ザク豆腐。その恐るべきマーケティング戦略・・・・

2012年4月30日

「広告でものが売れなくなった」と言われて久しい。かつては広告代理店が企画から立案し、大ヒットを飛ばした商品もあった。使い捨てレンズ付きフィルムの「写るんです」は電通が商品提案から行ったことで有名だし、トヨタのウィンダムという車はどうにも売りようがない中型セダンだったのを、「アメリカではレクサスES300、日本名ウィンダム」とTV CFでぶち上げて大ヒット。当時、セルシオ(アメリカではレクサスLS400)が出たばかりだったが高すぎて一般人には手が出ず、えっこれもアメリカではレクサスなんだ、ということで予想外のヒット。20年くらい前の記憶なのでかなりあやふやですいません。

しかしいまではテレビをはじめとするマスメディアは見る陰も無い。日本でもっとも広告宣伝費を使っていた花王は戦略的に極端に出稿量を減らしたが経営効率は良くなり、テレビで大宣伝をしても費用対コストが実はあわないことを証明した。先日、キー局のゴールデンタイムに数十年前の地方局で流れていたようなコマーシャルを見たが、マジで放送事故かと思った。枠が投げ売りされているのだろうな。
昔だったら絶対見ないような企業のコマーシャルも流れている。これで携帯ゲームに規制が入ったら、煙草、サラ金、に続いて大スポンサーを失って大変なことになりそうだ。携帯ゲームでレアカード引いて転売して大儲けするのはパチンコと同じギャンブルだ的な報道がテレビで全くないのも頷ける。

ネットが普及した現代では、テレビや新聞や雑誌からだけ情報を得ていた時代とは大きく異なる。地上波はすでに老人と子供と地方の人のメディアになった。ソーシャルメディアで展開と簡単に言われるが、硬直化したオールドスクールの大企業では非常に難しい。
AppleやFacebookみたいに社長が自分で商品の説明をするのがおそらく最も費用対効果のいい宣伝方法になったが、日本の社長ってじーさんばっかりで全く面白くなくて口も立たない。かといって従来のマスを使った広告手法では全然ダメ。企業の宣伝担当はめちゃくちゃ辛いのではないか。

そんな中。実はザク豆腐に注目していたのである。

いままでもキャラグッズというのは死ぬほどあった。しかしザク豆腐は単なるキャラクター食品とは明確に異なると思っていた。ポケモンチョコとか、古くは大ヒットしたビックリマンチョコとは根本的に異なるのである。その理由を本日やっとゲットした実物で説明したい。

ザク豆腐を知らない方はまずこのプロモーション動画を!!
作ってるのは相模屋食料という群馬の地方企業である。サイトを見たら資本金は8000万円しかない。中小企業基本法第二条の「中小企業者の範囲」の定義では資本金3億円以下ならびに常時使用従業員数300人以下が中小企業だから、立派な中小である。

しかし売り上げは・・・と見ると・・・


この時代に馬鹿伸び!!! ただ者ではない。ヒット商品を繰り出していると見える

買ってきたザク豆腐を観察してみる

ブッチャケ、ザクの頭の形をしている入れ物に豆腐が入っているだけ。

中身はとっても出しにくく、出したらこんな感じで

全く美味しそうでもない・・・実際には枝豆の香りが物凄く、ビールのアテにはかなりお薦めである。が・・

キャッチが裏に・・・ランバ・ラルの台詞をギャグにするならザクじゃなくてグフにしないとな

入れ物が可愛いので犬にかぶせて撮影しようとしたが

絶対イヤらしい・・

これが限界

では、この大ヒットしているザク豆腐。いままでのキャラクターの食品とはナニが違うのだろう。。。

すでにある商品にキャラを後付けでつけたものではない

おそらく広告代理店が「やっぱお子さんにはポケモンっすよね」とかいうのに乗ってポケモンせんべいとかポケモンクッキーを出すのとは全く異なる。ディズニーランドで売られているミッキーの顔したクッキーとも違う。
型落ちのパソコンを赤く塗っただけのシャー専用bookとはレベルが違う

使ってるヤツ、見たことないし!

この商品は一から新しい顧客に向けて企画・開発されているのである。

いままで豆腐を買っていたのは主に誰だったか。間違いなく主婦だ。しかしこのザク豆腐のターゲットはおそらく、おっさんである。Facebookで自慢そうに写真をアップしていたのはみんなおっさんだった。正直、自分も買いたかった。本日ゲットしたときには喜びにほんの少し震えたくらいだ。
ガンダムの放送が始まったのは1979年。当時15歳だった少年は現在は50近いおっさんなのだ。おっさんはビールを飲む、ビールを飲む時に家庭でのウケを狙って帰りに買って帰る。家族には馬鹿にされながら、「枝豆味なんでビールに合うぞ」と言いながら発泡酒と一緒に食う。おそらくペルソナ分析ではこのあたりをターゲットにしていると考えたがどうでしょう。当たってますか。

当時のガンダム大好き少年がいまや50歳のおっさんだとすると、そのおっさんはきっとメーカー勤務とかが多く、スポーツ新聞や競馬新聞、漫画ゴラク大好きの層とは異なっているはずだ。だとするとネットとの親和性が高い。テレビCMも打たれていないようだ。

案の定、Twitterでは猛烈にツイートされたし、上記の動画はFacebookでものすごくシェアされていた。スライム肉まんはこれを販売して利益を出すためのものではなくてプロモーションの一環だったので意味合いが違う。こちらはソーシャルを使って口コミから売れた、本当にいい実例だと思う。

人気キャラクターを使えば売れるって言う時代じゃない。仮想ターゲットにあわせてキャラクターを選定し、商品を一から創り上げる努力とアイデアが必要になっている。大変な時代になっちゃいましたね・・・

 

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