「永江さんはなにやってんの、ブログの書き方の指導?」とよく聞かれたりするが、自分は断固として赤ペン先生ではない。ブログの書き方指導するのは100あるうちの0.5くらいなんである。それだけでお金がもらえるほど世の中甘くないのである。主にサイトの集客プランをターゲットセグメントから設計してサイトのUIを合わせ、コンテンツを提案して・・・みたいな気の遠くなる集客作業を1から具体的にやってます。大変です。
その中で昨今において大切なのがソーシャルの活用です。ブログやニュースサイトだとこの比率は非常に高いわけですが、一般的に商用として成功しているサイトであれば、ソーシャル経由の流入が全体の10〜20%かそれ以上を占める。勝手にソーシャルで盛り上がって勝手に流入してくれるケース(特に炎上とか 笑)もあるが、これは持続しない。よってサイト側がきちんとした運用をしなくてはならない。やるのとやらないのでは流入が下手したら20%も違うのである。もったいないは世界の合い言葉。
さらにはSEO的な観点からもソーシャルでの評価は大きくかかわる。よって検索からの流入にも大きく影響しているはず。いまやサイトの運用には必須であります。もっとも、ほっといても顧客が勝手に社名やブランドで検索してくれる超有名企業はやらなくてもいいので勝手に昼寝でもしてください。
ソーシャルの運用を企業や店舗で行う場合、「根本的にわかってないなぁ」と思う典型的なケースがある。特に「これからはソーシャルだ」と聞いてうちでもやったら客が行列作るで! と店主が押っ取り刀で始めたり、どこかのセミナーで社長が聞きかじってきて腰巾着の総務部長に言いつけたみたいなケースが最悪である。「ソーシャルで大儲け」みたいな馬鹿セミナーやるヤツもどうかと思うが、本気で聞く方も頭が悪すぎる。このような鉄板の失敗ケースの最大の理由は、当たり前だがそもそも経営者や担当者がソーシャルというものを全く理解していないということから始まる
●Facebookはアカウントはあるけど友人は少なく、中には架空IDもちらほら。最新の投稿は7ヶ月前
●Twitterはアカウントはあるけどフォロー数、フォロワー数とも一桁で、画像もない。アクセスしたのは最初の数回のみ
●LINEは小学生の娘が勝手にインストールしてくれたのでやっているが家族とのやりとりのみ
●Google+は見たこともない。Sumallyは聞いたこともない
というような、恐ろしい担当者の場合、間違っても成功する要素はない。さらにFacebookアカウントさえない社長がトップダウンで命令を出した場合、数ヶ月後に残るのは終戦の日の東京のような焼け野原である。業者に依頼して作らせたFacebookページのファン数は10数人で大半が社員と取引先だし、会社のTwitterのフォロワーは数人のまま。社長が業者に騙されてファンを買おうとしたときにはたまたまググってこのブログを読んで止めさせたのが唯一の担当者の実績となる。
では、どうしてこうした企業や担当者はソーシャルを運用できないのだろう。
答えは簡単である
ソーシャルは発信するもの、と思い込んでいるからだ
その認識は、発信ではなくて失神ものです・・・
ソーシャルの基本は受信することからはじまる
仮に馬鹿セミナーで「ソーシャルでお店の情報を発信したら客がばんばん来ます」という妄想を聞いたとして、まともな脳みそ量がある人なら、「世の中にそんなに鴨葱はいるのかな〜」と考える。いや、Twitterで「うちにはこんな商品があります。買ってね」とツイートするだけでわさわさ客が来るのであれば、鴨が葱しょってるだけではなく、七輪まで持参してくるようなものだ。実際に葱をしょった鴨が飛んでいるのを見たことがないのと同様に、そんな客は世界に存在しない
ソーシャルを運用するというのは、ソーシャル上で「自分の価値を認知してもらい評価してもらう」のとほぼイコールである。芸能人や有名人ならすでに認知されているから、開始して即日に運用が開始できるわけです。自分と一緒にするな。
