AIとロボットが働くから高齢者は豊かになるってなんの幻想よ

2018年1月22日

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昨日、お腹が痛くて1日ゴロゴロしてましたけど、テレビ見ていたらたけしの番組で某エコノミスト2人が

これからAIとロボット導入で高齢者は豊かになる

という意味の分からない論説を張ってまして、さすがにスタジオのゲストからも疑問の声が上がってました。ポジショントークスゲエと思って見てました。

趣旨は
1 これからAIとロボットがどんどん産業に導入されて人間の代わりに働く
2 そうすると企業は人件費がかからずに儲かる
3 企業が潤うから景気が良くなり高齢者の生活も豊かに
4 だから高齢者は安心していまのうちにどんどん金を使え

というものでしたが、さすがにゲストからは

企業が儲かるとどうして高齢者の生活が楽に?

という質問が出て、自分は「企業の納税額が多くなって国庫が潤うから」という回答かなと思っていたら、なんと

企業の株価が上がるから

という回答だったので腰が抜けた。年金暮らしの高齢者がリスクの高い株投資をして儲けるから豊かになるらしい。この人たち、何考えてんの。自分がゲストだったらつっこむ所だがタケシもゲストも不満げながら次のコーナーに進んでしまったのでこの際ブログで突っ込む。

AIとロボットはどんどん産業に導入されるか

これを全ての産業と考えるのがそもそもおかしい。
AIもロボットも初期投資がかかる。つまり減価償却が半端ない。自動車などの大手の製造業ではとっくの昔に産業用ロボットは導入している。高額な機器類でも減価償却できる医療現場でも導入されるのは当たり前だが、日本の主体はすでに製造業ではなくて卸や小売りを含めた販売・サービス業がメインになっている。内閣府の資料です。

これは就業者のグラフ。製造業なんてもう17%しかいない。サービスと卸し、小売りで6割近い。

GDPのシェアだとこうなる。

ふたつのグラフを見比べればわかるが、販売サービスは利益率が低いのである。もっとも給料が安いクラスタが販売サービスなのが理解できるでしょう。逆に就業人口比では3.1%しかいない金融・保険がGDPシェアでは5.2%もあり、いかに儲かるか、そして給料が高い業界なのかざっくり分かる。ITも同等。極端なのが不動産で、人口では1.8%しかいないのにGDPでは13.6%にもなる。不動産業は儲かるのです。利益率は少ないけどね。

だから不動産業、金融・保険などはAIの導入が真っ先に行われる。大手証券会社とかすでにやってるでしょ。ITも同様じゃん。だが不動産業や金融がAI導入して大儲けしたからって年金暮らしの老人になんか関係ある? もちろん税金をばしばし納めてくれるならいいが、だいたいはグローバル化して海外の税率が低いところに本体を移してるじゃんか。

しかし、だ。この日本の産業で6割近くを占める販売サービスにAIとロボットがどんどん導入されるかというと、答えはノー。というより物凄く浸透して初期投資が馬鹿安にならないと初期投資に耐えられない。販売サービス、たとえばお店やマッサージ屋さん、ネイルアーチストみたいなのは初期投資が少ないから誰でもできるのです。工場は逆に多額の初期投資が必要だから誰にもできるものではない。

ローソンが自動で決済ができる店舗をテスト的にスタートするが、直営だからできるわけ。利益率の低い、家族でやっててやっと給料月25万みたいなフランチャイズのコンビニがどこでもロボット導入なんてできるわけがないのです。労働力が確保できないから減価償却に11年(産業ロボットの減価償却年数)かかってもロボット化しないとといってるわけで、導入したらバカスカ利益が出るとかなにいってんのと思う。必死に11年も掛けて減価償却するんですよ。ロボット入れたからといって売上は上がらない。人件費が多少少なくなるくらいです。

超適当な計算だと、月あたりバイトに30万払ってるコンビニならロボットを導入しても管理・操作する人間(外注?)は必要でそれのコストに10万かかるとすると月に20万しか浮かない。しかしロボットは電気代や部品、メンテナンスで費用がかかるから、それを引いて10万円浮くとする。11年間で1200万だ。1200万でコンビニの自動化とロボット導入なんて絶対無理だろ・・・・逆に言えばそこまで価格が下がってはじめて導入可能で、しかも繰り返すけどロボットいれても売上変わらないよ。むしろ、人間がいるほうが売れるでしょう。

