大衆はイメージで判断するのみ!数字は見ない。そしてイメージとはストーリーである。

2017年1月23日

豊洲の移転について、責任は小池さんにある、小池さんが「今までの対応が間違ってました」って謝罪すれば世間の誤解が解けて晴れて移転できるっていう意見を読みまして、「んな訳ないだろ」と思いました。

自分は右曲がりのおばはんっていってたくらいなので小池さんの信者でも何でもないが、豊洲問題を小池さんの責任とするのは間違ってるように感じる。都民が不安なのは橋下さんが言うように「意味のない数値を挙げた」からではない。そもそも数値なんて興味もない。築地のほうが危険とかも関係ない。理由は下記。

東京都が盛り土してるから安全と言い続けたのに全くしてなかった。だったらほかも信用できないになってるわけ。もともと汚染されてた土地だったろうに利権で隠してたんじゃないかとか、談合が行われて是が非でも移転させないといけなくなってたとか、そういうことが不安材料なのだ。だいたい盛り土やってなかったのが発覚するまでは、都民の多くは「豊洲、それなに? 美味しいの」程度でありました。

ところが、あれだけ都議会で説明していてイラスト入りで説明までしていたのに実はしてなかったとなると、大衆はいっぺんで不安になる。いくら地下水は飲料にしないからと説明しても無駄。「だったらなんでそんな基準にしたの。理由がないのにそんなことしないでしょう」になるだけ。
これで強引に移転しても多くの飲食店は豊洲経由の仕入れをやめるだろうし、主婦は「これ、豊洲ものじゃないでしょうね」と確認するから魚屋も八百屋も大田市場に行くようになるでしょう。半年もそんなことされれば卸売業者は飛びますよ。
だから自分は強引に移転は賛成しません。そのあとの被害の責任を誰も取れない。移転するのが目的じゃないでしょう。移転した後に東京の食の流通がより効果的になるのが目的でしょう。

良い例を挙げましょう。3.11のあと食品の放射線量の基準を民進党政権が厳しくしたのは周知の通り。ちなみに安倍さんが首相になったのは平成24年の12月なので↓は野田さんの時に決まりました。厚生労働省の説明です。

ところが世界基準ではこの数値って奴は

とんでもなく厳しい規制値なのです(ここね)。でもいまさら元には戻せない。この数値をクリアしちゃってるから戻す必要もないわけだが、元に戻そうものなら「都合が悪くなると規制値を変えるのかガー」と言われるからだ。いまさら豊洲の地下水を排水のレベルなら平気だから基準変えろとか言うだけムダ。

そして肝心なのは、これだけ規制されているのにいまだ世界各国では日本からの農水産物の輸入規制をしている国があるってこと。大衆がじゃなくて、政府がそうしてるんだよ。農林水産省は「規制をしなくなったか緩和した国はココ」ってアピールしてますが、逆に言えばまだ規制してる国もたくさんあるって事でしょう。これは28年4月の資料です。震災直後も規制されて24年にも世界最高レベルの規制がされて日本では放射線で汚染されたものは市場に出回らないようになってるんだよ。

中国とか白い部分はまだ規制しているし、黄色い国だって緩和はしてるけど規制もしてる。国単位でさえそうなんだから、大衆や消費者はいうまでもない。上で「築地のほうが危険とか言っても関係ない」って書いたけど、中国やチェルノブイリのウクライナやロシアの食品のほうが危険だろといっても関係ないのがいい証拠です。中国なんて福島、栃木、群馬、茨城、千葉、宮城、新潟、長野、埼玉、東京(10都県)の食品をすべて輸入禁止にしてるけど、どう考えてもお前んとこのほうが危険だろう。

悪いイメージの場合、それが徹底されてしまうと払拭が難しい。マクドナルドはこの間、「うちのハンバーガーとかナゲットやポテトはこうやって作ってます」というのをゴールデンタイムのバラエティで延々とやっていた。お笑いのタレントが揃って「マクドナルド食いてえ」とか叫ぶわけだが、いままで散々言われてきた「マクドナルドは猫の肉だ」とか「クズ肉集めてつなぎで誤魔化してる」とかいうことの反証なわけです。どう考えても猫やネズミの肉を集める方が牛肉使うよりコスト高なのだが、消費者はそんなことは考えない。だからお笑いタレント使ってイメージを変えようとしてるわけですな。

では豊洲は安心のイメージを伝えるにはどうするかということですが、かくなる上は、盛り土し直すとか、コンクリート流し込むとかするしかないが、相当なコストがかかって無理なら、

小池さんと由美かおるが地下水で湧かした風呂に入って対談

がベスト!
かつて菅さんが0157の安全宣言でカイワレをむさぼり食ったのと同じです。「小池さんがお風呂に入れるなら平気ねぇ」になるわけだが、ベンゼンの数値があれくらいあるとめちゃ石油臭いそうで、取材陣にたいして別効果かも。w

または東京都の職員住宅を豊洲の市場の敷地内に移転とかね。
しかしこの場合も、都心に近くて便利になるのにかなりの割合で職員家庭は職員住宅から出ていくと思う。職員の奥様方から、「豊洲に越すなんて子供に何かあったらどうするの!!地下に毒の地下水が流れている公園で遊ばせることもできないわ!!」 と反対されるからで、それが大衆心理ってやつ。‬説得したくても聞き耳持たないから。そこで

大衆は理屈ではなくイメージで動く!

