在宅勤務の社員ってこれからアリだけど、雇う側からの考察をしてみた。

2016年8月19日

何回か書いていますが、アシスタントさんを採用しまして、3ヶ月前に正式に在宅勤務の社員になってもらいました。社会保険もいれています。だけど実際に会ったことはまだ1回しかありません。www
先日、彼女がブログでこんなことを書いてました。

在宅ワークで正社員になって3ヶ月半、感じたメリット・デメリットを語ります

これは働く側からとしてのメリット・デメリットなので、わたしは雇用した側からのメリット、デメリットについて書いてみようと思います。最初に言っておくと、女性の労働力をもっと活用するのであれば、保育園を作るのと並行してこちらの法整備をきちんとしたらいいのにと思った次第です。特に東京ですね。だって保育園が少ないし待機児童数が突出している。保育園作るのは多額のコストや土地の手配などや保育士さんの待遇改善など、かなりの長期プランが必要だが、こちらはすぐに対応できる部分がある。

小池都知事に届け〜。

働きたい、働く能力があるのに育児で働けない女性の活用は「在宅」だ

わたしのコンサルしている会社の会長さんは、基本的にシングルマザーを優先して採用しているそうです。彼女たちはとにかく必死さが半端ないらしいです。子供を思う母の気持ちだもんね。

で、世の中には能力も働く意思もありながら、育児に追われて仕事に復帰できない主婦がたくさんいると思います。ちなみに日本の専業主婦と共働きの推移はこんな感じ。
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資料出所 厚生労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」(いずれも平成26年版)、総務省「労働力調査(詳細集計)」(2002年以降)
注1 「専業主婦世帯」は、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。
注2 「共働き世帯」は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。 
注3 2011年は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果。

こんな風に共働きは増えているのだが、自民党議員を代表とするボケ爺さん連中には「女は家にこもって子育てしてろ」という方も多いです。
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こちらのデータを見ますと、日本は先進諸国に比べて専業主婦◎という考え方がまだ根強い。女性側に専業主婦思考が強いと言うこともあるのだが、今の時代「働きたい」と思う女性だって多くなっているはずだ。お金の為だけじゃなく、自分の生き甲斐として社会に貢献して働きたいという人たちが増えて当たり前です。

保育園に預けることさえできるなら働くことができるのに・・・と思ってる主婦は特に東京にはたくさんいるでしょう。しかし実際には保育園に預けることができてもなかなか就職は難しい。預けっぱなしというわけにはいかないし。その反面、IT業界では人材不足に悩んでいる会社も多い。ひと言で言うとこれって

とんでもなくモッタイナイ

ってことなのです。

雇用側のメリットもたくさんある

ざっと挙げただけでもたくさんあるよ

1 いい人材を選択できる

特に首都圏には保育園がないので働きたくても働けない能力の高い主婦がたくさんいるし、たとえ預けても預けっぱなしと言うわけにはいかないのでなかなか就職できない。だから、そこからいい人を選んで採用できる。実は自分のアシスタントの時はソーシャルで告知しただけでかなりの人数の応募がありました。

2 付帯コストがかからない

かつて従業員30名のIT企業を経営していたわけですが、1人あたりだいたい給料含めて100万近い月間コストがかかりました。しかし在宅社員では交通費もオフィス代もかからないのでこれはかなりの差です。お給料は勤務していただくよりも安めにする代わりに自由度をかなり上げています。

3 通勤時間がかからない分、自由度が上がって互いに良い

東京だと往復2時間の通勤時間とか普通ですが、これがないのがよい。保育園への送り迎えとか、家事とかは自分の裁量でやってもらっていいことにしました。お子さんがいらっしゃる主婦を勤務で採用だと「子供が熱出しました」「今日は保育園の父兄会で」みたいなのがけっこうあると思うんだけど、在宅なら自分で帳尻合わせてくれるならなんでもありにしてあります。互いにハッピー

逆にデメリットとしては、由良さんみたいな仕事にやる気があって機転が効くタイプならいいけど、そうじゃなくて「お金もらってる時間分だけ仕事します」みたいなサラリーマン精神100%の人だと、サボり放題になるからハチャメチャです。サボればサボるほど時間給が上がることになるわけですよ。つまり採用の段階でかなり人を見る必要があります。私の場合は最初はアルバイトにして、これならと思った段階で社員契約にしました。

どういう職種が在宅社員に向くか

在宅勤務で社員採用する場合、どんな職業でも採用できるわけではない。ひとことでいうと

時間給的な職種ではなくて任せた仕事遂行をする職種

という感じになるでしょう。工場労働者や一次産業、販売サービス業は現場にいないとダメだから無理なのは当然として、お茶くみ的な事務(いまや民間では存在していないかも)や総務・経理も難しいと思う(自分は経理業務ごと税理士さんにお願いしています)。ひとことでいうとタイムカードで管理しない職種ということになります。Skypeでタイムカードとか管理するほうも大変だよ。

となると、自宅勤務に有利なのは

◎ITリテラシーがそこそこ高い
※PCやOfficeなどのソフトは問題なく使えるレベル

◎特殊技能がある
エンジニア、プログラマ
編集やライティングの経験がしっかりある
デザインやコーディング
PRやリサーチ

加えて
◎採用難の職種
であればなおよい。たくさん応募が来る職種ならわざわざ在宅を採用する企業は少ないでしょう。特に優れた技能がない、ブラック企業で搾取されているような方々では無理。そしてひと言でざっくり斬るが

言われたことだけやる人はダメ。自分で仕事を創り出す人でないとね

ということになります。言われたことだけやる人を使うには、「詳しい指示や業務管理」が必要になってくる。在宅でこんなことはしていられない。任せたら自分の頭で考えて動いてくれる(当然、質問やアドバイスは求めてもらわないといけないが)人でないと難しいと思うわけです。

どんな法制度があったらいいのだろう

現在の労働法って基本的に出社する社員しか考えてないので、「有給」とか「労働時間」について厳しい制約があります。しかし在宅の場合は自由度が高いわけで、これにガチガチに縛られているとなかなか厳しい。労働時間とかを算出するのが面倒なわけです。たとえば家事してる時間とかを全部タイムカードから引けとかいったら、タイムカードの申告だけで死にます。

で、保育園が非常に足りないのは東京が突出しているわけだから、東京都がやってる非正規労働者の正規雇用化を支援するため、国と連携し、国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)に上乗せして助成金を支給みたいなことを、主婦の正規雇用の在宅勤務にも適用したらどうでしょうか。

【追記】それと保育園の優先順位で「在宅勤務」が不利益を被らないようにして欲しい。そうしてしまうとせっかくのシステムが機能しない。在宅勤務と出社勤務は同等にする。

自分の場合は別に助成金いらないので、在宅での社員採用した場合の東京都の法人事業税の減免とか、最初にかかる機材のコスト(PCやソフトなど)の一部負担でもいいかなと思います。あと、在宅勤務に詳しい社労士さんを東京都で紹介してくれて、雇用関係の書類を作ってもらうだけでもはじめてのところは負担が軽減されます。

そんなわけで、小池新都知事にはぜひぜひ保育園と同時に検討していただき、東京が世界一、女性の在宅勤務の比率が高い街という目標を挙げていただけたらと思う次第です。通勤の混雑も緩和されるし、「女性は家にいるもの」という価値観も満足させられるでしょ。子供もお母さんが家にいて嬉しいしね。

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