先日のことですがFacebookで
「なぜ深刻さ、伝わらない?」保育園落ちた母親のリアル、市議がマンガに【待機児童問題】
についてコメントしたところ、「保育園が足りないのは女性の社会進出が原因だから、専業主婦化を進めれば良い」というとんでもない女性蔑視の書き込みがあり、ちょっと驚きました。
これって馬鹿な保守系の政治家がデータも調べないでほざく戯言だが、それを本気にしている人がいることにまずは驚いた。これは大変な女性蔑視の発言なので、これ以上こうしたことをわたしのフィードで投稿するならブロックしますよと書いたのだが、ご本人には全くそういう感覚がない。そこで本日は、その考えが女性蔑視に基づく全くの間違いである事をマーケティング的に証明したいと思います。
日本は先進国で突出した専業主婦率かつ、しかも顕著な少子化
まず世界的には専業主婦率と出生率はなんら関係がない。
スウェーデン、専業主婦率2%でも出生率高い理由(NIKKEI STYLE)
日本の専業主婦率は38%と先進国の中で突出して高い。ところが専業主婦率がたったの2%しかないスウェーデンでは出生率が日本より格段に高いのである。
スウェーデンの国会議員の45%は女性。主要政党の比例名簿には男女の候補者の名が交互に並ぶ。それに比べて登用の遅れが指摘される民間でも女性の管理職比率は28%で、安倍政権が掲げた2020年の目標値(30%)にすでに近い。
日本よりも男女同権意識が格段に進んでいるため、国家として男性の育児支援を進め、子供を育てることに国家として注力しているからだ。日本の保守的な頭の固いジジイばかりの国会議員と全く違うのであります。育児の整備については
まず充実した育児休業制度や保育環境がある。スウェーデンの育休は両親合計で480日。390日間は給与の8割が補償される。親が職場復帰する際の保育所の確保は「コミューン」と呼ばれる地方自治体の役割だ。2~3カ月以内に子どもを預ける場所を確保することが義務付けられており、待機児童数はほぼゼロという。89%の子どもが2歳までにプレスクールと呼ばれる保育所に入る。しかも教育費はもとより、出産費用も国が負担するためほぼ無料だ。
と、万全の対策が採られている。
さらに、私がいつも書いている「少子化対策には嫡子と非嫡子の差別を全くなくすことだ」ということも
「サンボ(同居人)」と呼ばれる事実婚のカップルで、スウェーデンでは一般的な関係だ。子どものいるサンボの家庭向けの相続や育休などの制度も整っており、結婚というハードルを超えずとも、柔軟な家族構成で子どもをもうける世帯は多い。婚外子の比率は55%(日本は2%)と高い。家事の負担は半々。クラウスさんは午後6時には帰宅して食事の用意や娘の世話に取りかかる。クラウスさんは近く240日の育休を取る。「職場では男性の子育ては当然。同僚からは『いつ育休とるの?』と聞かれた」と話す。
つまり、男性も育休が取れ、結婚しなくても子供が差別なく育てられる環境なら自然と少子化は解決するのである。「結婚はしたくないけど子供は欲しい」っていう人もたくさんいるでしょう。しかし日本のジジイ政治家さんたちは日常の素行が悪いため、こんな法案を支持しようものなら奥さんから猜疑の目で見られるからあり得ないとそちらの筋から聞きました。
専業主婦思想は女性には教育は不要という考え方
自分の母親は大学に行きたかったが、「女は勉強は必要ない」という方針で断念させられたそうな。裕福な家庭だったが昭和のはじめまではこういう考え方が一般的だったのだ。だって専業主婦になるなら大学で勉強する必要なんてないわけです。保育科いって育児習うとか食物科行って料理習えば良いじゃんになってしまう。
女性が教育を受けたいという意思は、「社会に出て活躍したい」ということの表れであって、「社会にでる必要はない」というのは物凄い女性蔑視です。それが分からないのが不思議。
男尊女卑の世界では「女に勉強は要らない」→「専業主婦やってればいいんだ」という思考経路なわけですよ。
で、逆に「専業主婦率が下がれば出生率が上がるのか」ということも全くない。韓国が良い例で日本と同じく少子化に苦しんでいるが、日本とは比較にならないくらい共働き率が高い。つまりこの「専業主婦率」と「出生率」のふたつはなんら相関関係にない。
片働きでは生活できない…専業主婦が韓国で2年連続減少(ハンギョレ)
ただ、日本も韓国もいまだ男女の格差が大きいということでは共通している。国会議員や企業の中核の女性率、そして男女の賃金格差が非常に大きい。日本の場合は特に女性労働力の大半がパートだからさらに大きい。つまり「先進国で少子化に苦しむ国は男女の格差が大きい」ということは言えるんじゃないかと思う。日本も韓国も儒教が思想の元にあるので「子供の面倒は女が見るべき」ということになっていて、育児の女性負担がでかすぎる。男性には育児休暇がないので手助けもしにくいというのが現状で、その結果として少子化で苦しんでいると考えられるわけです。
つまり「専業主婦化では少子化は解決しないが、男性の育児休暇は効果がある可能性大
ということです。
専業主婦率が下がったから少子化になったという嘘
これは厚生労働省のグラフですが・・・
平成3年あたりから共働きが増えて専業主婦率が下がってきています。しかしその前の時代の記載がないのでこれだけ見ると誤解してしまう。
