大塚家具がいよいよ危なくなってきました。
と、親父さんは
現『匠大塚』会長 大塚勝久氏「(報道を見て)非常に残念だったし、寂しいですよ。なぜ私に話しなかったのって。寝ずに働いてつくった会社ですから。どこにもまねできない会社をつくろうと思って。まさか3年半でこうなっているとは思いませんでした」久美子社長から一切連絡が来ていないという勝久氏。業績悪化の要因については、久美子社長が、「会員制など手厚い接客を重視したかつてのビジネスモデルを変えたこと」だと指摘した。
とまあ、他人事のように仰っていますが・・・
娘さんが社長になったのは2015年です。その前のお父さんの時代はと申しますと
順調に落下していました。ww 特に営業利益がヤバい。
仮にお父さんが娘さんに株主総会で勝って、そのまま社長やっていても、ここまで大きな下落にならなくともやはりマイナスになっていたのは確実です。親子げんかでイメージの落下は同様にあったから、同じダウンか、もう少し緩やかにダウンしていただけのことだと思います。
大塚家具と匠大塚、苦悩深まる父と娘の関係父の「匠大塚」も順風満帆とは言いがたい
お父さんの匠大塚だって四苦八苦してるじゃん。ww
お父さんに相談して「元に戻そう」としたところで2015年以前の全く儲からない時代に戻るだけのこと。
つまりこれは、大塚家具的なビジネスモデルが終わりつつあることの証明です。娘さんも素人で思い切り業務改善するのではなくて、レッドオーシャンに舵を切ったから破綻が早まってしまった。
少子高齢化、社会の成熟で終わるビジネスモデル
実は大塚家具については前に書いていました。
自分は娘さんに引き継いだときがチャンスだと思っていた。自分が広告塔としてメディアにどんどん登場したり、SNSを活用してアピールしたり、ECを充実させたり、インバウンド向けにアジアに発送してアジアでサポートしたり、いままでやっていなかった新しい手法をどんどんやるのかと思ったら、やったのは「路面店を入りやすくしてニトリに近づけた」というだけ・・・・・。
しかし、人口減、高齢化で高価な大型家具を買うニーズはがっくりと減少している。このデータみたら分かるでしょうよ。
家具を買い換えるときは、新築かリフォームだと思うが、景気に左右されるとはいえ、平成6年から半減してしまっている。さらに高齢化が深刻。70過ぎてリフォームして家具まで買い換える富裕層はそうそうはいない。みんな残りの人生のために100歳まで生きるかもしれないわけで貯蓄に回すでしょうよ。これは↑にも書いたけど・・・・
ニトリまで割切ってしまえば「消耗品としての家具」だから、若年層とかお金の無い層もさくさく買える。引越の時は捨てても行ける。ところが大塚家具みたいな「耐久消費財としての家具」は冷蔵庫やテレビよりもずっと寿命が長く、下手したら一生モノだ。重いし大きいしでもうこれからの時代はたくさん売れないと思うんですよね。自分も娘さんがセールした時にダイニングテーブルとチェアで50万位のものを買ったけど、もう一生買わないと思うし・・・。
社会の変貌で取り残されてしまったのがもうひとつニュースに・・・
テレビやAV機器から撤退したものの、カーナビは後付け市場が激減。レンタカーみたいにカーナビが無い場合、自分もGoogleマップで十分だし、カーナビは純正品が一番いい。しかも日本はクルマ自体が売れてない。やることなすこと、すべてシュリンクしているジャンルばかりに特化してきた感じ。
業態を多角化して、化粧品に乗り出して成功したという例でよく挙げられる富士フィルムも、その化粧品、医療機器、医薬品を含む「インフォメーションソリューション」という事業部は堅調に推移しているが、
売上高は2001年度の約7000億円から9500億円まで40%成長しているものの、調べてみるとまだべらぼうに投資していて、けっして儲かってるわけじゃありません。ただ資金的に余裕があるうちに早く手を打ってそこにぶっ込んで来たことは高く評価できます。何十年かかけて業態を変えているのです。
大塚家具は、娘さんが引き継いだときに現金が100億円以上あったのに、ドラスティックな投資をせずに路面店の見直しだけでやろうとして失敗した。いまとなってはもうお金もないから倒産か身売りしかなくなっていて、しかも買い手もなかなかいない。ここまできたら手の打ちようがない。大塚家具で学ぶことは
ヤバいと思ったら
余力があるうちに
勝負をかける
というのが生き残る道ということ。戦争も同様で「戦力はちびちびと投入せず、一気に相手の数倍を投入して決着を付ける」というのが王道です。ガタルカナルでは日本軍はちびちび投入で大失敗しました。ビジネスも同じだと思います。
個人の仕事も同じで、「自分の仕事は将来がないなあ」と思ったら、まだ余裕があるうちに転進する。にっちもさっちも行かなくなってからではなにもできません。