ということについて語りたいと思います。東京はおいといて、自分の仕事への活用方法です。
ここまでのおさらいですが

いったん悪いイメージがつくと挽回するのは大変
悪いイメージはいくら理詰めで説得しても挽回するの大変

とということです。DeNAも民進党もジャニーズ事務所もワタミも、いったん悪いイメージがつくとそれで相当に苦しむことになります。

大衆は細かい数値よりストーリーを好む

「俺はカメラやスマホ買うときには細かい数値とか見る」という人もいますが、そのジャンルはオタクとかマニアですので「大衆」には入っていません。この話は消費の大半を占める大衆についてですのでそんな突っ込みは不要です。

iPhone7 Plusは電池が持つというイメージはあってもバッテリー容量なんて誰も知らない
ヒートテックは暖かいというイメージはあっても保温性能の数値化とか誰も見ない

でしょ。
たとえば上手なのがコレ。バルミューダのトースター

前にも書いたけど、22900円もするトースター。チーズトーストがめちゃ美味しく焼けるという。どこにも「数値的にどうのこうの」は書いていない。

2014年の5月の事。私たちは、社に程近い小金井公園でバーベキュー大会を開きました。その日は朝からありえないくらいのどしゃ降り。中止も考えましたが、思い出になるからという理由から決行。全員でびしょ濡れになりながら肉を食べ、本当に思い出になりました。その時、研究心に富んだ開発チームは食パンを持ってきて、肉のかたわらで炭火で焼き始めたのです。そのトーストのおいしさはほぼ完璧。表面がパリッとして中に水分が十分に残っていました。この味を再現できればバルミューダトースターができる!
と次の日から再現実験を始めました。しかし、いっこうに再現できません。炭が違うのか、火の距離が違うのか、グリラーが違うのか。試行錯誤を続けていた時、誰かが言いました。「あの時、すごい雨が降ってましたよね?」そう、答えは水分だったのです。

書いてあるのはストーリーのみ!

もちろんイメージを伝えるのに数値を補助的に使うのは良い。しかし数値だけで攻めても消費者は動かない。正月の一流芸能人、二流芸能人みたいに目隠しして食べ足り飲んだりしたら、超高級ワインも安ワインも差なんてわからないし、デビ夫人だって餃子の王将の料理を「超高級」と言ってたくらいだ。つまり人が美味しいと感じるのは「ストーリーを食べてる」からなんである。コンビニのおかずもスゲー綺麗なお皿に盛って高級レストランで出てきたら「スゲー、美味い」と感じる。プレセボ効果みたいなものだ。

この「ストーリーの構築」のために数字を使うのは良い。バルミューダだって使ってます。

BALMUDA The Toasterは、三つの温度帯を完璧に制御して、最高の状態のトーストを実現します。ひとつはパンの中のやわらかさと風味がよみがえる(デンプンのα化)60℃前後の温度、もうひとつは表面がきつね色に色づき始める160℃前後の温度、そして焦げ付き(炭化)が始まる220℃前後の温度帯です


でも誰もこんなとこ読んでないと思うなあ〜

豊洲についていうと、「そもそも工場跡地」「土地はなんだか急いで無理矢理買った」「談合があるらしい」「盛り土しますから平気というけどしてなかった」「最初に決めた基準値を大きく超える汚染」という悪いストーリーががっちりでき上がってるから大衆のイメージもそうなってる。
繰り返すが、これを数値で説得しようとしても意味ないので、「いいストーリー」を構築していくしかないわけだが、こりゃもうめちゃくちゃきつい。小池さんが地下水風呂に入ったら20歳若返った位のことがあればいっぺんで「早く移転しよう」になるので、試したらどうでしょうか。冗談ですけど。

そんなわけで、大衆を相手にする市場ですので、わたしはこの際、豊洲は別の用途を考えるべき派で行こうと思います。

明日1/24発売予定のSMARTにわたしのインタビューががっつりと出てます。水道橋博士とか津田さんの対談の前なので恐れ多いのですが、BEAMSのトートバックのオマケもついてますのでぜひ。ファッション誌に出るとは思わなかった・・・あっ、ずっと昔にマガジンハウスのBRUTUSに対談で出たことあります。相手は南義孝さんだったけなぁ・・・

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