わたくしがスマートウォッチなどのデジタルデバイスを語るとき、必ず使うキーワードがあります。それは
デジタルデバイスは明確な使用目的があって買う
ということです。iPhone3GSが出たときには「これで外出先でもメールやWebをチェックできる!!」と感涙にむせんだし、デジカメ、タブレット、ブックパソコン、ゲーム機とか、みんな使用目的があって買ったでしょう?
デジタルデバイスは使用期間が短い。技術の進歩で2年もしたら陳腐化してしまうから快適さが落ちる。iPhoneを毎年買い換える人がたくさんいるのがその証拠だ。装飾品とはココが根本的に違う。
「オヤジが30年前に使っていたROLEXもらって今も着けてる」っていうのはそこそこかっこよいが、「オヤジが30年前に使ってたMS-DOSのマシンもらって今も使ってます」と言うのはタダの馬鹿である。というかナニに使ってるのか謎 www。
スマートウォッチは微妙な立ち位置にある。普段は時計だから装飾品だ。しかし時計を着ける習慣が激減している今、時計としてスマートウォッチを買うヤツはいない。明らかにデジタルデバイスでしょ? デジタルデバイスとしてスマートウォッチを買うときには、「使用目的」がはっきりしている必要があるが・・・
☆スマホを取り出すのが面倒でスマートウォッチでメール着信を確認したーい!!
☆今日何歩歩いたか記録したーい!!
☆時計で電話したーい!!
なんてニーズがあってそれに何万円も払うだろうか。電話したりメール着信確認するのはそもそもスマホで十分だし、何歩歩いたか知りたければそもそもスマホのアプリで十分だ。↓これいいよ
つまり電話をバッグにしまってその代わりに「画面が小さくて使いにくいのに、時計で使いたい」というニーズが本当にあるのかってことです。これが各メーカーから出しているスマートウォッチがたいして売れてない理由だと思うよ。。買うのは熱狂的なマニアだけで、買ったはいいけど使い道に困ってタダの時計になる。しばらくは人に見せて自慢するがそのうちそっと外してヤフオク行きです。Apple Watchとて同じ運命だと信じる。
Apple Watchは周回遅れ。スマートウォッチはすでに目的別機能へ細分化中
では、スマートウォッチに感じるニーズ(使用目的)はどんなものがあるか。
ひとつは、健康管理です。脈拍の計測や血液中の酸素濃度の測定、睡眠の管理、みたいな。しかしこちらを気にするのは年齢的に高い層が多く、デジタルデバイスのアプローチとしては弱い。1万円台ならともかく、4万も5万もするものは買わないと思う。超高機能の体重計にいくら払うか自分で考えてください。せいぜい2万円以下でしょ。
たとえば健康のためにジョギングしようとしても、スマホをジョギング中は持ち歩けない。自分もポケットに入れて走ってみたけどワサワサしてパンツが下がる(笑)。こういう人はスマートウォッチで計測してデータを取りたい。自分がいま走るときに使ってるのはこれです。上のアプリと連動します。
走った距離、消費カロリー、脈拍、血中酸素濃度、睡眠サイクルなどを計測してスマホに送り、クラウドでデータ化してくれる。ジョギングと健康管理ならこれで十分です。しかしジョギングしていて思うんだけど、早朝の公園とかで走ってる人の大半が40代以上、いや下手したら50代以上です。スポーツクラブで週1〜2回泳いでいるんだけど、終わったあとの風呂は介護施設みたいです。自分より年下と出会うことがほぼないくらい。デジタルデバイス大好きクラスタは、健康管理とか気にせずラーメン食ってるしな・・・。
もうひとつは、熱中しているスポーツ対応です。ゴルフ、ランニング、自転車、サーフィン、スキー、釣りなど、趣味として多額のお金を掛けている層。サーフィンだって東京在住で普通にまともにしていれば年間50万円くらいは軽く使ってる。こういう層は自分の技量のアップのためにはお金を惜しまない。ここは実は大きなマーケットだと思います。しかし日本の家電とかIT企業はここが弱い。GoProの創業者がサーファーでぼろいワゴンにシェルネックレス積んで販売して創業資金作った話は有名だが、自分の欲しい物を本気で作るスタンスが無いとこのジャンルはきついのよ。
サーフィンに特化したリップカールSearchGPSが凄い
リップカールは1969年創業のオーストラリアの企業です。世界中に展開していて、ウエットスーツはもとより衣料品、時計、スノーボード用品まで幅広い。年間収益は400億円くらいらしい。日本法人もできました。このリップカールが今年、11月に世界で販売を開始したのが、スマートウォッチの「SearchGPS」です。アプリ(現在はiOSのみでAndroidは準備中)、デスクトップ版アプリ、webシステムもリリースされた。 ちなみに本体持ってなくてもアプリをインストールするとフォローはできます
