「国民に説明が十分されてない」というキャズムについて

2015年9月26日

みなさんこんにちは。iPhone 6s Plusを1日使いまして、体感でNexus6の3倍くらいバッテリーがもつ。指紋認証が早いとか純正アプリを強めに押すとどうとか、そんなちっぽけなことなんてどうでもいい。バッテリーがもつだけで神という実感を得ました。Windows 10がスマホでAndroidやiPhoneからシェアを奪うためには、単にバッテリーの持ちをガラケーなみにしたらいいんだと主張するものであります。そのテクノロジーに人員の半分くらい割くべし。

さて、国会も閉幕し、静まりかえってきたわけではございますが、今回のマスコミ報道では「世論調査ってなに」という疑問を持った人も多かろうと思います。世論調査や市場調査などは、やりかたによって結果が大きく変わりますが、今回のはとくにその差がでかすぎた。このエントリーで、朝日新聞と産経新聞で「安保法案が必要か」についての意識が全く正反対であることを書きました。

安保法案を絶対に廃案にしたい方に!!!

実はわたくし、大学時代に世論調査の会社でアルバイトをしてまして、対面調査の度にかり出されていました。いまとはやり方が違う部分もありますが、だいたいこんな感じでした。顧客は新聞社とか役所でした。

1 調査期間は3日以内・・・長引くとニュースなどで支持率が変わったりする

2 最初にリストをもらう。まとまった地域に個人名と住所が書かれていて20〜30人分。電話番号はない。ランダムに抽出されている。

3 いきなり家に押しかけて身分証明を見せて回答してもらう

4 回答をもらったのの成功報酬で2000円とかでした

非常識な時間に行けるわけがないので、だいたい8時くらいから夕方まで回るのですが、若い人はほぼ100%捕まりません。「代わりに答えてあげる」「書いておくから置いていけ」とか言われても断ります。高齢者は暇なんで答えてくれますが、頑固爺やヒステリーババアに「うるさい、帰れ」と怒鳴りつけられること多数。回収率はだいたい5〜6割行けば優秀です。「夜にまた来て」といわれて行ったらお父さんがすでにヨッパになっていたこともありました。

なかには面倒くさくなって自分で書いたりアンケート用紙を置いてきたりするバイトもいるので、事務局が抜き打ちで電話をして確認。不正があるバイトの調査は全て破棄してバイト代はもらえなくなります。

面白かった思い出としては、お父さんは砧にあった東宝の撮影所で照明やってるからそこにいってと言われまして、わざわざ出向いて回答してもらったことですね。アンケート聞いてる間に「電線に、雀が三羽・・♪」が大ブレイクした小松の親分がやってきまして「なにしてるの! おせーて!」って生でギャグを聞いたことです。

それはともかく、こうした対面アンケートでは、回答の大半が家にいつもいる主婦とか高齢者に偏ってしまうわけ。20代前半とか全く無理だし、サラリーマンもほぼ無理。主婦の多くは長いアンケートだったりすると途中で「もういいわ、わからないから適当に書いて」と言い出したり、最初から「わたしに聞いてもムダ」とか言う人も。当時より、「こんなアンケートでいいのか」と思ってました。

今回、各種マスコミが安保法案について世論調査を行い、「説明が足りないと言ってる国民が大半」という風に報道しています。だいたいサンプル数は1000くらいです。しかしこちらをご覧下さい。まずはYahoo!のアンケート調査

Q 安保法案 あなたはよく理解していますか 回答191771
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よく理解している、ある程度理解しているを合わせて63.2%と余裕の過半数超え。回答数は20万近い

Q 安保法案が衆院特別委で可決、あなたはどう思う? 回答694075
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賛成と反対が拮抗しているが賛成が過半数。ということは、理解している人たちの中では賛成派が優勢。なんと70万人近い回答