@CarolineKennedy からのツイート
↑ さっそくのように運用開始されています。
ガード下の赤提灯で一杯やるのが楽しみの一般人の場合、誰も評価してくれているわけではない。人っ子1人いない荒野で客引きやる侘しさと言ったらそりゃもう馬鹿馬鹿しさ加減が半端ない。ではどうすればきちんとした運用ができるのか。そのためには顧客視点というものをまずは取得しないといけない。
ソーシャル運用を始めるのであれば、まずはインフルエンサーとなっている個人や企業、サービスなどをフォローし、彼らが発信してくるものを学び取らなければならない。自分に受信能力が無いのに、他人に受信させようというのがおこがましいのである。そして「どういう内容が役に立つ、面白い」として認知されているのかを理解する。Twitterならリツイートされる回数でわかるし、Facebookならいいねの数やシェアの数でわかる。ファンを買っているFacebookページなら投稿には少ないイイネしか付かないからモロバレである。こうしたところは視野から外す。
そのうち、自分が取得した情報で「これはいい」と思ったものをシェアやリツイートの形で共有するようにする。自分で調べるのは面倒だからこの人をフォローしていればいいんだなと思う人がフォローを始めてくれます。ここで初めて自分のオリジナルの発信情報を混ぜていっても受け取ってもらえるようになるのです。正直ここまで行くのは1年はかかります。
この間、馬鹿情報商材屋が「自分はTwitterで大儲けしている」とツイートして散々馬鹿にされていたが、彼の数万人のフォロワーは大半がロシア人であった。中古車でも輸出してるのか、お前。フォロワー買うのはあまりに馬鹿っぽいので止めましょうね。それで騙されてフォローしてくるのも馬鹿ばかりなので役に立ちません。ポイントは「インフルエンサーにフォローしてもらう」ことです。それは向こうもこちらを認めてくれていることになるからです。しかし生半可な投稿ではリツイートもシェアもしてもらえません
ソーシャル運用はすなわち、自身のブランディングである
いいこと言うな〜俺。
「この人がやっているサービスだから利用したい」「この人が社長だからここの製品は素晴らしい」「この人の会社だから面白そう」となるべきがソーシャルです。いい例がSoftBankの孫さんでしょう。「やりましょう」のひと言でどれだけCSが向上したか・・・
IT系の上場企業の社長や役員が、忙しいだろうにせっせとTwitterに投稿しているのも、自社のブランディングに貢献しています。仕事の一環であって遊んでいるんじゃありません。LINEの田端君とかせっせとライブドアニュースを投稿して流入を稼いでいる。w ヤナティさんもたまに仕事っぽいコツを呟くし、上場準備中だけどけんすうも頑張ってる。ほかにもどっさりいます。成功例としてよく知られるのは元加ト吉のおそれいりこだし部長でしょうか・・・経営陣の運用はリクルーティングにも大きく影響しているはず。
まとめますと、「片手間にやる」「時間が空いたら投稿する」みたいなのはスーパーダメダメで、Twitterはクライアントアプリを常駐させて常に情報をチェック。いいのがあったらすかさず共有。FacebookとTwitterの連動なんて愚の骨頂。佐々木俊尚さんだってGoogle+で「これTwitterとの連動だよね、読んでるのかな」と突っ込まれていたけど本人は気づかずみたいのがありましたが、これは佐々木さんクラスだからいいわけで、普通の人なら単に手抜きです。
そんなわけでソーシャル運用は実はめちゃくちゃ負荷がかかる。人間ってヤツは楽しいことなら飯も食わずに寝ないでもできるが、嫌なことは絶対できない。よってソーシャルが楽しいと自分で思えない人はソーシャル運用はできないのであります。もっともそういう人はネットからの情報を欲してないんだけどね。