何回か書いていますが、ここ最近、高齢者の運転による事故が物凄いことになってきています。なぜ急にこんなことになってきたのか。理由は簡単です。
平成7年から平成27年までの20年間で、全体の免許保有者数は68,563,830人から82,150,008人へと20%近く増加。しかし64歳以下の保有者の構成率が低くなる一方、65~74歳の免許保有者の構成率が高くなっているのです。そもそも高齢者の人口が増加しているのに加えて、高齢者の免許保有率の上昇がその理由。
平成10年には75歳以上の運転免許所有者は116万人だったのが、平成27年は478万人。なんと
高齢者ドライバー4倍増!!!
ちなみに65歳以上だと2.67倍です。特に高齢者の女性免許所有者の伸びが凄い。毎年85歳以上の女性のドライバーの数が2〜3割近く増えてます。
交通事故の件数は車の性能の向上もあって平成17年をピークにどんどん減っている。なんと44%も減ったのだ。しかし免許を取得した団塊の世代以上が一気に高齢者になり、総事故における高齢者ドライバーの比率が上がっているわけです。↓ 事故件数は減っている中で高齢者運転の車のみ減少率が低いので結果として「高齢者の運転する事故率が顕著に高くなっている」わけです。
以上は公益財団法人交通事故総合分析センターの「平成27年中の高齢運転者事故の発生状況に関する分析」からの抜粋だが、さらに高齢運転者は非高齢運転者と比較して、人対車両事故及び車両単独事故の構成率が高くなっているのが特徴です。また、高齢になるほど出会い頭事故の構成率が高くなっており、追突事故の構成率が低くなっている。つまり前方向への注意はできても左右ができないわけ。
この出会い頭の事故については60%以上が無信号の交差点で発生。前述のように左右を確認してという認識ができなくなっているわけです。自分で運転していても、高齢者の車が無信号の交差点で左右見ないで直進してくるのによく出くわす。
さらに高齢運転者は非高齢運転者と比較して、安全運転義務違反以外の違反事故の構成率が高くなっていて、つまりは「安全運転はしているのに事故は起こす」ということになります。また
75歳以上の後期高齢運転者は信号無視の構成率が突出して高い
というのが大きな特徴。ぼうっとして運転しているというより、注意力自体が散漫になっているのかもしれない。こうしたことをいままで放置してきた政府はいかがなものかと思うが、高齢者はもっとも投票する層であり、ここを規制することは政治家にとってかなりのリスク。これでいままでなにもしなかったとしたら噴飯ものです。
が、最近の立て続けの事故で
この中で、安倍総理大臣は「大変痛ましい事故を防止するため、来年3月、認知症対策を強化した改正道路交通法を施行することにしている。まずは円滑な施行に万全を期すとともに、自動車の運転に不安を感じる高齢者の移動手段の確保など、社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備を着実に進めていく」と述べました。
ついに安倍さんも指示を出しました。遅い、遅すぎるが、左系の支持者は高齢者がほとんど。民進や共産が「高齢者を規制するなガー」と騒ぎ出さないことを祈りたいです。ただ、実際には認知症で事故よりも、判断力が鈍っていて注意散漫というほうがよほど多いのが上記の資料からわかる。
高齢者ドライバーをどのように管理するか
最近けっこうツイートしていると、一番よく出てくる意見が「1年に1回更新にするとか、検査をすれば良い」というものです。が、現在、75歳以上の免許所有者は478万人。65歳以上で区切ると1710万人もいるんですよ!!!しかもどんどん増えている。
1710万人を毎年更新とか、毎年検査って、いったいどれくらい公務員を増やせば良いか・・。ちなみに平成25年の年間の免許更新数が1700万なので、いきなり2倍増です。
免許試験場は高齢者で溢れ、しかも1人あたりの所要時間はずっと長くなり、よくわからない高齢者で一杯になってまともに更新作業とかできなくなります。警察官の数をどれだけ増やせばいいのだ。これはちょっとあり得ないでしょう。せいぜい認知症の簡単なテストをするくらいが関の山です。
ではどうするか
高齢者にもいろいろあります。自分が通う東京郊外のスポーツクラブは何度も書いていますが、自分が一番若いくらい。80%以上は65歳以上です。しかし月間1万円以上払える高齢者だから、駐車場は新しいメルセデス、レクサス、スバル、新型プリウスばかり。風呂での会話は
「うちの息子がうるさいので自動ブレーキのメルセデス買い換えさせられた」
「新型プリウスになったけど小さいけど安全らしいので我慢する」
