ウォンテッドリーに見る、企業の風評対策の最悪手は「隠匿」

2017年8月28日

SEOの神様の辻さんのエントリーです。

DMCA悪用はなぜ問題なのか – ウォンテッドリー社の悪評隠蔽事例

よく分からない人もいると思うので、わたしは素人さん向けに解説したいと思います。

Wantedlyという会社があります。もうすぐ東証マザーズに上場予定の会社です。
この会社について、あるサイトが批判記事を書きました。現在は検索で外されています。ウォンテッドリーがGoogleに本筋とは違う理由で外すように申請したからです。しかし、”とあるサイト”は見ることはできます。w

Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察

内容的には「会社の内装費の一部に使うために上場」「社長以外には全く利益がない上場」という2点に絞られていまして、正直言うとどうでもいいと思うのです。この会社の内装費の為に株買うも良し。w 社長ばかりが儲かる会社に就職するもしないもその人の勝手です。しかし問題なのはここ

社長の仲さんは美人でスタートアップ界隈にファンも多いそうです。大きな耳で佐藤藍子を思い出したアラフォー世代も多いハズ。ちなみに佐藤藍子は今年40歳。※画像の著作権侵害とのことでご指摘いただいたので画像削除しました

ご尊顔を拝見したい方はこのあたりで見られます。

で、この記事に怒ったウォンテッドリー(というか社員は同調するかもしれないし、怒る理由はないので社長?)はどうしたかというと、Googleに申し立てしました。辻さんが言ってる「DMCAに基づく削除申請」という奴です。「社長の顔写真が無断で使用されているから検索から削除して欲しい」という内容です。そのあと、上の記事では顔写真が削除されていますが検索からは外されたままです。

ウォンテッドリーは「社長の顔写真が使われていたのでDMCA申請した」と言っているようですが、ガセネタでネトウヨ御用達のネットギークにも社長の顔写真が転載されたり、個人ブログにも多数転載されているのが画像検索で確認できますので、そっちもすべてやってるならともかくも、これだけというなら理論崩壊してますな。要するに「読んで欲しくない記事」だったのでDMCAを使って検索から外させたのは明確です。

この手法はタイ全裸事件で有名なDYMが悪用したことで有名になりました。体育会系営業会社がやるなら血統という点でまだしも理解できたのですが、あれも相当に炎上したのにウォンテッドリーがこんな悪手を選択するとは、ワンマン社長だという印象を持たれてもしかたないです。それでもやったのはよほど後ろめたいのか。

この件について「Googleしっかりしろ」というのは分かってない証拠。ネットには著作権侵害のものが多数あり、著作権者の出版社や映画の会社は物凄い数のDMCA申請をしているのです。そもそもネットの破壊者を抑制するためのもので、凄い数を削除していかないといけないから1件に対しての審査時間は短い。ここが問題なのよ。はやく審査をAI化すればいいのに。

どんどん離れる意識高い系ユーザー

辻さんが書いていたのでTwitterで検索してみました。

確かにかなりの人が「退会した」とツイートしている。このブログ読んでさらに退会者は増えると思うから大変だろう。(注 こうしたいい方を「ワニの空涙」というとドリトル先生で知りました。ナイル川のワニが子供を捕まえて食べながら、可哀想だと泣いたという・・・)。
そもそもFacebookログインが基本のサービスだから、フロムエーみたいな飲食店のバイト募集するメディアとは違う。ある程度ネットのリテラシーが高い人を対象にしているわけだから影響力もでかい。

こういう不正な使い方をするんだから「インターネットの利便性の破壊者」と同等であり、スパマーや不正な手段で検索上位を得ようとするのと同等の会社であるとみんなが認知したわけですよ。

違法なメールをばらまくスパマー
ソーシャルのフォロワー買いまって凄いぞ自慢のバカ
パクリやりまくって検索上位を占めたクソ

と、同列のフラッグが立ってしまったわけでございます。これはネット系の職種の登録者は減るだろうし採用も苦労するようになるでしょ。もっともストックオプションも社長以外にほとんどないという時点でまともな人は応募しないのではないか。自分ならいかないわ。ホリエモンは太っ腹にストックオプションをばらまいてたよ。関係ない話なのでここはスルーで。

今回が最大の悪手だったのは

隠すつもりが逆に大注目浴びる

ということを予想できなかったことです。ひと言で言うと超頭悪いやり方で、政治家がよくやるわけですがネット系の会社がこれをやったら「ここ、大丈夫か」と思われます。隠すつもりが大炎上で認知が格段に高まってます。

ちなみにいまシークレットモードで「ウォンテッドリー」を検索しますと

となりまして、もう検索結果は「この会社はダメ会社」で集中。東洋経済が本体の上に来てて笑える。登録しようとして検索してコレ見てみんなUターン特集です。

ウォンテッドリーはどういう対応をすべきだったのか

最初に着火したサイトが嘘を書いていたり、名誉毀損に当たるような内容であれば「告訴」が一番ちゃんとした合法的な手段です。しかし今回はそれでいくにも事実しか書かれてないのでやりようがなかった。で、検索から外したらいいじゃんと短絡的に考えたわけですが・・・

本当にこのブログに対抗したいのであれば、きちんとした釈明をするべきであった。たとえば

1 現金は潤沢にあるため、上場の意図はみなさんに弊社の株を所有してもらい応援してもらうつもりだった。
2 社長に株式を集中させているのは将来の公開買い付けに対する防御であり、社員にはほかの面で還元している。

みたいな、フツーの人が読んだら「なんだかよく分からないけど納得」で解決するようなこと。検索結果に自社のサイトのすぐ下に自社について批判的のが出るのは嫌なのはわかるが、対抗するなら正々堂々とやればよかったし、ちゃんとやっていればそのうち誉め称える記事が上に来るかもしれない。とにかく

ネットで飯食ってるならネットで不正はいかん!!

という事に尽きる。
いまからであれば、「DMCAを本来の使い方と違う目的で申請してしまったので謝罪して取り消す」くらいを社長自ら発表して、自分の報酬半年分を返上してさらにネットの正常な利用に貢献する財団を創立して寄付する、とか、わけわかんないけどなんか反省はしたんだな的な印象を創出していくしかない。加えて企業コンプライアンス確立のために辻さん招いて社外監査役になっていただきましょう。w

このままだとマザーズの上場取り消しの可能性もあるんじゃね?
問題は社長が「DMCAやれ」と言ったときに社内にそれを止める人材がいなかった点ですよ。

さてKindleの本日のセールはこれ。605円が199円なんだけど、第一回酒飲み書店員大賞作で面白い。青春の門の20年後でもこんな感じだったんだ・・・

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