価格は46,440円で税込みです。聞くところによると相当の特許も申請していて同様のサービスを他社が行うのは難しいレベルらしい。こいつを1ヶ月にわたって使用しましたので、本日は「スマートウォッチってこうあるべきなんじゃないの?」というレポートです。
大きさはこんな感じ。黒のほうが小さく見えるが白は特に大きく見える。隣はNixonのSuperHeroです。なんとスマートウォッチなのに200メートル防水。防水じゃないApple Watchとは比較にならない。どうやってチャージするのかというと
裏側にこういうピンが出てまして・・
付属のUSB接続のクリップで接続します。
この状態でチャージとPCアプリで同期ができます。バッテリーはGPS稼働時、つまりサーフィン計測時で10時間。普通の時計状態なら6〜10ヶ月持つ。つまりGPSってそれだけバッテリー食う訳ね。
時間合わせもGPSで行うため、野外に出て電波を捕まえると、世界中どこでもその場所の時間と潮汐データが同期されます。ここは手動でも設定可能。
これが時計モード。現在は潮が半分くらい満ちていて満潮に向かっています。
サーフィンを始めるときにSURF → Go SURFで衛星の電波を捕まえて計測に入ります。止めるときには同様にEnd SURFで計測が終了。
で、サーフィンが終わったらペアリングしてあるiPhoneで同期します。Android版はまだアプリが準備中なので上のUSBクリップでPCアプリでシンクロしてパソコンに取り込んでクラウドに上げます。で、わたしのある日の記録
これはiPhone上。4時間15分海に入って20本計測。最高速度17.2km、一番長く乗ったのが57メートル、パドル距離10.9キロ。WEB版で見るともっと詳細に見えます
1本ずつの記録が全部・・・しかしGPSで追跡しているので衛星を見失ったりするときは計測してもらえないです。腕を水中に入れていると電波が拾えないのでロストし、衛星マークが点滅。あと、短い距離やヨタヨタして転んだのもスルーされます。この日も実際乗ったのはこれの1.5倍くらいの本数。波に乗る前に腕を水上に出して電波を確保するようにするとロストが少ない。これで自分のサーフィンのデータをすべてクラウドに記録できます。
で、このシステムの凄い点は、ソーシャル機能が付いていること。Facebookの友人やメールアドレスで知り合いとフォローし合えます。もちろん日によってはそのデータを公開しないということも可能。リップカールのプロはフォローできるが他の知らない人がフォローしてくることはありません。あくまでメルアド知ってるか、Facebookの友人のみです。
自分以外はみんなプロ。外人は世界のトッププロ。最高速が面白くて、上の記録は湘南なんですが、湘南の波は湾奥なので波自体の速度がとても遅い。西井プロでも20㎞超えがせいぜい。自分は必死に加速して20㎞でません。千葉だと自分で25㎞くらい。西井プロだと30㎞くらい出してました。ところがこの写真のとおり、ハワイのノースショアだと40㎞超えるんです。どんだけ〜まあ乗ってるのがトッププロということはありますけどね(負け惜しみ)
このSearchGPSは、使っている人がまだ少なくかなり声を掛けられます。日本だと西井プロが第一人者でブログに記録データをしょっちゅう上げています。買いたい方はこちらでレクチャー受けながらどうぞ。デジタルデバイスなんで、詳しくないところで買うとキツいと思う・・・。このショップは通販もやっています。アメリカとの価格差がないので正規もの買った方が良いです。正規は5年保証だし水物なんで故障しても困るし、あと、マニュアルが日本語版はかなり詳しい。
ラヴサーフ
気づいたのは、まだ多少バグがあり、ポイントによっては満潮と干潮が逆になるところが一部ある。これはアップデートで改善されるはず。また山が後ろに迫っているようにポイントでは時間によっては衛星からの電波を拾いにくい場合があります。
このデバイスによって、自分のサーフィンライフが大きく変わることは間違いない。最近のリップカールの大会では選手にこれを着けさせて、最高速度などをアナウンスしたり、ライブ映像と同期したりしてました。
使用目的が明確なスマートウォッチに期待
これと同様に、全てのショットを記録できるゴルフ用、最高速度や軌跡を記録できる雪山用や自転車用、軌跡をトレースできて記録を残せる登山用、などは大きなニーズがあると思う。ゴルフにせよ自転車にせよ相当にお金を掛けている人たちから見れば4万円とかは別に普通なんです。
自分としてはSearchGPSにはぜひカメラをつけて欲しいと思います。実はサーフィンでのGoProの撮影は、ほとんどが手にバーを持って自撮りしてるの。
こういうやつにGoProセットして口にくわえてパドルして、テイクオフと同時に手に持つ。こんなのできるのはプロレベルの人だけっす。時計にカメラを仕込んでもらえればGoProのシェアをけっこう獲れるのでは無いかと思う次第です。3年後くらいまでによろしくお願いします。