【追記】このエントリー公開後に該当ツイートは削除され、謝罪もきましたのでこの件はこれで終わりました。
他のターゲットを待つことにします。本書きたい。w
先週のことですが・・・・
「電車で飛び込み自殺があった。本当に迷惑」というツイートを見かけた。そこで
自殺する人は鬱や統合失調の疾患にかかっているケースがほとんど。病気なんだからしょうがないよ https://t.co/MqrYfHaBts
— Isseki Nagae/永江一石 (@Isseki3) 2017年12月21日
というツイートをした。
実はこれ、昔読んだ精神科医で作家の北杜夫氏の著作で読んだことで、北氏ご自身が双極性障害(昔で言う躁鬱病)だったため、エッセイではしばしば詳しく書かれていた。どの著作かまでは覚えていないが「そもそも自殺というのは生物としてはおかしい行動である。自殺する直前にはほとんどのケースでは精神的な障害を負っているはず」というような内容であったと記憶している。そこで「自殺は迷惑といっても病気なんだから仕方ないよ」という風にレスしたわけです。そういえば先日の猟奇事件でも殺された自殺志願者は深刻な鬱でしたよね。
ところがこれに対して噛みついてくる人がいました。
わたしがデマ屋ですと??
こういう仕事を実名でしている自分にとっては「デマ屋」とソーシャルで公に言われることは、明らかに社会的なダメージです。リツイートされて拡散もされているので社会的な損失はかなりのもの。この人誰なの、と思ってタイムラインを見ると、統計が好きな鉄道マニアらしいがどうも統計の本当の見方がわかってない。そこで本日は、わたしがデマ屋なのか、それともこの人がわたしについてのデマを撒いているのか、検証したいと思う次第です。
まず当初からデータの見方が間違っている
この人の論拠は警察庁のデータです。しかしそもそも読み方がおかしい。w
動機については3つまで選べるので当然ながら100%を超える。しかもあくまで推測です。
健康問題を苦に自殺したという人が50%。しかしそのうち統合失調症と鬱に悩んでが約半数だから、それを掛けて25%が統合失調症と鬱としてる。
なんという雑な根拠 ww
こんなクロス集計、仕事の場でしたら信用無くす。
統合失調症の多くは自覚症状がない。悩んでいる時点で自覚症状があるわけだ。また、鬱患者や統合失調症には発作的な強い自殺衝動があり、別に「病気に悩んで」自殺するわけじゃない。
さらには薬物濫用やアルコール依存症だって鬱を併発する。そもそも「悩んで」という時点で鬱の可能性大じゃん。「家庭問題で悩んで自殺した人」が鬱になってたかもしれないし、「勤務問題」なんてまさにそう。警察は医者ではないから家族に「動機はなんですかねぇ」と確認しても「会社がパワハラで」とは答えるが「会社でパワハラ受けて鬱になったのではないか」という診断はしません。
デマ屋といわれたのでは仕方ない。一応、精神科医の著作物からの引用だったわけだが、こちらもデータを調べることにした。
鬱と統合失調症のデータはこうでした
厚生労働省では鬱と統合失調症についてこのように書いている。
こちらは日経新聞の報道
地域別ではインド、中国を抱えるアジア・太平洋地域で全体の約48%を占め、日本は約506万人。厚生労働省によると、うつ病など気分障害で医療機関を受診している人は約112万人(14年)だが、WHOの統計は専門家による推計値のため、医師にうつ病と診断された人以外も含んでいる。
WHOによると「日本には506万人の鬱患者がいるはずだが、医師にかかってる人はたったの22%!!!
この時点で上記の方が言ってる「鬱や統合失調症で自殺する人は25%」という論拠がグラグラしてきた。病院で鬱と診断された人の4〜5倍は鬱患者がいるわけです。統合失調症になると、こちらは人種に関係なく100人にひとり、一定割合でかかる脳の病気だ。
厚生労働省による調査では、ある1日に統合失調症あるいはそれに近い診断名で日本の医療機関を受診している患者数が25.3万人で(入院18.7万人、外来6.6万人)、そこから推計した受診中の患者数は79.5万人とされています(2008年患者調査)。
ということは、120万人の潜在的な統合失調症患者のうち、2/3が通院。1/3が通院していない潜在的な患者ということになる。しかしここまでも
数値が分からないものを「ほとんど」と断じることも、いずれかの数値で断じることも、同様にガセやデタラメですよ。 https://t.co/LABUfeAvCD
— うえぽん (@kaorurmpom) 2017年12月21日
数値がわからないのに他人をガセ屋というのはガセやデタラメでしょ w
ということで正確な調査データを東大の医療統計の専門家、五十嵐准教授に探して頂きました。m(_ _)m
いつも面倒くさいこと聞いてすみません。
自殺未遂者のデータではこうなっていた
自殺者の統計で一番問題なのは、亡くなった人に調査をかけるわけにはいかないことだ。当たり前だ。
そこでまずは、自殺未遂した人を医療統計で調査したデータです。が、鬱や統合失調症の場合、ためらわずに逝ってしまうので未遂の確率は下がるはず。未遂する時点でどうなのかということであるが・・・・
こちらは新潟市の統計ですが、25ページにデータがあります。
自殺未遂例の69.7%に受診歴あり・61.2%が受療中です。(精神病薬使用者を「疑い例」として分類しています)
なんと、自殺未遂例の7割に受診歴あり・・・・。受診してない患者は鬱だと受診患者の4〜5倍いるとさっき書いた。
厚労省資料20ページでも、自殺企図者のデータをもとに、「既遂者の90%が広義の精神障害ありと推測される」と表現してますな。
この元になった飛鳥論文も入手していただきました。読み込んでみますと
自殺未遂例のほとんどに精神病状態
とあり、94年と少し古い論文ですが、北杜夫氏はこれを読んでいたのではないでしょうか。論文が少し古めなので、来る裁判w にむけて新しいのも探しています。
ということで、顧問弁護士のと相談の上、うえぽん氏にはわたしの名誉を毀損するツイート削除の上、名誉毀損について正式な謝罪を求めるものであります。謝罪文をTwitterに掲載すること。
これがなされない場合、正式な手続きで、個人情報開示実名公開と被害届、損害賠償の請求に移りたいと思います。というか、1回やってみたかったので・・・w これで本書くわ。みなさまにおきましては、ソーシャル上でいわれなく他人の名誉毀損をするととんだしっぺ返しを喰らうということも念頭におくようにしてください。
高速道路でのゴロツキ夫婦殺傷事件でデマを撒いた人たちは逮捕されて社会的制裁を受け、損害賠償を請求されることになると思います。言いっぱなしでは済まない時代になってます。
なお、精神疾患については近年、医療の発達が非常に進み、鬱の場合は適切な治療で1年以内に復帰できるのが80%というのも読みました。恥ずかしいことでもなんでもなく、誰もがかかる可能性のある脳の病気に過ぎません。幸い、Google神の英断で厚生労働省の正しいサイトが上位を占めるようになりました。まずは早めの受診と治療と家族の協力が大事です。
わたくしこれからAmazonの歳末新春の食品セールを漁ります。