続いてブロゴスです。ブロゴスってLINEがやってまして、親会社は韓国のNHNです。なのに嫌韓の投稿多数。いつもこの会社、腹が太いなぁと思ってます。www

Q 安保法案、今国会の成立にこだわるべき?回答10664
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拮抗はしているが、こだわるべきが過半数

なぜマスコミ調査とWebアンケートでこんなに違う結果に

ネットを使えるリテラシーの高い層は云々とか言っちゃダメです。Yahoo!のユーザーは実はネットのリテラシーの高さでは、ネット界で一番下のクラスタです。わたし、1年前までYahoo!個人に書いてまして(止めた事情はこちら)2度ほどトップニュースになったのですが、トップニュースに出るとアクセスは150〜200万位ありました。
ただ、Yahoo!のブックマークコメント欄を見ますと、リテラシーが低い方たちが一杯というのが分かると思います。「最後まで読んでない」「内容を理解できていない」そして「Facebookで顔出ししているのにヘイトコメントするリスクを理解できない」など、ネットについての理解、読解力はけっして高くない。ネットをはじめたときに最初に追加するのがYahoo!だからで、楽天と拮抗しています。www ネットの入門版です。

キャズム理論についてはなんどか書いたので検索窓で「キャズム」で検索するとエントリーが出てきます。このあたりで書きましたけど

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わたくしの理論では
日本ではアーリーアダプターがせいぜい10万人。アーリーマジョリティが最大150万人程度で残りはレイトマジョリティ

アーリーアダプター  自分から積極的に情報を取りに行く
アーリーマジョリティ たまに情報を取りに行くことはある
レイトマジョリティ  向こうから勝手に来る情報を受け取るだけ

まあそれでも、Yahoo!で検索したりニュースは見ているわけですから、アーリーマジョリティくらいには該当するわけですが、特に高齢者比率が高まったいまの日本ではレイトマジョリティ率が高く、高齢者じゃなくてもこういう人たちは新聞も読むのはテレビ欄とチラシと三面と葬式、テレビはバラエティ1本、スマホはもってるけどLINEと楽天のみ。みたいな人たちが大勢いるわけです。

消費税にしても安保法案にしても、こういう人たちは背景もなにも知らない。日本では消費税に関してはこの話を持ち出す度に政権が飛んだり(大平政権惨敗、中曽根さん惨敗、竹下さんはやっと通したが惨敗、村山社会党内閣は5%に引き上げるといって惨敗、橋本さんは5%に引き上げて惨敗、民主の野田さんは8%に引き上げて分裂)、そんなことやってるうちに日本の社会保障制度はガタガタです。

しかし消費税反対って投票するレイトマジョリティは、自分が払うのはイヤだというだけ。日本の税収が40兆なのに90兆も支出していて借金が1000兆もあるとか、社会保障に26兆も使ってるとかその大半が年金と医療費だとか全然知りません。うっすらと「日本の財政がやばい」くらいは知ってますが、ここまで切羽詰まってるとかの認知がない。医療費が無料だった頃、毎日病院に暇つぶしに通ってる高齢者が一杯いたんですが、そういう人たちは自分たちの医療費で国の借金がふくれあがってるとか全く知らなかったはずです。

つまり、「安保法案や消費税について十分に説明があった」とレイトマジョリティの人たちが言うためには、それこそ一軒一軒訪問して1時間くらい説明して「もう十分です」というくらいにしないと無理。しかしそんなことしたら犯罪ですので。www

朝日新聞社に世論調査の方法の疑問を聞いてみた

自分は左気味だからって朝日新聞や東京新聞しか読まなかったり、保守だからって産経新聞しか読まないとか愚の骨頂。身内の言葉は気持ちがいいが、見識がどんどん狭くなる。かくいうわたしは朝日新聞デジタルの有料購読もしています。
そんなわけで昨日、読者面して朝日のアンケートの手法についての質問を投稿フォームからしてみた。

