昔、スプートニクという会社をやっていた頃、CSKの皆さんとお付き合いすることがあった。CSKといえば昔はセガ、ベルシステムというコールセンター最大手も参加に収めていたシステム系大企業だが、創業者の大川功氏が亡くなられたあとは衰退の一途となり、グループもバラバラになって住商情報システムに吸収合併された。
この大川氏は、日本の歴史に残る実業家で、ベンチャーの父とも呼ばれ、有望なベンチャーがあると私財をなげうって援助した。家庭用ゲーム機からの撤退を決めたセガに個人資産約850億円を寄付したことは有名だ。
健在の時は社内では尊敬を集めていたわけだが、まだCSKが小さな派遣会社だったときに、大川氏の奥様が自らおにぎりをたくさん握って現場に届けて社員で食べたという逸話とかを当時の役員の方からたくさん聞いた。まさにカリスマだったわけだ。その中で一番心に残っている大川氏の言葉があって、自分もそれを仕事のモットーにしている。
最強のビジネスモデルは、チャリンチャリン
深い・・深すぎる・・
自分はこんな感じで理解している。
仕事というものは、最初にどっと稼ぐタイプでは無く、毎月細く長くちゃりんちゃりんと定期的なお金がいただけるものがベストなのである。一時にいくら儲けても、結局は浮き沈みがあると苦しくなる。だからコールセンターのベルシステムはCSKグループの中核企業になった。
儲けている(もしくは儲けていた)企業を考えてみたら分かる。悪の権化みたいに言われてはいるが、コンプガチャの携帯ゲーム、東京電力、サラ金、みんなチャリンチャリンのビジネスモデルである。この方達は、ちょっとばかし稼ぎすぎだった企業だが、これに対して不動産屋とか、土建業とか、はたまたWEBの制作だけ請け負うSOHOなどは、儲かってるときはいいが、仕事が無くなると一気に冷える。急速冷凍並みに冷えまくりだ。チャリンチャリンとは正反対の業種と言えるだろう。
しかしチャリンチャリンは手がかかる。なので人は一発稼ぐほうに走りがちなのであるが、真に強いのはチャリンチャリンなのだ。
「うちの業種は違うからな・・」と思うかもしれない。でもやり方によってはチャリンチャリン化することは誰にでもできる。通販なら定期購入。出版業界瀕死の時に、デアゴスティーニは模型付き雑誌で(戦艦赤城なんて200号買わないと完成しないし!)好調らしい。今時テレビCMがんがん見る雑誌社はデアゴスティーニだけだよ・・。(株式公開してないので噂しか分かりません)参考
たとえば自分の例を挙げると「サイト制作だけしてください」という依頼は受けてない。「とりあえずサイト作ってください」という場合はサイト制作する人を紹介するだけ。
自分が受ける場合は、必ず「運用コンサル」をセットにする。サイト制作は自分がコントロールして、信頼できるディレクターやデザイナー、プログラマに投げるけれど、ここでは利益は見ない。つまり初期費用というか初期の売り上げは無い。
自分は顧客と一緒になって実績を上げて利益が出させ、シェアしていただくチャリンチャリンの契約しか結ばないのである。一社ずつの売り上げは小さくても、まとまれば安定した売り上げになる。旧CSKの売り上げから見たら砂粒みたいなものだが、それでも大川イズムの継承者を心の中で自称している。
そんなわけで、田舎のセミナーみたいな内容になりましたが、ご静聴ありがとうございました。(と、言ってみる)
明日は旧リクルートの同窓会なんだが、短パンで乗り込んでみようと決意している私であった。ドレスコードは無いので裸で無ければいいそうです。