出生率はというと
実はその15年前から急激に下がってきている。では、専業主婦率はいつから下がったかというと
この記事が秀逸。政治家さんたちが全く分かってないことがわかる。
「家庭教育支援法」成立目指す自民 「伝統的家族」なる幻想 家族の絆弱まり、家庭の教育力低下--!?(毎日新聞)
家庭が子供の教育に力を入れるようになったのは、都市化が進み、地域の影響力が低下した高度成長期以降だという。「それなのに政治家たちは『教育力が下がった』と語るのはなぜか。彼らは昔から家庭教育を意識できた豊かな家の生まれが多い。幼少期の記憶を不当に広げ『昔はどこもそうだった』と思い込んでいるのでは」
そもそも金持ちの二世三世ばかりの議員さんじゃ、シモジモの家庭については分からないよねぇ・・・
『専業主婦は日本の伝統』と勘違いする人もいますが、70年ごろまで日本女性の就労率は欧米諸国よりも高く、専業主婦が一般化するのは高度成長期なんです。明治民法の施行(1898年)や近代化の過程で多様性が消され、儒教的で権威的な、中国のような家族像と西洋的な性別分業が強調されたのです」
はい、では上の表をもう一度見ましょう。第一次ベビーブームは終戦の2年後、高度成長期の前です。つまり専業主婦率が欧米よりずっと低かった時です。戦争が終わって減った人口を取り戻そうという生物的な意思かもね。
この記事でいう高度成長期はおそらく1970年代の初頭位を指していると思われますが、1940〜60年代は日本の労働のほとんどが農林水産の第一次産業なので、農家では専業主婦でーすとかいってられず、働いていたわけです。しか〜し、日本の出生率は1955〜1974と、高度成長期の前の共働きの時代にも出生率はどんどんと伸びています。
高度成長期であるこの時期には,産業構造は,第1次産業と第2次産業の就業者数が逆転し,第2次産業においても,繊維から鉄鋼,機械産業へ重点が移るなど,大きく変化した。これに伴い,都市に人口が流入し,企業の雇用者であるサラリーマンが急増した。また,長期雇用や年功昇進・賃金体系,企業内組合等を特徴とするいわゆる日本的雇用慣行が普及・定着した。この間女性の労働力率は低下した。その理由の一つには,女性が家族従業者として就業していることの多い農業のウエイトが低下し,配偶者のいる女性全体に占める夫がサラリーマンである女性の割合が増大したためである。サラリーマンの場合は,職と住が離れていることや仕事内容が専門化してきたことなどもあって,夫はサラリーマンとなって所得を稼ぎ,妻は家事労働に専念するという家庭内分業が成立しやすかった。夫が雇用者である専業主婦は55年の517万人から70年には903万人となった
つまり、高度成長期に企業に勤めて月給をもらうサラリーマンの比率が高まり、サラリーマンやるには学歴が必要ということで旦那が働くケースが増えた。それで専業主婦が増えたわけですな。そしてそのときのイメージが染みついてしまった。漫画の家庭はみんなお母さんが専業主婦というのがその典型だと思います。
女性の労働力率を年齢別にみてみると,19歳以下の労働力率が1960年の49.7%から75年の22.6%へと大幅に低下し,また,20歳代半ばから30歳代前半の労働力率も低下している。10歳代の労働力率が低下したのは,高校への進学率が急上昇したためである。
つまりそれまでは女性の多くは中卒で働いていたんですよ。
一方で,30歳代後半以降の女性については,70年まで労働力率が上昇傾向にあった。その背景のーつとしては,電気洗濯機の普及率が57年の20.2%から70年には91.4%になったように,家庭電化製品が普及し,出生率の低下ともあいまって,家事労働の負担が軽くなっていったことがあげられる。
で、出生率のピークは1970年代の初めに来ているわけだから、女性が働くと出生率が下がるってことはないのです。なんで高度成長期に出生率が上がったかというと
これからどんどんと生活が良くなる
という実感があったからではないかと思うのです。
しかし現実では男女の格差がなかなか縮まらず、1975年くらいから女性の大学進学率が一気に上がりました。
それでやっと社会に出られるようになったのですが、社会の側は保守系がずっと強かったため、それに対応するのが遅れっぱなしで少子化が止まらないでいるのだということが言えるんだと推測できます。
どうすれば出生率は上がるのか
上記のことから、出生率と専業主婦率は全く相関関係がないと断言できます。
相関関係があると個人的に断言できるのは
1 これから良い時代が来るとマインド
2 夫を育児に積極的に参加させる施策(育児休暇や社会の考え方を変える)
3 結婚制度を根幹にしない考え方
4 教育費の無償または超軽減化
の4つだと思います。特に2は前向きな企業にはどんどん採用してもらいたいし、4は高学歴時代に子供の学費負担がキツすぎる。ここをなんとかしないと少子化対策はなかなか解決しないといつも書いています。
自分は投資とかにはめっちゃ弱いのですが、Kindleの月替わりセールでこれを見つけて読んでます。1296円が378円。非常に読みやすくて面白い。Instagramに出てくる投資の広告、ほとんどインチキじゃんと・・・・www