)
馬鹿の一つ覚えで「世界の貧困が原因」とか「残虐性のある人間が集まった」という輩については、池内准教授は完全にダメだししています。まったくわかっていないと。確かに数万人いるわけだから中にはそういうやつもいる。しかし根はそんなものではない。金ももらえず、自爆テロに喜んでいくような若者が、「志願して」集まっているわけです。勧誘は組織的には行われていない。根が純粋なだけに始末に負えないのです。世界が恐怖しているのはここなのです。
日本でも勧誘を見て北大生が渡航しようとして公安に止められたじゃないか。彼は洗脳されたわけでもなく、日本にいても面白いこともないから一発冒険してみよう的な、馬鹿と言えば馬鹿だが若者らしい純粋な興味で参加しようとした。こうした人間が次々出てくるのは止められない。
またアジアでは世界最大のイスラーム教徒の国であるインドネシアや、マレーシアなどイスラーム教の国が多数ある。中国だってウイグル自治区に多数抱えている。もちろんほとんどのイスラーム教徒は穏やかで優しい人たちなのだが、イスラーム国の教義が原理的で「イスラームの原理に立ち返れ」というものであるのに惹かれる純粋な若者は多いはずだ。旅費だって自費だ。貧困層がどうやってシリアまで行くんだよ。ヒッチハイクか??
なぜ身の代金を払ってはいけないのか
いままでも人質が解放された例はあるが、身の代金を払ったのか、はたまた別条件なのかはわかっていない。日本のテレビとかは「身の代金を払ったとされる」と放送しているが、あれは完全な国益に反する世論誘導だと思う。日本人の人質を助けるなら身の代金くらい払えという世論を盛り上げるためです。
なぜ身代金を払ってはいけないのか。答えは簡単です
この本のデータと推測では、イスラーム国の大きな資金源のひとつが身代金だからです。彼らは支配地域から人質を取って身代金をとり、活動に充てている。アメリカのコーエン財務長官の発言によると、イスラム国の収入は原油の密輸が1日約100万ドルだから年3億6000万ドル、身代金は年2000万ドル以上になるという。仮に日本が2億ドルの身代金を払ったとすると、イスラーム国は10年分の身代金にあたる金額を得ることになり、一気に脅威が拡大する。半年分の活動費キターって感じですから。まあ日本人が金になるのでバンバンさらわれるのは自業自得としても・・
世界中から即つまはじき
です。間違いない。あんたんとこはまだひとりもイスラーム国に義勇兵として行ってないからといって、うちらは何百人もいってるわけで、奴らが帰ってくると思うと怖くて仕方ない。なのに自国民2人のためにそこに多額の支援するなら日本は世界の敵だ、となること間違いないです。
そんなわけで、安倍さんも日本政府も苦悶しているんだと思う。自民党については積極的に支持しているわけではないが、無責任に「安倍辞めろ」とか「身代金払え」とがなり立てる前にまずは本くらい読もうという話でした。
そもそもイスラーム教もキリスト教も拝んでいる神は同じ。キリストはコーランにも出てくる預言者のひとりってことさえ知らない初心者は池上さんのこれがオススメ