昨日のエントリー
言っちゃうよ。無料化されるYahoo!ショッピングはこう使え
に、いま話題の楽天で優勝セールした時に抹茶シュークリームの価格を12000円にスーパー値上げして77%オフを「偽装」したショップの話を書いた。元になったのはこの楽天の記者会見で
記者会見を見ると元値を上げて77%オフを偽装したうち、3社は実は楽天に事前審査を上げていて、楽天側のチェックミスということでおとがめ無しになったと言っておりました。抹茶シュークリームの販売店は取材の音声がかぶり「偽装なんてとんでもない。掲載ミスをしただけ」と言ってまして、この報道見る限り「ああ、計算に疎い店舗がミスをしてそれを楽天がスルーしたんだな」と思い込んでおりました。楽天側もこのシュークリームの扱いが初めてだったので確認できなかったといっておりました。
んで、当初↑のエントリーには「楽天のミスで大きな信用失墜を招いた」と書いたのですが、Twitterで「いやそうじゃないっぽい」という声をかなりいただいたので、15分ほど独自追跡調査をしてみました。鬼女じゃないけどな。Twitterでアドバイスくれた皆さんありがとう。1人じゃ無理っす。
まず不思議なのは、いまだ楽天ではサイトがメンテナンス中になっていること。更新は「11-05 09:29:38-」楽天の記者会見ではおとがめなしのはずなのに?
しかしこの電話番号で検索してみると、いろいろ奇妙なことがわかってくる。他にもたくさん出店しているのだが、たとえばgeocitiesにあるショップ。まだgeocitiesなんてあったんだ・・と思いつつ会社案内を見ると・・・
とあって、会社名は「夕張名産センター」となっている。まだこちらは「商号」なのでいいとしても、Yahooオークションは
会社名は「夕張名産センター」だ。ヤフーショッピングは休止中だがヤフオクではばんばん出品している。ここまでみてネットでは「破綻した夕張市の名産センターだ、勘弁してやれよ」という声もあった。実際自分も夕張市の朴訥な田舎の人を思い浮かべ、「計算に弱いんだな」と思ったくらいだ。しかし・・・この名称で検索すると・・・
住所が違う・・・住所: 〒068-0403 北海道夕張市本町4丁目51 NTT東日本夕張ビル内になってる。
で、摩訶不思議なのがコレ。シュークリームの製造元のリリースです。
社名が違う!!!
株式会社キャストグループというところがしでかしたということになっている。
検索したらわかるが、ここは「産直物のドロップシッピング」の会社でした。
ドロップシッピングというのはいわば物販のアフィリエイトだ。在庫を持たずに販売し、送付とお金の回収は販売元が行う。一見楽ちんなビジネスにも見えるが、売り手は商品に愛着があるわけでもなく、見ているわけでもないし、食ったことも無いのに「美味しい」とか書くわけ。責任の所在も曖昧で、いろいろなトラブルも起きている。メーカーや生産者だって売り主が自分ではないわけで何でもできる。要は売り主の責任が非常に曖昧になるわけです。腐った物や不良品が送られてクレームを言っても返品に応じないケースも多いはず。ヤフオクで悪評価が多数あるのはドロップシップシッピングの商材を扱っているケースに多い。だってなにが送られたか販売者にはわからないし責任を負う気も無いから。(卸の場合、小売りは卸して貰って自分の責任で販売するがドロップシップは商品を見ることもないという点ではステマのアフィリエイトと同じと言うこと。リスクが無い分利益も薄くて20%以下が普通らしい)
2009年に入り「在庫を持たずに簡単に儲かる」などとの触れ込みで一般人をユーザに勧誘し、ネットショップを開店させて、初期費用等の名目でユーザから金銭(1ユーザにつき数十~数百万円程度)を徴収する業者が複数現れている。中には初期費用を払ってサイトを開設したにも関わらず商品の注文があっても「在庫がない」などとして商品を発送しない業者もおり、実際にはユーザ側は当初の触れ込みどおりに儲かることが非常に少ないためいわゆる「内職商法」などと同じ悪徳商法の一つではないかとしてマスメディアでも問題点が取り上げられ始めている[1]。また国民生活センター等への相談も急増しており[2]、一部では集団訴訟に発展するケースも見られる[3]。
2012年3月には詐欺容疑で初の逮捕者が出た[4][5]。
このドロップシッピングの会社で検索してみると会社概要が出てきた
本社:〒108-0023 東京都港区芝浦3-×××・・・
北海道支社:〒068-0403 北海道夕張市本町4丁目51番NTT夕張ビル1F
はい。つながりました。まずは「特定商取引法」違反です。社名を偽っている。本当の社名を出せば在庫を持っているわけではなくてドロップシッピングだとバレるからでしょうか。夕張市がやってるわけでもなんでもなく、このドロップシッピングの会社の直営ショップだったようです。本社はしかも東京です。
で、Yahoo!オークションにも多数出品しているのだが、評価が物凄い。ヤフオクは古い悪い評価は3000ごとにリセットされて消えてしまうらしいのだが最近のだけでも
1割の客が「非常に悪い」「悪い」という評価。これはもう物凄いです。しかしこれで入札するのがいるとは信じられん。携帯からで評価とか見てないのか・・・
評価欄も凄い。国産ふぐと書いているが届いたら「中国産」と箱にある。果物は変色しまくり傷みまくりでほとんど食べられず。カニは真っ黒。ドロップシッピング用に腐りかけや未熟品を集め、送る方も自分で売ってるのでは無いから気にしないらしい。で、金を払ってもまともに着かない。あとで「在庫がない」とか平気で言う。クレームを言うと意趣返しで悪い評価を付けまくるなど凄すぎる。評価欄は炎上と言ってもいいほどだ。
なんで産直のドロップシッピングの会社が抹茶シュークリームを販売するのかと思ったが、この評価では産直品はまともに商売できないから? それにしても自社で在庫をもたずにドロップシップでやるわけだから、77%引きなんてそもそもできる訳も無い。今回この業者がわざと元の価格を偽装したのか、それともリリースにあるように単なる手違いなのかはわからない。が、なんとなく想像するのは個人の勝手です。ここまでいくと、楽天の審査ってなんなんだろうと思う。もちろんYahoo!もショッピングとオークションを無料化にあたっては、規約をもっとしっかりさせ、管理を徹底しないと同様のことがすぐ起きるはずだ。
楽天の三木谷さんはネットの薬販売にたいして全面開放すべきと主張されていて、それはまことに正しいと思う。アメリカなら処方薬だってネットで買える。しかしその前提は、販売店がまともな会社かきちんと調査されて、しっかりした売り方をしていることが必須。中国から偽薬を大量にもってきて販売するとか、薬の知識が無いど素人がドロップシッピングで販売するようなことがあってはならない。少なくとも対面販売では客は怪しい薬屋かどうかくらいわかるが、ネットではわからない。薬のネット販売に最も重要な論点は、薬剤師がいるとかいないとかではなくて、ネット販売する企業や店舗がきちんとしているかどうかの審査ではないかと思う今日この頃です。真っ黒な蟹なら腹壊す程度で済むが、薬は命に関わってしまいます。