利益率の低い販売サービス業にAIとロボットの導入が非常に難しいのはこれで分かると思う。介護にしてもいまの介護って全く儲からないから介護士の給料が10数万といってるのに、何千万もするロボットを入れられるわけがない。高級老人ホームならまだしも、一般の介護ではロボットが軽自動車くらいの価格にならないと導入無理でしょう。

農業や漁業も同じ。海外からの研修生と称した奴隷をこき使ってる国辱ものの悪行をしているのは、ズバリ「儲からないから」です。そんなところがAIだのロボットなどを早々と導入できるわけないじゃん。

産業革命だって儲かったのは繊維工場、製鉄業、蒸気機関の鉄道などの重工業で、農業や漁業が恩恵受けたのは何十年もあとでしょ。販売サービスは「電気通った」くらいしか恩恵なかったんじゃない?

AIやロボットをいれるとバカスカ儲かるという幻想

仮にそれが期待できる事実なら、ここ30年でどの企業もPCは入れた。よほどのショボい零細企業でないかぎり、経理や事務仕事はもうパソコンでやってる。おかげで昔はどこの会社にもいた「庶務」とか「一般事務」はもう絶滅寸前です。昔、新卒でそういう仕事をしていた主に女子は、販売サービスに就職したり、営業したりしているわけです。

で、パソコンいれた企業はみんなウハウハ儲かったのか・・・・・

せーのでみんなが入れるから変わらないでしょ!!!

1社だけがすべて自動化すれば、そりゃ競争力が半端ないから儲かるでしょう。しかしAI化、ロボット化はせーのでくる。しかも世界同時にくる。導入しなかったら遅れるが、導入したらといってみんなが導入するから優位にはならない。証券会社がせーので全部にAIを導入したらみんなウハウハ儲かりますか? 全部が導入したら競争力同じだから変わらないでしょ。逆に導入のコストがのし掛かってくる。儲かる金融ならいいけど、販売サービスは初期投資の要らない安い人間を使う方がよほど儲かりますよ。

30年くらい前にDTPが普通の制作会社でも当たり前になった時、みんな一斉にMacを入れた。入れて仕事の効率は上がったがMacの投資やソフトや社員の教育が物凄く重くてそんなに儲からなかった記憶はこの業界にいた人たちはみんなあるでしょ。

それでもAiとロボット化はくる

日本の場合、ロボット化は必然です。それは「儲けるため」というより「少子高齢化のための労働人口の不足を補うため」です。それで職を失う人もたくさん出る。パソコンの普及でたくさんの営業事務や庶務が職替えをしたのと同じです。だからといってベーシックインカムいいよねといっても、そもそも導入した企業がバカ儲けすれば税金もガッポガッポで原資ができるが、どこも導入コストで四苦八苦するのでバカバカ儲かることはないでしょう。ロボット作る川崎重工業とかファナックは儲かるかもしれない。www

要するにAIとロボットで生活は楽にとか幻想に過ぎないと思うし、だから今、蓄えを浪費して景気を良くしろとか頭おかしいと思う。ただ、お金は蓄えても全く増えない。auのコマーシャルで雷様も言ってる

学んだ事は誰にも奪われない!!

お金を使うべきは子供や孫の教育費。明治維新のあとの日本が超後進国から飛躍的な発展をしたのは、明治政府の教育に対する投資のおかげ。明治維新の直後なんて世界の列強に挟まれた何の資源もない弱小国です。それが凄い勢いで成長したのは教育のおかげなんです。

文科省の説明はこちら

AIやロボットの時代を子供が生き抜くためには「教育」しかないのです。いままでみたいに勉強しないでもなんとか食える時代は終わるのです。明治維新直後の波瀾万丈の日本と同じです。勝つためには教育です。蓄えた金は教育に投資すべき。と、熱弁振るったので昼ご飯食べます。

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