電子書籍まとめてプリインストール端末「honto pocket」は工夫次第で売れる

2014年12月4日

コンテンツをバンドルした専用端末「honto pocket」、12月11日発売

というジミーなニュースが流れました。ソーシャルボタン見ても全くバズっておらず、ほとんどの人は「はぁ??」という感じだと思いますが、これって実は凄いことです。というか、わたし、以前に近いことをブログで提案してました。

電子書籍、電子書籍といいますが、実際にはマーケットはたいしたことありません。ここでも書いたのですが
矢野経済研究所の調査データから

◆ 2013年度の電子書籍市場規模は前年度比19.7%増の850億円と2ケタ成長、電子コミック分野が牽引

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順調に伸びてまして2014年は1050億円だそうです。一見凄いように見えます。しかし・・・毎年谷を転げ落ちていく勢いの雑誌や本の印刷物の売り上げは2013年でそれでも1.7兆円です。2000年の時は2.3兆円くらいありました。つまり電子書籍って印刷物の1/17しか売れないんです。しかも大半がコミック・・・印刷のが毎年500億円ずつ落ちていく中で、電子書籍が200億円伸びたってそれがなんだっちゅーねん!!おじさん怒るよ。

ですが、今回大日本印刷系のhontoがリリースした電子書籍のバンドルは、売り方によってはかなり浸透すると思う。まあ大日本印刷ってオールドスクール企業の代表でこれが一番できないのが最大の問題だ・・・hontoのサイトデザインもヒドイ。全く買いたくならない。B to Cの経験の無い企業の悲しさだと思う。顧客視点0!!
今回リリースされた「honto pocket」も同様・・・

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こちらはリリースですが、色気もへったくれもマーケティング視点もどこにも見当たりません。この↑どよーんとしたグレーの写真は止めた方が良い。欲しくなくなる。選定している目玉のアガサ・クリスティーもちょっと違うと思うんですけど、どうですか?
おそらく「ヘビーな読書家」を想定していると思うんだけれども、そういう方ってこの本入りデバイス買うのかな、と思う。おそらくすでに紙の本に埋もれているんじゃないだろうか。
本入り端末「pocket」は100冊分はいるというので、冊数が多い作家をまとめた感がありありです。価格はこんな感じ。一冊あたりの単価を掲載してみた。
アガサ・クリスティー全集 100冊 74,800円 @748
名探偵ポアロ・シリーズ 43冊 32,800円 @763
エラリイ・クイーン選集 27冊 19,800円 @733
ホームズ&ルパン 名作競演集 14冊 9,800円 @363
グイン・サーガ全集 上巻 80冊 39,800円 @487
と、まあまとめ買いしてくれたら端末タダであげるという感じになってます。

現在の電子書籍市場はシェア拡大のためどこも値引き合戦が凄い。凸版印刷系のBookLiveではたまに半額セールもあるし、20%オフは通常です。たとえばグイン・サーガ上巻は定価で一冊432円×80巻で合計34560円だが、2割引クーポン利用で27648円になってここにまた10%ポイントが付くから実質24883円。これだけ見るとpocketは高い。が、そもそもデバイス持ってない人たちはそんなこと知る由もないが、やはりちょっと高い気がします。まあhontoもいつも値引きするからpocketもポイント10倍とかにするかも。

電子書籍を買うメリット・デメリットを考えよう

いままで1000冊以上買い、紙の本をほぼ断捨離したわたしが考える電子書籍のメリットは以下の感じ。自分にとって重要な順に

1 読みたいときにすぐ買って読める
2 保管場所をとらない
3 複数のモバイルデバイスで管理できて読める
  ※5台(Amazonは6台)まで登録できるので家族で読み回し可能

という感じです。3のためには専用端末は不要で、アプリで読みます。自分のメインの読書端末は6.4インチのXperia Z Ultraです。専用端末と違って読書しながらソーシャルやメールをチェックできます。とりあえずSIM無しでWi-Fiのみでも使えます。いまだとかなり安い。iPhone6 Plusでもなんとかいけるがサイズが小さすぎる。次期Xperia Z4 Ultraは5.9インチになるらしいので、それを買ったとしても読書端末にはこのままこれを使うでしょう。

逆に電子書籍のデメリットは

1 本の整理がめちゃ面倒で探しにくい

アプリにも依存するが(全部の書店のアプリを試しているわけじゃないので)、既読の本と未読が入り交じって分けられない。シリーズの続巻が出て買っても忘れてしまう。また自分で評価点を付けて愛読順に並べるとかしたい(実際の本棚ではそうするでしょ??)のにできない。
実際の本棚では一元的にパーッと背表紙を見て「今日読みたい本」を探せるが、アプリではせいぜい10冊ごとくらいしかできない。冊数が少ないうちはよいが、多くなるとかなり使いづらい

2 デバイスを変えるとダウンロードし直し

自分のようにしょっちゅうデバイスを変える場合、これが面倒。またデバイスを初期化しても同じ。iPhoneとかよくやるのでそのたびに何時間もかかる。

で、この前提を考えると、すでに本がバンドルされた端末が安価で出るなら、いままでの電子書籍のデメリットを吸収できるわけです。作家別に一冊にまとめられるので、本棚にはせいぜい数十冊(しかも薄い)が並ぶだけになり、一元的な管理ができる。また、ダウンロードし直しとかもない。2点のデメリットはこれで解消される。

で、どんな本なら売れるのか

まとめ買いだから、ターゲットを選定して絞り込むほうがいいわけだが、自分がいちばんニーズあると思うのは「少年少女文学全集」です。子供が小学校に上がったお祝いにじーさんばーさんが買い与える(正確に言うと金だけ出してもらう)。クリスマスプレゼントに妖怪ウオッチ欲しいという子供に買い与えたら号泣されると思うが、将来考えたら絶対いいでしょ。
また、老人介護施設に入っている、頭はまだしっかりしているじーちゃん用に「昭和文学全集」とかもありです。ここまではレイトマジョリティ向けなので、自分で買わない。つまりプレゼント仕様です。今回のアガサはここなのですが、いったいじーちゃんがこの端末をどこで知るっていうんだ。テレビでCMでもやらないと到達しない。

次にあるのが資格取得用のまとめ。たとえば「弁護士資格取得用書籍フルフル入れ」「医師国家試験用書籍フル入れ」とか「TOIEC300点→850点取得までのテキスト一気入れ」みたいなヤツ。大学受験参考書とか問題集もいけます。予備校とかで導入したらいいのに。端末が3万とかでも普通にこういう場合は投資だからみんな買うし、どこでも持ち歩けるから電車の中でも勉強できる。

続いてあり得るのが「ホリエモン オススメのこれだけは読んどけ100冊選抜」みたいなの。塀の中で読んだ1000冊から抜粋して選ぶ。同様に「田原総一朗セレクション」とか「池上彰セレクション」は売れます。買うのはみんなビジネスマンで「投資」と思って買うし個人事業者なら経費で落ちます。このへんはアーリーマジョリティなのでネットで「買った」「良かった」というのが回ればけっこう売れます。

まあ、同じコンセプトの商品をAmazonがやっていたら間違いなく売れたと思う。最大の問題はサービス元が大日本印刷ということです。しくしくしく。

で、音楽も同じだと思うんだけどそれは明日に続きます。

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