リクルートの後輩で、もと経済産業省の後々さんが良い感じのブログを書いていたので、かぶせたいと思います。
まっとうなベンチャーのための正しいグレーゾーンの挑み方(&ちょいとPR)
日本人的にはなじみにくいですが、社会的に害をなす可能性が低いのであれば法的リスクが有るか否かで思考停止するのではなく、実際に当局に訴えられ裁判に負けて罰を受ける可能性×事業ダメージのリスクと、一方で世の中にイノベーションを実例として見せることでビジネスの理解度や実現性を高めることを比べてみて、リスクが受け入れられる程度に低ければ、それこそまさに「グレーゾーンにチャレンジする」というビジネス判断をすることもありだと個人的には思っています。実際、アメリカなどは事後規制型(=実際に問題が起こった時に裁判で白黒つける)の法律文化であることもあって上記のようなベンチャーの行動姿勢はよく見受けられますし、日本においてもかつてヤマト運輸が宅配便事業を拡大する際に行政との訴訟を辞さない姿勢で規制を崩したことは近しい事例として参考になるかと思います。
分かりやすい喩えをしたい。
運転代行は最初はグレーだった。タクシー業界は「違法だガー」として運転代行を取り締まるように圧力を掛けたが、運転代行がなくなれば車で食事に行ってついつい飲んでしまった時に飲酒運転するケースが増える。暴力団の資金源になってたこともあって、法律が改正された。
2002年6月、飲酒運転の厳罰化が盛り込まれた道路交通法改正と併せ「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が施行され、都道府県公安委員会の認可がなければ営業することができなくなった。暴力団関係者やいわゆる白タク行為で摘発された者は認可されない。また法律施行から2年(猶予期間)が経過した2004年6月1日からは、顧客車を運転するためには、タクシーと同じ第二種運転免許の取得が義務付けられた。
Wikipedia
飲酒運転の規制が厳しくなり、それだけではなくて運転代行が正式に認められたおかげもあって、飲酒運転の事故は激減している。警察庁の資料より
いまじゃ飲酒運転する奴ってよほどの(キ)だと思うのだが、年齢別にみますと
酔っ払い運転で死亡事故を起こすのは若い世代が多いのだが(成人式で暴れるクラスタ?)死亡事故高齢者の酔っ払い運転の死亡事故率が異常に高い。まさに走る凶器。これから高齢者ドライバーが爆増するので高齢者の酔っ払い運転数も比例するわけで、ちょっと怖い。本当に酔っ払い運転は止めてくれ。運転代行使えば良いじゃんか。
新規ビジネスの「グレー」の対象は誰なのか
前置きが長くなったけど、このように、新規ビジネスでは法律の隙間をかいくぐる「グレー」というものがけっこうある。Uberや民泊のAirbnbもそうでしょう。厳密には法律では禁止されているけど、世間のニーズがそれを必要としているから法律改正が行われ、徐々にグレーからホワイトになっていくわけです。こうしたグレーといわれるニュービジネスが戦う相手は行政です。
しかし、
一連の著作権侵害のビジネスモデルは上記の運転代行や、Uberや、Airbnbとは同じグレーでも全く異なったものです。ココが大事。「グレーだからいいんじゃね」といまもまだ続けている馬鹿スタートアップもあるが、パクリとAirbnbは同じグレーでもココが違うのだ。
1 既得権益に対するグレー
法で守られた既得権益のある企業や、認可を与えることで既得権益を得ている官庁に対してのグレーなわけで、一般の人にとっては規制緩和になるわけです。ところがパクリビジネスでは「グレー」の相手はまともな個人や企業。侵害しているのは著作権です。ここが根本的に違う。
「お前が言うな」の声も想定していた——キュレーション騒動を受けてNAVERまとめが新方針を打ち出した理由
お前が言うなとは言わないが、
「新方針が実施されるまではまず閉鎖しろ」という声は想定してなかったのかよ 。
LINEはリリースで「プロバイダ責任制限法」では自分たちには責任がないといまだに言っていて、新しいシステムに移行するまでの間も公開を続けると主張してます。が
リクルートのギャザリーからは、権利侵害が確認できたものはまずリクルートが立て替えて、後にキュレイターに請求をすると本日連絡がありました。 https://t.co/d8mxPisVWS
— タイランドハイパーリンクス (@ThaiHyper) 2017年1月10日
さすがのリクルート対応!!
これが上場企業でしょ!
法律云々ではない。違法性のあるものの温床、つまり犯罪者に対してのサービスを提供していたのだから、法律ではなくてご迷惑をおかけした分は当方で立て替えてあとでこちらで処理します。これが正しい姿勢だと思う。LINEもいつまでも踏ん張れるものではない。早いうちに同じ対応したほうが傷口が大きくならないで済みますよ。
2 世間が求めていたサービス
運転代行も、AirbnbもUberも「これは便利だ」と一般の人に歓迎されて広く利用されている。これで利便性が上がってみんな幸せになった。しかしパクリビジネスは根本的に違う。
●まとめとかなくても一般の人には別にかまわない
●著作権者のサイトにほとんど流入がなくメリットがない
●頑張った著作権者のサイトよりパクった方が検索上位に出てくるので逆に大迷惑
という、「世間の迷惑にしかならない」という点が大きく異なる。
ひとことで締めるなら、スタートアップでグレー領域を攻めるなら
●既得権益や行政を攻めろ
●ひとのためになる仕事をしろ
ということで、よろしいですか?よろしいですね。
本日は以上です。1日外出しています。
本日のKindleの日替わりセール本。2年を目処に辞めてもいいは賛成しますが、「どこでも長続きしない」「職を転々とする」とは大きく異なるんですよね、これ。前向きの転職なのか、ダメダメの転職なのかのスタンスの違いです。