先週末、テレビを見ていたらなんだか「貧困系」の特番が多く、まさに貧困デーであった。
たけしのテレビタックルでは
「アッと言う間に中流から下流に落ちる現代ニッポン!!一億総下流時代を乗り切れSP」
というのをやっておりました。割と面白かったです。
高齢者の1/4が貧困であり、その数900万人。この番組見て小林よしのり氏がブログでまた過激なことを言ってます。
構造改革・規制緩和と延々と言っているが、真っ先に規制緩和すべきは安楽死だろう。国民としての役割を果たし終えて、若者の迷惑にしかならない老人は安楽死するのが一番いい。
昭和36年(1961年)に国民年金制度の施行が行われたときの平均寿命が、男が65歳!!!で女が70歳。それが2010年現在で男性が79.64歳、女性が86.39歳と、たった50年で15年も寿命が延びているし今も伸び続けている!!!
当時は55歳くらいで定年と言ってたのは残りの余生を10年間のんびり暮らしましょうだったわけだが、今、当時のように55歳で定年になってもあと25年もあるわけだ。ちなみに老後をなんとか生活するためには厚生年金以外に3000万の貯蓄が必要だそうです。40超えてフリーターとか非正規雇用の人たちは生活保護まっしぐらだしその頃には制度は崩壊してます。
これじゃ年金制度が破綻するのも無理ないし、これだけ長生きしていれば貯金もなくなるだろうから下流老人が増えるのも無理はないと思いました。そしてそのツケが若者に回されているわけで、それについて誰も何も言わないのはどうかと思ったよ。あと、今の若者は生まれてからずーっと不景気で低賃金で働いているのに、下流老人は高度成長期やバブルの時代を経ている。なのに貯金もないってどういうことっていうことは誰も言わない。いまの若者が老人になったら全員が下流になっちゃう。
あと、貧困高齢者が増加していることについて、「熟年離婚」が挙げられていた。こういう視点で熟年離婚を見たのは初めてだったがなるほどと思いました。
定年退職したある日、長年連れ添った奥さんから「いままでずっと我慢していたけどわたしはこれで自由になります」と離婚届を突きつけられる。いまさらといっても意思が固くて言うことを聞かない。離婚して最初は奥さんも気が楽になってウキウキだが、住居も維持費もいままで一つで良かったのが2人分かかる。で、貯金がなくなっていって2人とも下流老人になるというわけ。気持ちはわかるけど、よほどお金がないと熟年離婚とかヤバすぎますね。
もうひとつは、バンキシャ
そこに出てくるNPO法人の人が掲げる「今や6人に1人の子供が貧困であって、その比率はどんどん上がっている」というグラフ
コレを見て、「あらっ」と思ったのが自分だけかと思っていたら、Facebookでリクルートの後輩の芦谷くんが同じ疑問を投稿していた。本日は、下流老人と貧困の子供についてこうした言い方が正しいのか検証してみることにします。
貧困率上昇で一番問題なのは「老人」なのか??
確かに下流老人も貧困の子供も社会的に非常に重い問題だ。小林よしのり氏のように「社会的に役割を負えた高齢者は安楽死を選択できる権利を」というのも乱暴ではあるが一理ある。自分も寝たきりになったら間違いなく選択すると思う。それはさておき
高齢者は増えてるんだから下流老人も増えて当たり前では?
子供は減ってるから、貧困の子供の総数はどうなのよ
という2点が引っかかった。高齢者全体が増えれば貧困老人も比例して増えるだろうし、子供が激減してるわけだから貧困率は上がっても、貧困の子供の総数はどうなってるのかなということです。前者は総数で、後者は比率で語ってるので話がすれ違ってます。
まず65歳以上の老人の数を調べると(ソース)
昭和35年から比較すると、538万人から3186万人と、6倍近くになってる(驚!!!)