朝日新聞は「朝日RDD方式」という調査を行っています。

RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法です。この方式だと、電話帳に番号を掲載していない人にも調査をお願いすることができるため、電話帳から番号を調べる方式より偏りなく調査の対象となる人を選ぶことができます。 朝日新聞社では、選挙情勢を探る調査で、1999年11月の奈良県知事選挙から調査方法を「朝日RDD」方式に切り替え、選挙結果の予測などが正確にできることを確認しました。そのうえで、2001年4月から内閣支持率などを調べる全国世論調査についても「朝日RDD」方式に切り替えました。

これだけ読むと、03の局番が圧倒的に多いのにランダム生成したら地方ばっかりになっちゃうじゃん。とか、会社の電話は除外しているだろうから個人商店などは省かれ、第一次産業従事者が多くなるのではとか、独身単身や若い人はもう固定電話の契約さえないので、これどうしてるんだろうとか疑問をぶつけました。

ちゃんと回答いただきました。なんせ有料の読者ですから。

いつも朝日新聞をご覧いただき、ありがとうございます。朝日RDD調査についてのお問い合わせをメールでいただきました。お客さまの対応窓口であるお客様オフィスが世論調査部に問い合わせたうえで、お答えいたします。

(ご質問1「地域の偏り」について)
電話番号は地域ごとに決まった局番が割り振られています。地域ごと(局番ごと)に電話番号がどれくらい使われているかは分かっており、それはほぼ人口比に近くなっています。世論調査では、この局番ごとの使用割合を踏まえ、無作為に番号を組み合わせ、電話をかけさせていただく番号を決めております。そのため、人口比に応じたかたちとなります。

(ご質問2「産業の偏り」について)
世論調査の対象となるのは、一般世帯に居住する有権者の方です。もし、電話が法人など一般世帯以外につながった場合は対象外として処理します。ただし、個人経営の商店やサービス業でも、自宅兼用の電話の場合は調査をお願いしており、一次産業の家庭にかかった時と同じように調査をお願いしています。

(ご質問3「固定電話の偏り」について)
データを集計する際、地域別、性別、年代別の構成比を、総務省発表の実態構成比と同じになるように補正をしています。携帯しか持たない人たちと固定電話を持つ人たちとの間に大きな意識の違いがないことが、他の調査から確認されています。

なるほど、調査対象については偏差は補正されているようです。そうなると、結論としては


1 ここ20年で印刷メディアもテレビも衰えた
2 ネットを使って情報を収集できる層とそうでない層のキャズムがさらに深くなった
3 説明されていない = 自分で調べないの言い換え

かなという気がします。世論調査は層に関係なく聞くからレイトマジョリティが多数派を占める。したがってどんな法案にも、たとえば派遣法改正とか、年金制度の改正とか、今国会で成立した改正農協法、女性活躍推進法とかマイナンバー法とか、新聞やテレビ形式で世論調査をすると、間違いなく圧倒的多数が「説明が足りない」になると思うんですよ。
ネットの調査の場合は、少なくとも自分でいろいろ調べた人が対象だから回答が変わってくると・・・

マスコミが世論調査とるときは、付帯質問として「説明が足りない」と回答した人に

普段読んでいる新聞
普段見ているテレビ番組のジャンル
ネットに接続している時間

などを聞いて貰いたいです。で、説明が足りないといってる方達の属性分析をしているのはないかなと思って探したんですが、ないようです。産経新聞も調査方法が旧態依然としてるのでできないでしょう。どこかのシンクタンクがやれば面白いのに!!
だけどレイトマジョリティはテレビしか見ないので、テレビで古館さんが「国民への説明が足りない」っていうと「そうか、説明がたりないから自分も知らないんだ」と思ってしまうのではないかと。もちろんネットのリサーチは自分で能動的に答えているわけで、受動的に答えを求められるのとは違うのも大きいでしょう。

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Amazon。ぐいぐい攻めてきたわ

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