まぐまぐ!とBLOGOSでメルマガを書いているのだが、その中でもっとも多い質問のひとつが「ブログ書いて収入を得たい」というものでございます。質問の内容は各自の特殊性があるので、新年初の真面目系エントリーとして、一般論をきちんと説明したいと思います。
ブログを書くことはアフィリエーターになることではない
そもそもアフィリエイト広告は出稿側にはリスクが少なく、成果報酬でいいわけだから、出稿する側には非常にメリットがある。これを胡散臭くさせてしまったのは、「アフィリエイトで儲けよう」みたいな情報商材や高額セミナーで儲けようとしたやつら。本当にアフィリエイトで月数百万儲けてるなら、わざわざそのスキルを公開するわけがない。自分でアフィリエイトやるより、金の亡者馬鹿を騙す方が簡単だからそれをやってるのです。おかげで不正なことをやりまくる馬鹿アフィリエイターがはびこり、イメージを悪くしてしまった。
まず最初に誤解を恐れずに言うと、「アフィリエイトでお金稼ぐためにブログを書く」という考えは根本的に間違っていると思う。その誤解の結果がアメブロに横たわる馬鹿が書きかけでやめたアフィブログの巨大な墓場だ(せっせと削除されているようですが)。
世の中には月数百万〜数千万稼いでいるアフィリエーターもいるが、彼らの多くはブログなんて書いていないはずだ。彼らの戦法はまず
1 報酬が高いジャンルに参戦する
FXとかクレカとか保険が代表だよね。最近では携帯とか回線とかが高い。要するに新規会員獲得に対する報酬が高い。
↓こういうやつがアフィリエイトバナーね
2 そこで役に立つ(ように見える)ノウハウサイトを創る
クレジットカードの正しい選び方、的な・・しかし実際には料率が高いのをオススメにしているようなのもよく見かける。
3 SEOを徹底して勉強し、サイトに反映させる
上位に上がりたいキーワードに徹底して内容を詰めていく。
4 中にはブラックハット(Googleが認めない不正な方法)を多用する人もいる
という感じでしょう。4のみなさんは無料ブログでたくさん作って自演リンクを貼りまくったりしていたわけだが、検索エンジンのアップデートで即死している人も多い。どんどんGoogleが進化することで、不正が発見されてペナルティを喰らって、検索順位が圏外に吹き飛ぶようになっている。
アフィリエーターが胡散臭いように見られるのはこうした不正な行為を平気でやる人がいるからです。無料ブログを大量に作って自演リンクするのは他人の利便性を下げる立派なスパム行為です。さらに検索からアフィリエイトだけが目的の内容がぺらぺらのサイトに誘導されるのはマジで時間の無駄。
2については、そもそもかなりの知識や文章力が必要なはずで、「金を稼ぐため」の人たちが自分で書くのが難しいので、クラウドワークスなどでたくさんライターを募集している。1記事200円とかなので、これで受ける人のレベルを考えるとまず面白いわけがない。でも現在はそれでも数百ページを格納すれば上位に表示されてくるのでアフィリエイト収入が望めるのだ。しかしGoogleも馬鹿ではない。近いうちに内容がぺらぺらのものは「役に立たない」として検索順位を下げてくるアルゴリズムが開発されていくと思う。生き残るのは「真に有益なコンテンツを作れる実力のあるアフィリエーターだけ」になるでしょう。
さらに追い打ちを掛けるのが、スマホの浸透。スマホではそもそも商品等を検索する頻度が低いし、下位順位まで見ない。画面が大きなPCとの差がここにある。そんなわけで検索エンジンからの流入がどんどん減っている今、アフィリエーターもソーシャルで回るようなコンテンツを用意できないと沈下していくのではないかと思う次第です。
ブログとアフィサイトの根本的に異なる点
アフィサイトは上記のように「上位表示されたいキーワードでコンテンツを揃えたもの」と定義される。基本的には客観的な内容のものになる。
これに対してブログというものは、基本的には「自分の好きなこと、得意なことを書く」という主観的なものになる。クレジットカードを作るのが趣味ならクレジットカードのブログを1000エントリーくらい書けばアフィリエーターで食っていけると思うが、FXとかクレカとか回線とか、そういうサービスが趣味だという人はそうそういないはず。www たとえばラーメンの食べ歩きが趣味ならそこそこアクセスがあるブログが書けるはずで、日本中のラーメン屋がアフィリエイトやってくれればいいが、実際にA8で「ラーメン」で検索すると