総人口が36%しか増えてないのに、老人の数が6倍です。割合で言うと5.7%から25%になっている。老人の数が6倍になってるわけだから、下流老人の数もそりゃ増えて当たり前だ。
厚生労働省によると
貧困率の推移を見ると、相対的貧困率は確かに上昇傾向にある。とくに子供がいる現役世代の貧困率の伸びが凄い。その中で唯一、「大人一人暮らし」の世帯の貧困率は下がっているのである。
単独世帯数全体では
平成2年から17年までで単独世帯が1291万(平成7年)→1332万世帯(平成17年)になったうち、高齢者の1人住まいが同じ期間で220万 → 404万と倍増している点にある。一人暮らし世帯数は3%しか増えていないのに、一人暮らしの高齢者世帯数は1.8倍になっている。で、一人暮らし世帯の貧困率が低下しているのである(熟年離婚はそれほど多くないから大半は死別ですね)。オレオレ詐欺に遭うのも高齢者の一人暮らしで、子育て中の働き盛りの家庭だと騙されたくても騙されるお金がないもんね。
まあそれもそのはずで
60代の平均貯蓄額は2363万円+年間収入559万円。これは貯金と長年勤めた退職金があるからでしょう。
高齢者のみの貧困率の推移をまとめた調査がない(後記 ここで計算されていました。やはり男性高齢者については貧困率は減少、女性は横ばい)ので細部を精査するのは専門家に任せるとして、ここから導き出せるのは、
貧困老人が増えたのは、単に高齢者の数が爆増しているから
※貧困率は減少または横ばい
であって、ある意味当たり前の事でいまさらどうしようもない。それよりも
子供がいる現役世代の貧困率が大増加
ってことが大問題じゃないでしょうか。昭和60年には10.3%だったのに、平成21年に14.6%と24年間で1.5倍になっていることのほうが重要で、全ての貧困率を上回っている。頑張って働いて子供を育てている世代の貧困率が上がるっておかしいっしょ。
子供がいる現役世代の貧困率が高くなれば子供の貧困率も上がって当たり前で、比率はほぼシンクロしている。子供が貧困にあえげば、きちんとした教育が受けられない。もちろんやる気のある子はその中でも頑張れるだろうが、「貧困は遺伝する」との社会福祉の常識から言うと、その将来はめちゃくちゃ暗い。
で、貧困の子供の総数はどうかというと・・・前述の芦谷君が計算していました。
今の子供の数は約1600万人なのに対して1985年の子供の数は約2600万人でした。それに貧困率を掛けると、それぞれ256万人と260万人…変わってないやん⁉︎
貧困の子供の総数は変わってない
たぶんNGOの人は、「貧困の子供の総数は変わってない」というと「それなら問題ないじゃないか」と言われるので「貧困率」でアピールしたんだと思います。でもそうすると論点がずれてしまう。「貧困の子供が可哀想」という感情論(親がどうせ働いてないんだろうとか思われる)ではなくて「これでは国が滅びる」という論調のほうが支持されやすいです。アピールすべきは「子育て中の現役の貧困率がもっとも上がっている」ということで、これが少子化の第一要因ではないかと思うわけです。
これを解決するには、一点しかなく、「子育てをして頑張ってる世代への税制の優遇」しかないと思います。子育てをしているなら、その人数によって住民税、所得税は免除すれば高所得者は子供を作る気になる。学費は先進国各国のように「成績によって返済しなくてもよい公的奨学金」を設定する。これは以前書きました。
両親無職のパチンコ浸りのヤンキー家庭に子供は増やされても意味がないが、真面目に働いている子育てサラリーマン(もちろんシングルマザーとかも)の家庭については徹底的に保護する。その分、高齢者には我慢してもらう。だっていままで自分が払った額の何倍も年金もらってるじゃないですか。
そんなわけで、30〜40代の子供を育てている家庭の方は、絶対選挙にいきましょう。問題は↑みたいな政策を掲げた政党がないって事ですな。右も左もみんな票を稼げる高齢者ばかりに目がいってる。全国民に手厚くできるわけなんてない。限られた原資をどこに集中するかっていう投資的な考えの政策を求めます。
下流老人書いた方が次に書いたのは若者・・・できれば田中角栄みたいな政治家に「日本再出発」みたいなのを書いて欲しいんだけどな。ダメですか、そうですか。