わたし、いつもいつも「なにかを主張するときはエビデンスを確認しなさい」と言っております。どこかの誰かが言ったことをそのまんま鵜呑みにして全く比較もせずに主張するほど恥ずかしいことはない。良い例が放射脳や反ワクチンのかたで、反対意見は絶対に聞き入れない。エビデンスをきっちり揃えられて反論できなくなると「それは陰謀だ」「それは情報が改竄されている」という逃げにはいり、最後は「そう思うなら汚染水を飲め」とか訳の分からない話になって、「じゃああんたもトイレの水を流しているんだから飲めるのか」になり、会話が成立しなくなるのである。
きちんとした会話、ディベートは互いにエビデンスを持ちより、ファクトチェックを互いにしながら行わないといけない。これができていないのが日韓の対話なのであるが、私がよくTwitterなどで「日本は格差がどんどん開いている」という会話についてファクトチェックをしている論文を解説したいと思う。
日本は格差が開いているか
たとえば「日本は格差社会なのか」と言われることについては
主に社会における所得分配の不平等さを測る指標「ジニ係数」というものがあるのですが、日本は平均くらい。香港やシンガポール、中国やロシアのほうがなんぼか大きい。逆に格差が小さいのは税率が非常に高い北欧です。消費税が20%以上かかる国ほど格差が小さい。
内閣府のデータです。で、こちらも内閣府のデータで
日本の相対的貧困率は高い
とされています。
で、日本のジニ係数がどうなっているかを見れば格差が開いているかどうかわかるのですが・・・・まずは政府資料
はい。格差は広がっています
ここまでしか見ない人は
安倍のセイダー
消費税のセイダー
派遣業が儲けてるカラダー
とか急に言い始めます。その前まではエビデンスだったのにここから急にエビデンスがなくなる。要するに安倍政権を攻撃するいい材料が見つかったワーイでそのあとの検証をしないのです。派遣業が儲けてるからダーについてはエビデンス付きでガセであると完全否定しました。正社員にすると会社負担の社会保険料が重すぎてパートは増えているが派遣は増えていないし全労働者のたった2.5%しかいません。
まず、相対的貧困率とはなにかを理解する
本当に生きるか死ぬかは「絶対的貧困率」ですが、他人と比べてどうよというのが相対的貧困率ですよね。相対的貧困率は可処分所得が中央値の半分未満の人の割合です。可処分所得とは、給与やボーナスなどの個人所得から、税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入、つまり自分の意思で使える部分を指します。資産が関係なく、収入が一気に少なくなればそのまま相対的貧困率ということになります。
だいたいの人はここまでで「あっ、察し・・」だとは思いますが
年金暮らしになると一気にこの層が増えます
特に国民年金だけだった自営業や農業、漁業は引退すると相対的貧困になります。ご主人と死別するともう相対的貧困確定です。女性の方が男性より長生きしますからね。しかしこの相対的貧困層は資産は関係ありません。たとえばいま、ZOZOの前澤さんだってひょっとしたらこの層かもしれないですよ。ww
面白いのはこれで
高齢者の貧困の格差は開いている。が、考えたら当たり前で、最近は高齢者でも会社経営から退かない人も多いから、年金のみでの暮らしの人と、仕事をしている高齢者が両方いることになれば格差は広がるわけです。逆に再分配所得格差は縮まって税制がうまくいってる事を示しています(だよね?)
「年収格差が広がっている」という主張はこれで却下です。
全然広がってなくて横ばいです・・・・・
つまり、
日本の格差が広がってるのは高齢化のせい
と、ほぼ断定できることになります。引退して年金しか収入がない人が爆増しているから、見かけ上の貧困層(資産は若者とは比較にならないほど所有している)の人が増え、格差が開いているように見えるわけですね。
こんなに年金受給者が増えてるわけですよ。
これでも「格差は開いてるから政府は何とかしろ」だと、資産はあるけど年金暮らしの高齢者を優遇しろになり、ますます現役世代の負担が大きくなります。一面だけ見ないで背後もよく見ると言うことが大事なのが分かりますよね。
しかし、高齢化だけが原因かというとそうでもない。
所得格差の拡大は高齢化が原因か
大和総研の論文
もちろん格差が開いている最大の要因は高齢化であることは間違いが無いのだが、若年層もかなり広がっている。たとえば
はじめて職に就くのに女性の半数近くが非正規雇用なのだ。男性も3割近い。正社員で就職せずに、アルバイトやパートでという若年層がどんどん増えている。文大統領が最低賃金を大幅に引き上げたせいで中小企業がぶっ飛んで失業者が爆増し、コンビニ店員でも一流大学出た子でやっとという韓国よりはマシだが、日本の場合は正社員の解雇規制が非常に厳しく、仕事ができなくても解雇できない。仕事をしない社員を回りが食わせる社会主義国家みたいになっている。
また社会保険料の負担が重くなり給料の15%くらいを会社が負担しなくてはいけなくなり、正社員で雇うリスクが相当に高くなった。雇われる方も正社員になると逆に手取りが大きく減ってしまうから(将来のことは考えずに)バイトでいいという人も多くなった。労働者の不当解雇を防ぐためのものが労働者全体の賃金を抑えることになり、さらには高齢者ばかりに向いた政策のため、若者にしわ寄せがきていると思うんですが、みなさんはいかがお考えですか。
でもって今月のセールで200円だったので迷わず買いました。コレ!!