これくらいしかありません。毎日ここの通販でラーメン買って、実際に行った店での比較写真を載せてブログ書いたらアクセスはあるかと思うが、報酬単価も低いからたぶんそれほどは儲からない。趣味の延長ならいいし、自分でラーメンの通販やるよりリスクは少ないと思うけどね。
で、大半のブログでは、こうしたアフィリエイトサービス以外に、GoogleのAdSenseなどのクリック課金のサービスを使うことになり、こちらのほうが売り上げが望めることになる。AdSenseのターゲティング能力は物凄く、前に見たサイトはもちろん、エントリーの内容を読んで近い広告を入れてくる。よって不動産の話ばかり書いていると不動産系のクリック単価の高い広告が差し込まれるし、ラーメンばかり書いているとラーメンに関連した広告ばかり差し込まれる(はずだが、ラーメンというキーワードではリスティングに出稿0なので実際には出てこないけど)。
しかしAdSense広告の場合、1PV(ページビュー)にたいして0.2円とかがいい線だ。月間10万PVでも2万円くらいにしかならない。上に書いたような専門的なアフィリエイトのために作られたサイトは、アクセス数は少なくても料率が高い(1回成約で数万円とか普通にあるから1日数人成約でも月100万円超)のにたいし、リスティング広告は単価が安いんである。
なのでブログを何とかビジネス化しようとした場合、リスティング広告でいくなら数十万PV/月の上の方くらいは稼がないといけないし、これを突き詰めたのがいわゆるバイラルメディアになるわけだが、奴さんたちの訪問者は一見さんばかり。スマホ経由が大半で広告をスルーしていくから0.2円どころか0.00×円とかじゃないかと思う。トレンダーズやサイバーエージェントのバイラルメディアが次々と閉鎖されているのも儲からないからでしょう。
「会社は学校じゃねえんだよ」の名言(確かに名言だよな)を残した社長のサイバーエージェントの子会社、株式会社WAVESTの決算では
となってまして、設立からの3ヶ月で2000万の赤字。資本金1億3300万なのでこのペースでは1年半くらいで使い切ってしまう。ちなみにこの会社の主力のバズハウスのアクセス数をSimilar Webで見てみるとわたくしのこのブログの1/10程度のアクセスしかなく、しかも下降している。赤字になるわけだよ。個人のブログでももっとたくさんアクセスあるところはあるし・・・つまり、参入障壁が低いジャンルは、アクセス数は競合の乱立ですぐに下がるのである。
バズメディアで豊富な資金で記事を大量に投下しているサイトでさえこの程度だから、個人がしこしこ書くブログで集客するのは、よほど専門性が高いか、面白い文章が書けるか、知名度が高くてフォロワーが多いかでないとなかなか苦しい。よってわたしの出した結論は
ブログでなんとか生活できるのは他者が書けないことを書ける人で、お金を稼ぐだけならアフィサイトのほうが現実的
ということになります。好きなことを書きちらかしてお金を稼ぐのは難しいのです。昔、新宿駅の通路で「僕の詩集買ってください」と看板出して下向いて座っていたお兄さんがそこそこいたが、実際にあれで飯が食えるかというと食えないだろう。
別に好きじゃなくても、頑張って勉強したり取材して書いたりするほうがお金になる。プロのライターはみんな好きで書いてるわけじゃない。ファッションに興味がなくても詳しく調べて書くし、パスタが好きじゃなくても調べて美味しそうに書けます。それがプロです。
ただ、前出のようにアフィリエイトサイトも、以前はブラックハットで儲けられたのですが、今後は不正な手法では難しく、役に立つコンテンツを用意して着々と更新していく必要があります。さらに今後は検索からの流入も落ちていくはずなので、ソーシャルで回るための工夫をしていく必要があるのは書いたとおりです。本当に文章力と取材力があるなら、ブログ書いてる場合じゃなくて、みんなに本当に役に立つサイトを創ってアフィリエイトで儲けてください。