という話題で花盛りです。いわゆる意識高い系の高齢者です。
しかし一般の高齢者で言うと、そもそも年金暮らしだったりするから新車を買うのは非常に大変です。よく「自動運転の時代が来れば」とか気軽に言う人がいますが、そんな時代が来るのは10年以上先だし、それまでに高齢者ドライバーの数が爆増し、さらには
高齢者はそもそも車を買い換えない
という前提を忘れています。「あと何年運転できるのかわからないのに、車を買い換えても意味ない」っていうことで古い軽とかに乗り続けているわけ。しかも今の車は全然壊れないから10数年乗っても平気。近所にもぼっこぼこの車のご家庭とかあります。お金がないわけではなく、「いまさら買い換えたくない」の。だってすぐぶつけるし。
となれば、「安全性の高い車に買い換えないと運転できない」という縛りをつけるべきだと思うのです。先日設定したTwitterのアンケートでもこれが一番。
年齢制限を設けるべきだという人も多いですが、人間は個体差が大きいから一概に縛るのはどうかと思うし、さらに本当に車がないと困る人もいるわけです。本当に年齢制限したら、第一次産業の人とか(漁師とか農家)はいきなり仕事ができなくなって失業者が続出する。
そして自分はさらに「任意保険必須」にすべきだと思うのですが、実は高齢者は事故率が高いので新規での任意保険は入れないらしい。さらに再三事故を起こした高齢者も引き受けてもらえないらしいが、ここで「事故を起こす頻度の高い高齢者」は必然的に運転できないことになるからいいのではないかと思います。いままで任意保険にはいっていなかった人も「無責任」のひと言ですので運転してもらったら困る。ひき殺しても補償もできないなら運転する権利ない。
「車がないと生活できない高齢者がいるので制限すべきでない」という意見もありますが、平成10年には運転できる75歳以上はいまの1/4しかいなかったのにちゃんと生活できていた。タクシーの利用料の一部負担とか、地方行政で過疎地対策するとか、過疎地からの引越を援助するとかして対応するしかない。過疎地の高齢者が可哀想だから全ての高齢者に制限かけるべきではないというのはおかしいです。
自動車メーカーは高齢者仕様車をはよ
やっと本題まで来ました。
日本のメーカーさんも自動ブレーキシステムの技術が進んでいます。しかし対物と人間の両方に対応するとすると、レーダーとカメラのふたつの仕組みを搭載する必要があり、まだ車種は多くありません。トヨタも新プリウスとシェンタだけ。スズキは軽にもデュアルカメラがついていて、急発進抑制機能もついててざっと見た感じかなり進んでました。
国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が主催するJNCAP予防安全性能アセスメントにおいて、軽ハイトワゴンの中で最高得点となる45.8点を獲得(46点満点)するとともに、最高ランクの「先進安全車プラス(ASV+)」に選定されました。
と、自慢気に語っています。
このほかに、バックミラーやサイドミラーを大きくしたり、画面表示を大きくして日本語にする。出会い頭の事故を防ぐためにナビと連動して交差点前でアラートを鳴らすとか、加速をあえて悪くするとか、急発進ができなくなるようにする、ヘッドライトはオートでしか操作できない(自動点灯)とかして、
高齢者仕様車を創る
わけです。これに国が「排ガス規制」みたいに認可を与える。高齢者でもこの車を買うのであれば認知保険の引き受けてくれるように保険会社を指導してもらう。らくらくホンが売れまくってるように、高齢者にターゲットを絞った車に仕上げてもらいます。
しかし、前述のように高齢者は車を買い換えたがらない。そもそも自動ブレーキなんてしらない。一番良いのは「高齢者は高齢者仕様のみ」の車しか運転できないように法律を改正することですが、すぐにできなのであれば税制で優遇する。または低金利ローンを設定するとか。であれば、公共広告機構扱いで
高齢者が運転するなら高齢者仕様の車でね
っていうCMをバンバン流してもらう。高齢者って横のつながりが強いし、意外と見栄も張るから「誰々さんが高齢者仕様の車に換えたって」ということになれば、割と影響される人も多いはずです。高齢者のタンス預金で自動車産業に回るし、自動車産業って裾野が広いから土建業よりよほど多くの人たちが恩恵を受けます。この技術は海外にもウケると思います。そんなわけで、
安倍さんに届けー
と書いて本日のエントリーを締めたいと思います。
Amazonのプライム会員限定の20%オフセールがあと二日で終わるので、これから冬物ファッションをえぐってみたいと思います。