比率と絶対数の両方言わないで結論出すケースは、とりあえず疑ったほうが吉

2018年3月26日

Twitter見てましたら・・・・

というのが流れて来て、元ネタを見てみました。

時代の風「森友学園」国会審議 土俵の外から俯瞰せよ=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員

自分、最初に言っておきますが特に安倍政権は支持してません。安倍さんについてはトンデモの奥さんを抑えられずしてなにが国を仕切るだ、です。ただ後ろから撃ってる石破さんもどうかと思うし、野党が政権取ってもめちゃくちゃなのでとりあえずスペアがないだけ。自分的には河野さん推しです。w

しかしこの本文

「アベノミクスによる景気回復で、5年間に就業者数は250万人増えた」「いや増えたのは主に非正規雇用だ」という応酬も、年齢を見ていない点でピントがボケている。総務省の労働力調査で、野田内閣当時の2012年と17年の平均を比較すると、増えた250万人(正規・非正規合計)の、6分の5に当たる211万人は65歳以上だ。残り40万人が64歳以下の就業者の増加だが、性別では女性が109万人増で、男性は70万人減となっている(四捨五入の関係で端数が一致しない)。景気回復で雇用増というのであれば、64歳以下の男性の雇用も増えているのが筋ではないだろうか。また「若者の雇用増」というイメージに反して、39歳以下の就業者も116万人減っている。

を上のツイートでは「詐欺じゃん」と理解し、リツイートしてる奴らはみんな本文読まずにいいねとか押してる阿呆です。
ちゃんと続けて本文には書いてある。そこまで読んでいない点で激馬鹿。

これらは別に政権が悪いのではない。日本では64歳以下の人口、特に39歳以下の人口が減っているので、上記のような流れは景気に無関係に止めようがないのである。

ちゃんと人口減によるものだとしっかり書いてあるではないか。しかしその部分を読んでも「詐欺だー」とかいうこういうアカウントは、絶対的な数字しか理解できない能力しか持ち合わせていないのです。これにイイネしてる数千人も同じだよ。

この本文もそこまで書いていないから馬鹿は理解しづらい。代わりにわたしが説明します。2012年から2017年の日本の労働力人口の推移を見てみる。上の記事はこれを元にしている。失業率は2010年あたりから劇的に改善している。つまりまだ民進党政権の頃だ。ただし就業者数は安倍政権になってからの増加だが2011は震災だったから失業者増えたはず。

野田政権の最後が2012年であったが、下の表の通りで就業者総数は2013年から増えているでしょ。が、その内訳は


コレを見ますと、2012年から2017年までの前年度比から

毎日の報道のとおり、労働者総数は250万人増えたが、25〜34歳の就業者人口が87万人も減り、65歳以上が211万人も増えているのだ。これが詐欺なのか。ここで思考停止しないで就業率の比率を見たら分かる。

15〜64歳の就業率は4.7ポイントも上がっているのに対し、65歳以上は3.5ポイントしか上がってない。要するに

64歳以下の労働力が足りないから
65歳以上に仕事が回っている

ということなのです。若い世代はフル稼働しても労働人口が足りなくなっている。それを65歳以上が補っている。いままで働きたくても働き口がなかった65歳以上がそのおこぼれにありついている。

なぜかというとこれは一昨年、2016年の日本の人口構造だが、野田政権当時の2012年の時の人口のピークはこれより4年前だから

38〜41歳の団塊ジュニア
62〜64歳の団塊の世代

であった。この人口がでかいのが5年後の2017年には

43〜46歳の団塊ジュニア
68〜70歳の団塊の世代

にスライド移行したわけで、2017年の35歳未満の人口なんて、2015年当時は33歳未満ってことだから、団塊ジュニアと団塊の世代と比べるとめっちゃ少ない。絶対数が少ないんだからいくら就業率が上がったとこで就業者数は減って当たり前だろ。阿呆かということになります。これを詐欺だというなら世代別人口の絶対数無視して「若い世代の就業者数が減ってるからアベノミクスは失敗だ」というほうが100%詐欺!!

もっともアベノミクスのおかげで就業率が上がったのか、はたまた関係なく上がったのかは別の問題になんで横に置いておく。

こちらは比率だけで絶対数を言わないケース

就職氷河期にキャリアを奪われた「ロスジェネ」の悲劇
NewsWeek

大卒の就職率がめちゃ良くなって「現実に近い形に補正した就職率で見ても、現在はバブル期に匹敵する高さであることが分かる」という趣旨なのだが、確かに就職率は上がっている。が、このケースだと大学卒業者の絶対数に触れていない。

バブル期とは1986年(昭和61年)12月から1991年くらいまでのことだが、そのあと、就職氷河期は2000年にやってきた。
1991年と2000年と2018年の大学卒業者数は大学院進学を除くと

バブル(1991) 39万9397人・・・この年に21歳だった人は1970年生まれ。出生数1,934,239人。ただし進学率が低いので大卒者の数はいまよりずっと少ないのです。そりゃ就職先よりどりみどりにもなります。

氷河期(2000) 48万3198人・・・進学率が上がってるのと2000年当時21歳は団塊ジュニアの少し後。いまよりずっと同年代の人口が多いし大卒者の数も多い。この年に21歳だった人は1979年生まれ。出生数1,642,580人

昨年度(2017) 42万3228人

であって、2017年春の大卒者は進学率が上がったためバブル期の大卒者よりも多いが、氷河期より13%くらいも少ない。この年に21歳だったのは1996年生まれで1,206,555人でそもそも就職氷河期の同年代人口の3割減です。本当に若い世代の人口が減ってるんだから就職はよほどDQNじゃない限り、バブル期並みのよりどりみどりで当たり前だ。

そもそも日本の国民総生産はこんな感じで


2000年から微増程度です。となると、

就職率が上がったのは単に新卒者人口が減ったから?

いう見方もできます。企業が調子良いというのも金銭的に余裕がある団塊の世代の就業率が上がって収入が増え、消費が拡大したとか、人口比の多くを占める団塊ジュニアが43〜46歳になって企業の中核になって収入が増えて同様に消費が拡大したから、という見方もできなくない。いったい・・

アベノミクスは成功したのかわからない w

ということにもなるわけです。とりあえず就職率と景気って人口を考えないと就職率が上がったから景気よくなったともあながち言えない。間違いなく言えるのは今後、 お金のある団塊の世代は後期高齢者となって働けなくなって医療費と福祉ががんがん嵩み、逆に国内消費はどんどん冷え込むだろうということのみ。

このあとはマクロ経済学の専門家にお任せするとして、いろんな情報は一方面だけではなく、「絶対数と比率」の両方見ないとダメだよってことです。こういうのも同じネタです。

算数できない人はマーケット記事書いちゃダメ。若者はLINE離れしているのか → してねーよ

さて、Welqを一緒に潰した朽木さんの本がいよいよでました。わたしが電子書籍も同時にとうるさくいったので同時に出てます。買ったので今度、書評を書きたいと思います。

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